子供の教育資金を貯めるのに学資保険を検討している方も多くいるのではないでしょうか。貯蓄性を重視して学資保険を選ぶ場合に気をつけたいのは学資保険が元本割れしないかということです。元本割れしない学資保険はどのように見分ければよいのでしょうか?
目次
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元本割れの見分け方
学資保険で元本割れするというのは、支払った保険料の総額よりも学資保険で受け取った金額の方が少ないことを指します。つまりは保険料をいくら支払って保険金をいくら受け取れるのかを調べれば元本割れするか知ることができます。
また、保険料をいくら支払って保険金をいくら受け取れるのかは「返戻率」で表されることも多いです。返戻率は「へんれいりつ」と読みます。返戻率は、
返戻率(%)=保険金受取総額÷保険料支払総額×100
で計算されて、返戻率が100%を下回ると元本割れします。100%を超えて高ければ高いほどお金が貯まる学資保険です。
学資保険A | 学資保険B | 学資保険C | |
---|---|---|---|
保険金総額 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
保険料総額 | 210万円 | 190万円 | 180万円 |
返戻率 | 95.2% | 105.3% | 111.1% |
上の表の場合、学資保険Aが元本割れの学資保険です。
元本割れしてしまう原因は?
元本割れしてしまう学資保険にはいくつか特徴があります。学資保険で元本割れしやすい条件について紹介します。
医療保障・死亡保障が手厚い
学資保険には貯蓄性を重視してシンプルな設計になっているタイプと医療保障や育英年金などがついた保障が手厚いタイプがあります。このうち、保障が手厚いものについてはその分保険料が高くなるので元本割れしやすくなります。
昔は貯蓄と保障をある程度は両立することができたのですが、現在の超低金利の状況下では残念ながらどちらも兼ね備えるということはできません。元本割れしないことを重視する場合には医療保障などの特約がついていないシンプルな設計のものを選ぶようにしましょう。
保険料払込期間が長い
学資保険は保険料を支払う期間が長くなるほど返戻率が下がる傾向にあります。学資保険で100%を超える返戻率を実現できているのは保険会社が運用で増やしているからです。払込期間が長いと最後の方で支払った保険料を運用で増やすための期間を十分にとることができません。そのため、同じ保険会社の同じ商品でも保険料払込期間の長さによって元本割れしたりしなかったりすることがあります。
祝い金で支払われる割合が高い
学資保険には満期のほかに中学校入学や高校入学のタイミングで祝い金が支払われるものもあります。学資保険で受け取れる総額のうち祝い金の割合が高いほど元本割れの可能性が高くなります。中学・高校入学時なども制服代などで費用がかかるので祝い金を受け取れるのはありがたいところですが、受取総額で考えると損をしている可能性があります。
子供や契約者の年齢が高い
同じ保険会社・商品でも子供の年齢や契約者の年齢が高いほど返戻率が低くなります。
子供に関しては、学資保険は保険金が支払われる年齢が決まっているので子供の年齢が高くなるほど保険会社が運用できる期間が短くなっていきます。それゆえに子供の年齢が高くなるほど返戻率も低くなっていきます。
契約者の年齢については死亡率に関係します。学資保険は契約者死亡時に保険料払込免除になる保障がついていますが、年齢が高いほど死亡率も高くなる、つまり保険料払込免除になる確率も高くなるのでその分保険料が上がり、返戻率も下がってしまいます。
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途中解約する
これは他とは少し性質が違いますが、満期まで契約し続ければ元本割れしない学資保険でも契約期間の途中で解約すれば元本割れする可能性が高いです。返戻率に眼がくらんで保険料の支払いが続けられないような条件で契約しないようにしましょう。
返戻率を上げるには?
学資保険で貯蓄性を重視する場合、できる限り返戻率は高くしたいものです。学資保険の返戻率を高くする方法について紹介します。
保険料払込期間を短くする
保険料払込期間が短いほど返戻率は高くなります。つまり、18歳まで払い続けるよりも15歳までや10歳までに払い終える方が返戻率が高くなるのです。ただし、18歳まで払い続けるところを15歳までや10歳までで支払い終えるので毎月の保険料は高くなります。保険料を払いきれずに途中解約すると元本割れしてしまうので注意しましょう。
年払、一括払いにする
保険料を毎月支払っていくのではなく、毎年1年分を支払ったり契約時に全期間分を一括して支払ったりすることで返戻率が高くなります。1年分や全期間分を一括して支払うことになるので1回あたりの支払い負担は重くなることに注意が必要です。また、学資保険の特徴の1つである保険料払込免除について、契約者に万が一のことがあった場合でも既に支払った分の保険料は免除されないというデメリットもあります。
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できるだけ早く契約する
子供の年齢や契約者(多くの場合は親)の年齢が高くなるほど返戻率は低くなります。返戻率を高くするにはできるだけ早くに検討を始めて契約することが大切です。学資保険は妊娠中から加入できるものもありますので、出産して忙しくなる前に検討・加入するのもよいでしょう。
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終身保険で貯める方法も
学資保険で思うような商品が見つからないという場合は終身保険で貯蓄するという方法もあります。終身保険は保険期間が一生涯の死亡保険ですが、保険料払込期間終了後に解約すると支払った保険料総額よりも多くの解約返戻金を得られるものもあるので、貯蓄目的で契約されることもあります。
終身保険を学資保険目的で使う場合、保険料払込期間を10年や15年などで契約し、大学入学前などお金が必要となるタイミングで解約して解約返戻金を受け取ります。もし他の手段で費用のめどがつくなどした場合は解約せずに契約し続けることで解約時の返戻率を高めていくことも可能です。
「子供の教育資金=学資保険」と短絡的に考えるのではなく他の手段にも目を向けるようにしましょう。
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まとめ
元本割れしない学資保険を選ぶためには返戻率を確認して100%を超えるものを選ぶようにしましょう。医療保障がついているものや育英年金がついているものなど保障が手厚い学資保険はその分保険料が高くなるので元本割れしやすくなります。また、保険料払込期間を短くすることなどで返戻率を高くすることはできますが、保険料の負担に耐えられず途中解約すると元本割れしてしまうので注意するようにしましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。