認知症は介護が必要となる原因の第1位であり、また、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になるという推計もあるなど、介護を考えるうえで認知症について考えるのは避けて通れません。親や自分が将来認知症になることを心配する人も多いと思いますが、認知症は何歳くらいからなるのが多いのでしょうか?
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高齢者の認知症の年齢別有病率
認知症施策推進のための有識者会議(第2回)資料1「認知症年齢別有病率の推移等について」によると、65歳以上高齢者の年齢階級別の認知症有病率は以下の通りです。
65-69歳 | 70-74歳 | 75-79歳 | 80-84歳 | 85-89歳 | 90-94歳 | 95歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 2.8% | 4.9% | 11.7% | 16.8% | 35.0% | 49.0% | 50.6% |
女性 | 3.8% | 3.9% | 14.4% | 24.2% | 43.9% | 65.1% | 83.7% |
全体 | 2.9% | 4.1% | 13.6% | 21.8% | 41.4% | 61.0% | 79.5% |
出典:認知症施策推進のための有識者会議(第2回)資料1「認知症年齢別有病率の推移等について」
有病率なので正確に何歳のときに発症したのかはわかりませんが、70代後半には7~8人に1人、80代前半には約5人に1人、80代後半には約5人に2人が認知症の状態にあるようです。また、60代後半~70代前半でもそれ以降の年齢代に比べれば少ないものの有病率は数%程度あり、「まだ若いから大丈夫」というわけにはいかないことがわかります。
若年性認知症の有病率
認知症は65歳以上の人がなることが多いですが、それより若くても認知症になる可能性はあります。65歳未満で発症する認知症を若年性認知症と呼びますが、これの有病率はどれくらいなのでしょうか。2009年に発表された厚生労働省「若年性認知症の実態などに関する調査結果の概要および厚生労働省の若年性認知症対策について」より、年齢階級別の若年性認知症の有病率(推計)を紹介します。
年齢 | 人口10万人当たり有病率(人) | 推定患者数(人) | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 総数 | ||
18-19 | 1.6 | 0.0 | 0.8 | 20 |
20-24 | 7.8 | 2.2 | 5.1 | 370 |
25-29 | 8.3 | 3.1 | 5.8 | 450 |
30-34 | 9.2 | 2.5 | 5.9 | 550 |
35-39 | 11.3 | 6.5 | 8.9 | 840 |
40-44 | 18.5 | 11.2 | 14.8 | 1,220 |
45-49 | 33.6 | 20.6 | 27.1 | 2,090 |
50-54 | 68.1 | 34.9 | 51.7 | 4,160 |
55-59 | 144.5 | 85.2 | 115.1 | 12,010 |
60-64 | 222.1 | 155.2 | 189.3 | 16,040 |
18-64 | 57.8 | 36.7 | 47.6 | 37,750 |
出典:厚生労働省「若年性認知症の実態などに関する調査結果の概要および厚生労働省の若年性認知症対策について」
推定発症年齢の平均は51.3±9.8歳(男性:51.1±9.8歳、女性:51.6±9.6歳)です。また、高齢者では女性の方が有病率が高かったですが、若年性認知症では男性の方が有病率が高くなっています。高齢者では女性の発症率が高いアルツハイマー病が多いのに対し、若年性認知症では男性の発症が多い脳血管性認知症が多く、これが一因となっているものと思われます。
脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症であり、脳血管障害の再発を起こすたびに悪化する傾向にあります。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防やすでになっている場合はそれらの治療が大切となります。
認知症予防のためには何ができる?
残念ながら現在では確実に認知症を防げるという方法は見つかっていません。しかし、認知症に対しては様々な研究が進んでいて、「効果が期待できる」「リスクを減らせる」というレベルのものであればいくつかの研究結果が出されています。認知症予防で大切となる食事、運動、知的活動について紹介します。
健康的な食事
栄養バランスのとれた食事をするように心がけましょう。規則正しく、1日20~30品目食べることで他の生活習慣病も予防することにもつながります。生活習慣病と認知症はかかわりが深く、糖尿病の方や高血圧の方の認知症リスクは健康な方よりも高いという調査もあります。
また、アメリカのラッシュ大学医療センターの研究によると、「マインド食」と呼ばれる食事をしっかりと取り入れた人はアルツハイマー病のリスクが53%下がり、部分的に取り入れた人でもアルツハイマー病のリスクが35%下がったとのことです。マインド食というのは、心疾患に効果があるとされる地中海式食事法と高血圧を防ぐとされるダッシュ食を組み合わせたものです。野菜やナッツ類、果物、魚介類、オリーブオイルを積極的にとり、脂肪やコレステロールを控え、塩分排出作用のあるミネラルを増やします。日本人は塩分を多く取りがちなので、減塩に気を配るとよいでしょう。
適度な運動
1日30分以上、週3回以上の運動によって認知症リスクが軽減することが示されています。激しい運動である必要はなく、ウォーキングなどでも効果があります。また、ただ体を動かすだけでなく頭も使うようにするとより効果的です。ウォーキングをしながら目についた数字を足し算していく、ラジオ体操をしながら1週間前の食事の献立を思い出す、ジョギングをしながら頭の中でしりとりをするなどです。国立長寿医療研究センターが開発した認知機能の維持・向上に役立つ運動である「コグニサイズ」を試してみるのもよいでしょう。
知的活動
知的活動というと難しそうに感じるかもしれませんが、楽器の演奏、読書、手芸、パズルやクイズ、オセロや将棋などの頭を使う趣味を行うのでも大丈夫です。認知症予防としてよく聞く脳トレも知的活動に含まれます。知的活動では脳の機能を多く使うので認知機能の維持・向上に役立つとされています。
また、人との交流も認知症予防に効果的です。読書会、オセロサークル、健康マージャン教室など、地域に自分の興味がある交流会などがあったら参加してみるのもよいでしょう。
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認知症の医療費・介護費はいくらかかる?
もし認知症になった場合、医療費や介護費でどれくらいの費用がかかるのでしょうか。慶応大学と厚生労働科学研究の共同研究グループによる推計から紹介します。
医療費
認知症に関する医療費として、1人あたりの入院医療費は34万4300円/月、外来医療費は3万9600円/月かかります。これは、全国の医療保険のレセプトデータから推計されています。
なお、この費用が全額自己負担となるわけではありません。所得水準にもよりますが、70歳以上75歳未満の高齢者は2割負担、75歳以上の後期高齢者は1割負担となります。また、高額療養費制度を利用することで、1カ月の医療費の自己負担額には上限が設けられます。毎月の上限額は70歳以上か否かや所得水準によって分けられています。例えば70歳以上で年収156万~約370万円の所得者の場合、外来の上限は個人ごとで月18,000円、入院および外来の上限は世帯ごとで月57,600円となっています。
介護費
認知症に関連する介護サービス利用者1人当たりの介護費は、在宅介護費219万円/年、施設介護費353万円/年です。なお、公的介護保険による自己負担額は、1割~3割です。所得水準によって自己負担割合は変わります。また、医療費と同様に高額介護(介護予防)サービス費によって月の自己負担額に上限が設けられていて、自己負担額の上限を超えた分については払い戻されます。高額介護サービス費については以下のコラムもご確認ください。
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インフォーマルケアコスト
インフォーマルケアとは、家族等が無償で実施するケア(介護)のことです。認知症の介護者を対象とした調査票による調査でインフォーマルケア時間を推計し、それに市場で購入していたら発生していた代替費用や介護の時間を労働に充てていたら得られるであろう賃金を組み合わせて計算した介護単価をかけてインフォーマルケアコストを推計しています。
この結果、インフォーマルケアにかかる時間は要介護者1人あたり24.97時間/週、インフォーマルケアコストは要介護者1人あたり382万円/年と推計されています。
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まとめ
認知症の有病率は70代後半で10%を超え、80代前半では20%前後、80代後半では40%前後と非常に高くなっていきます。認知症による介護のことを考えるうえでは、70代後半になったらいつ認知症になってもおかしくはないと思っておいてよいでしょう。また、それ以前においても認知症を発症する人はいますので、「まだ大丈夫」などと気を抜くのではなく健康的な食生活や知的活動などできることはやっておくのがよいでしょう。そして、いざ認知症となって介護が必要となったら多額の費用がかかりますので、自分の貯蓄で対応するのが難しそうであれば民間の介護保険や認知症保険も検討してみましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。