保険会社の公式サイトやパンフレットなどで個人年金保険について調べていると「予定利率」という言葉が出てきます。これはいったい何を表している数字なのでしょうか?また、「返戻率」という同じくパーセンテージで表されている数字がありますが、これとはどう違うのでしょうか?
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予定利率とは?
予定利率とは保険会社が契約者に対して約束する運用利回りです。保険会社は契約者から集めた保険料を積み立てて将来保険金を支払うのに備えています。このとき、ただ積み立てているわけではなく、運用によって積み立てたお金を増やしています。このときの運用利回りについて契約者に約束しているのが予定利率です。ただし、支払った保険料すべてが運用に回されるのではなく、人件費などの諸経費が引かれた後の金額が運用に回されます。
一般に、予定利率が高いほど将来同じ金額を受け取るのに必要な保険料は安くなります。単純な例で考えると、1年後に100万円を用意するのに、利率1%の場合は99万99円必要ですが、利率5%の場合は95万2381円で済みます。また逆に考えると、同じ保険料を支払ったときに予定利率が高いほど将来大きな金額を受け取れることになります。
基本的に、契約者にとって予定利率は高いほどよいものですが、契約者貸付を利用することになった場合には注意が必要です。契約者貸付とは解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度ですが、その返済時に必要な利息の利率は予定利率に一定程度上乗せしたものになっているのが普通です。つまり、契約者貸付を利用することになった場合には予定利率が高いほど返済時の利息も高くなってしまいます。
返戻率や預金金利とはどう違う?
保険会社の公式サイトやパンフレットには「返戻率」の記載もあります。同じく%で示されていますが予定利率とどのように違うのでしょうか。また、予定利率を知らないと預金金利と同じようなものと勘違いしてしまいがちです。こちらについても違いについて整理します。
返戻率との違い
返戻率というのは支払った保険料総額に対して保険会社から合計でいくら受け取れるのかを表したものです。返戻率は
(保険会社から受け取る金額の総額)÷(支払う保険料の総額)×100
で計算されます。例えば、保険料として総額で300万円払い込み、年金として総額315万円受け取れるのであれば返戻率は315万÷300万×100で105%となります。
予定利率が保険会社がどれだけの利率で運用するのかを示したものであるのに対し、返戻率は支払った保険料に対してどれだけのお金を受け取れるのかを示したものです。予定利率だけを見ても将来どれだけのお金を受け取れるのかはわかりません。どれくらい増えるかは返戻率をみるのが適切でしょう。ただし、返戻率は時間の概念がなく、預金金利や株式投資等の利率と比べる際には年率換算が必要なことには注意が必要です。
預金金利との違い
銀行預金の場合は預けた全額に対して金利が適用されますが、予定利率は支払った保険料から諸経費を除いた額について予定利率で運用がされます。そのため、保険料と予定利率だけではどれだけ増えるのかは計算することができません。つまりは、予定利率が0.5%という表記を見て金利0.01%の定期預金よりも50倍増えると思ってはいけないということです。銀行預金と比べてどれだけ増えるのか比較したい場合には返戻率を年率換算して比較する必要があります。
どれだけ増えるかの比較は返戻率で
予定利率は保険会社が契約者に約束する運用利回りで、予定利率が高いほど保険料が安くなります。しかし、運用されるのは人件費等の諸経費を除いた金額なので、予定利率を見るだけでは実際に将来いくら受け取れるのかはわかりません。
予定利率が高いほど契約者に有利であるのは確かですが、個人年金保険でどれだけ増えるのかの比較をしたいのであれば返戻率で比較するようにしましょう。返戻率であれば支払う保険料に対してどれだけ保険金を受け取れるのかをそのまま示しています。ただし、返戻率には時間の概念がないので預金金利などとはそのままでは比較できないことには注意が必要です。
用語を正しく理解して後悔のないように個人年金保険の検討を行いましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。