老後資金をどのように貯めるのかは昔から重要なテーマでしたが、「老後資金2000万円問題」を契機としてより注目を集めるようになりました。個人で老後資金を貯めるのに代表的なものとして個人年金保険と個人型確定拠出年金(iDeCo)がありますが、加入するのであればどちらがよいのでしょうか。
目次
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そもそも個人年金保険、iDeCoって何?
個人年金保険とiDeCoのどちらがよいのか考える前に、そもそもとして個人年金保険とはどのような保険なのか、iDeCoとはどのようなものなのか紹介します。
個人年金保険とは
個人年金保険とは、 契約時に定めた保険料を支払い、一定の年齢になったら年金が受け取れる貯蓄型の保険です。何年間かけて積み立てるのか、一括で受け取るのか5年や10年と分けて年金を受け取るのかなど個人の事情に合わせて選ぶ事ができるのが一般的です。
定年退職してから公的年金を受け取るまでのつなぎとして利用したり、公的年金では足りない分を補ったりする目的で活用されることが多いです。近年は低金利の影響から米ドルなどの外貨建ての個人年金保険や資産運用の結果で受取額が増減する変額個人年金保険にも注目が集まっています。
個人年金保険のメリット
個人年金保険には以下のようなメリットがあります。
個人年金保険は資産運用に詳しくなくても将来に向けて貯蓄していくことができます(変額などを除く)。保険料として支払った金額から大きく増えるということはありませんが、保険料払込期間終了まで保険料を払い続ければ投資の素人でも貯蓄することができます。
そして、個人年金保険は保険金をいくらにするか、何年にわたって年金を受け取るかというような設計が比較的しやすいです。そのため、定年退職は何歳か、再雇用制度はあるのか、公的年金がいくらもらえるのかといった個々人の事情に合わせて契約をすることができます。
また、個人年金保険で支払った保険料は個人年金保険料控除の対象となるので所得税・住民税を安くすることができます。ただし、個人年金保険料控除の対象となるのは一定の条件を満たして税制適格特約を付けたもののみです。条件を満たさない場合は一般生命保険料控除の対象となります。控除額は変わらないのですが、他の生命保険と枠がかぶりやすくなります。
個人年金保険のデメリット
個人年金保険には以下のようなデメリットもあります。
個人年金保険は一部の商品を除いて契約時に利率が固定されてしまいます。高金利の時代であればこれはメリットといえるのですが、現在では超低金利の状態で固定してしまうこととなります。今後、インフレが発生した場合に個人年金保険で増えるよりも物価の上昇の方が大きくて実質的に受取額が目減りする可能性もあります。
また、個人年金保険を解約すると解約返戻金が戻ってきますが、早期に解約した場合は支払った保険料よりも解約返戻金の方が少なく、元本割れしてしまいます。契約してから思い違いに気づいてすぐに解約してしまわないように、また、保険金を高く設定しすぎて保険料の支払を続けられなくならないように契約前にしっかりと内容を確認する必要があります。
iDeCoとは
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、私的年金の一種で、毎月一定の掛け金を拠出して自分自身で運用し、その資産を60歳以降に年金または一時金で受け取る制度です。運用というとリスクがある商品ばかりかと思いがちですが、定期預金などの元本確保型の金融商品でも運用することができます。iDeCoは月額5,000円から始められ、掛け金の上限額は職業等で決められています(自営業:月額6万8000円、公務員:月額1万2000円など)。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは税制優遇があることです。以下の3つの税制優遇を受けることができます。
まず、掛け金の全額が所得控除の対象となります。これにより、所得税・住民税が節税できます。個人年金保険も所得控除がありますが、所得税が4万円、住民税が2万8000円という上限額があります。iDeCoにも掛け金の上限があるので必然的に所得控除額にも上限ができるのですが、仮に掛け金が月額5,000円(年間6万円)でも所得税・住民税ともに6万円の所得控除を受けられます。
所得がない専業主婦などにもうれしいのが、運用期間中の利益や利息が非課税になることです。通常、運用益には約20%の税金がかかります。これが引かれなくなるのは単に20%の税金分よりもメリットが大きいです。なぜかというと、運用期間中に利益が出た後の再投資の金額が大きくなるからです。税金で引かれる分も再投資に回せるので通常よりも資産を増やしていきやすいです。
また、60歳以降になり年金あるいは一時金で受け取るときの税金も軽減されています。年金で受け取る場合は公的年金等控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除の対象となります。特に退職所得控除は大きな控除なので、受取時の税負担も楽になります。
iDeCoのデメリット
iDeCoには次のようなデメリットもあります。
iDeCoは老齢給付金を目的としているので原則として60歳まで積み立てた資産を引き出すことはできません。所得控除を大きくするために掛け金を大きくしすぎて普段の生活が苦しくならないように注意が必要です。
また、口座開設時や運用期間中に手数料がかかります。手数料はiDeCoを取り扱う金融機関によって異なるので、金融機関を選ぶ際には手数料のことを考慮して選ぶ必要があります。所得控除の分を考えると実際には得をしている場合が多いのですが、手数料が高い金融機関では元本確保型の商品を選ぶハードルが上がります。
そして、iDeCoは毎月の掛け金の上限額が決まっています。そのため、iDeCoのみで老後資金を用意するのは難しいかもしれません。余裕があるのであれば個人年金保険にも加入したり、つみたてNISAなど他の資産形成のための制度を利用したりするのがよいかもしれません。
豆知識
個人年金保険とiDeCo、どっちが向いてる?
個人年金保険とiDeCoの説明をしてきましたが、結局のところどちらがよいのでしょうか。個人年金保険が向いている人の特徴、iDeCoが向いている人の特徴を紹介します。
個人年金保険が向いている人
シンプルな仕組みで、堅実かつ確実なリターンを求める運用初心者におすすめ
個人年金保険が向いているのは老後資金の準備を気軽に始めたい人やどのような金融商品を選べばよいのか分からず止まってしまう人です。個人年金保険はiDeCoと比べて制約が少ないので、iDeCoよりも簡単に開始でき、元本割れする場合もありますが途中解約することもできます。iDeCoは原則として60歳まで引き出すことができないので初心者が気軽に始めるのには少しハードルが高いかもしれません。
また、iDeCoを始めるのにはまず金融機関を選び、さらにその金融機関が取り扱っている金融商品から何で運用をするのか決める必要があります。投資に詳しい人であれば、手数料が最安の金融機関の中から取り扱っている金融商品などを見て選択できるのですが、そうでなければ一つ一つ調べて決めていく必要があります。何をどのように選べばよいのか分からず止まってしまうような場合は個人年金保険の方が向いていると言えるでしょう。
iDeCoが向いている人
ある程度金融商品の知識があり、リスクも加味しつつ高い利益を求める方におすすめ
iDeCoが向いているのは所得が高い人や自分で資産運用について調べられるという人です。iDeCoは掛け金が全額所得控除になります。所得が高い人ほど所得税率も高くなるのでメリットも大きくなります。また、このメリットを受け続けるには掛け金を支払い続ける必要があります。所得が高い人の方が掛け金を60歳まで支払い続けやすいでしょう。掛け金の支払いを停止してしまうと、その分の所得控除を受けられず、また手数料分の元本が減り続けることとなります。
自分でどの金融機関を選べばよいか、どの商品を運用すればよいのか調べることができる人もiDeCoに向いています。iDeCoには税制優遇があるのでただ投資信託などを購入するよりもメリットが大きいです。自分でいろいろと調べていける人は老後資金の用意にiDeCoを活用していくとよいでしょう。
個人年金保険とiDeCoは併用できる?
個人年金保険とiDeCoはどちらかを選ばなければならないわけではなく、併用することも可能です。ですが、個人年金保険の途中解約やiDeCoの拠出停止はデメリットが大きいので避けましょう。
個人年金保険とiDeCoを併用する場合は、以下のメリットとデメリットがあります。
メリット
●個人年金保険とiDeCoの節税を両方活用できる
●個人年金保険で老後資金を確保しつつ、iDeCoで大きく増やすことも狙える
デメリット
●個人年金の保険料とiDeCoの掛金で家計が圧迫されてしまう可能性がある
まとめ
老後資金を準備する様々な手段の中に個人年金保険とiDeCoがあります。個人年金保険はiDeCoよりも気軽に始めることができ、投資に拒否感がある人でも老後資金の準備を開始しやすいです。iDeCoは税制優遇に魅力があり、所得が高い人や自分で調べることができる人にはメリットが大きいです。運用次第ではありますが、個人年金保険よりも大きく増やすことも可能です。ただ、この2つはどちらかしか選べないというわけではありません。資産に余裕があるのであれば両方とも加入することもできます。そして、老後資金を貯めるのに何より大切なのが早く開始することです。貯める期間が長いほど毎月の負担も軽くなります。まずは資料請求からでもよいので具体的な行動を開始しましょう。