相続のコラム

おひとりさまの終活とは?老後に備えてやるべきことを解説!

投稿日:2022年7月4日 更新日:

「おひとりさま」の終活対策では、どのような事をしておくべきなのでしょうか。「もし対策をしなかった場合、どのようなリスクが潜んでいるのか」「対策をしたいがどうしたらよいか」「一人で対策は大変なので助けてくれる相談先はあるのか」「対策はいつ始めたらよいか」など「おひとりさま」の終活に対する不安を解消し、今後の人生を楽しむための考え方をまとめました。

おひとりさまの終活の特徴とは?計画的な準備や対策が必要!

最近よく耳にする「おひとりさま」とはどのような方のことを言うのでしょうか?
「おひとりさま」と言われると、まず「一人暮らしの方」の方を思い浮かべますが、その事情は様々です。必ずしも生涯独身の方だけでなく、死別や離婚により単身になった方、あるいはお子様やきょうだいはいるものの、遠方に住んでいたり、あまり仲が良くなかったりと頼みにくいので一人で様々なことを考えておかなければならないという方もいらっしゃいます。

更に、核家族化が進む中、単世帯の割合も増加しています。ご夫婦だけの世帯は、どちらかが亡くなると、「おひとりさま」になってしまうので、「おひとりさま予備軍」とも言われております。このように考えると、誰もが「おひとりさま」になる可能性があると言えますね。

それでは「終活」とは具体的にどのようなことなのでしょうか?
「終活」には、人生の終わりを迎えた時に、周囲の方が困らないようにしておくこと、延命治療の希望、葬儀や埋葬など自分らしい最期を迎えるための準備という意味があります。

ただ、筆者は「終活」の本当の効果は別にあると考えます。それは「終活」を行うと、これからの人生が輝いてくるという側面です。

「終活」を進めることで、自分らしい人生の最期を迎える準備が完了します。そうすると将来への不安が減ることで人生の最期が来るまでの今後の生活に目を向けやすくなります。

「終活」を進めていくと、感謝を伝えたい人や行ってみたかった場所、人生でやり残していることなどが思い浮かび今後の人生の目標が増えていきます。
「終活」は終わりのための活動と同時に、これからの人生を前向きに楽しく生きるための活動とも言えるのです。

特に「おひとりさま」の場合、「終活」の重要度は高くなります。
亡くなった場合、葬儀やお墓のことはもちろんですが、役所への届け出等様々なことを誰かに依頼する必要がありますし、生前についても、「認知症」等になってしまった場合の対応をどなたに頼むかなど、多くの懸念事項があります。

更に、「おひとりさま」の場合、その準備をご自身で主体的に進める必要がありますので、なるべく早く元気なうちに準備を進める必要性は高くなります。

ご自身がおひとりでの対策は、かなりの労力を必要としますので、周りの専門家に相談しサポートを求めるのも一つの方法だと思います。

おひとりさまの老後リスクとは?生前と亡くなった後のリスクについて解説!

それでは「おひとりさま」の老後リスクとしてどの様なお困りごとがあるか、生前と亡くなった後の両方で具体的に考えてみましょう。

生前に考えられるリスクとは?

  • ケガ病気等で入院する事になった場合病院に届ける保証人をどうするか?
  • 一人で自宅にいるとき動けなくなってしまった場合の対処方法。
  • 留守宅の管理をどうするか?
  • もしペットを飼っていたら、ペットの世話をどうするか?
  • 体が不自由になってしまった場合、日常生活や財産の管理をどうするか?
  • 認知症になってしまった場合、施設等の入居や財産管理をどうするか?

など、様々なお困りごとが発生する可能性があります。

亡くなった後のリスクとは?

  • 葬儀や埋葬をどうするか?亡くなった事を伝えたい連絡先は?
  • 役所への届け出(死亡届や健康保険の届け出等)をどうするか?
  • 利用しているサービス(ガス・電気・電話・インターネット等)の解約手続き。
  • ペットを飼っていたら、ペットの預け先をどうするか?
  • 遺された財産の相続方法(遺贈寄付等も含めて)。
  • 自宅に遺された遺品の整理をどうするか?

など、やはり沢山のお困りごとが発生することが分かりますね。

上記の通り、生前も亡くなった後も数多くのリスクがあります。しかも、ご自身の意思を示しておく必要はあることばかりですよね。

この例を見ていただくだけで、ご自身の意思でこの様なお困りごとが起きないように準備することの大切さを判っていただけると思います。

おひとりさまの終活でやるべきことは?断捨離の進め方やエンディングノートに書く内容についても解説!

身辺整理・断捨離について

これは、元気で暮らしている今しか出来ないことです。

例えば、明日認知症になってしまった、又は亡くなってしまったと想定して考えてみましょう。整理しておきたいもの、断捨離したいものが見えてくるはずです。

例えば

  • 生活用品や家具についても不要なものは無いか?
  • 金融機関の数やクレジットカードの数など、必要以上に保有していないか?
  • 必要性のない不動産を所有していないか?
  • ペットを飼っている場合、その子の行先は?

など、人それぞれですが少し考えるだけで様々なことが浮かんできませんか?

エンディングノートの作成

ご自身の理想の最期や想いを周囲に伝える方法の一つに、エンディングノートがあります。一冊のノートに生前から亡くなった後までの事をまとめておけますので、終活をしていくうえで欠かせないパートナーとなります。

エンディングノートは、「過去」「現在」「将来」についてまとめていきます。

「過去」について
  • 自分のルーツや親族関係をまとめる。
  • 家系図や親族関係図を作成することで、法定相続人や後見人の候補、遺産分割先の検討等をすることはもちろん、ご自身のルーツを改めて確認できます。
  • ご自身がどの様な人生を歩んで来たか振り返えることができます。
  • 親や親族はもちろんですが、学校関係など自分史を振り返る気持ちでエピソードや思い出を書き出してみます。自分の人生を振り返る、いいきっかけになります。
「現在」について
  • 現在の交友関係:いざという時、頼りたい人、連絡先等を記載します。
  • 財産関係(判り易くまとめるのと同時に、なるべく整理し必要最小限にしておくことが大切)
  • 金融機関の名前・支店名・口座番号等。
  • クレジットカードの枚数と保管場所。
  • 有価証券を保有している場合は。証券会社名。
  • 不動産について、種類や用途を詳細に。
  • 公的な年金について、種類や基礎年金番号等。
  • 保険について、保険会社や証券番号。
  • その他財産について
  • 医療関係:かかりつけのお医者さんや薬局。処方されている薬など。
「将来」について
  • 最期の迎えた時の事について:葬儀や埋葬方法の希望。
  • 遺品の整理
  • 遺産の分割方法:遺贈や寄付等の希望も含めて。
  • 現在から最期までの過ごし方
  • これから行ってみたい場所や会っておきたい人を思い浮かべる。
  • 感謝の気持ちをまとめてみる。

※エンディングノートはこの様に様々な項目を記しておくことが出来ますのでやるべきことを整理しながら終活を進めていくための良いツールです。また、最期の時の準備をすることで気持ちが落ち着き、これからの人生をより深く考えることが出来、人生が充実していくことを実感される方も多くいらっしゃいます。
この様なお話から、筆者は、これからの人生の充実感を得ることが「終活」の最大の目的であると考えています。

おひとりさまの終活で行うべき手続きは?遺言状の作成や専門家との契約締結を検討しよう!

終活の希望の形が整ったら、その実現に向けての準備に入ります。
特におひとさまの場合、ご自身が亡くなったり動けなくなったりした後、困ってしまう可能性が高いので、どなたか信頼できる人に希望の実現を頼んでおく必要があります。
その方法のひとつとして、専門家に依頼して公正証書による契約をしておく方法があります。その一例をいくつかのケースに沿って挙げていきましょう。

財産管理等委任契約

気持ちはしっかりしているが、身体が不自由になってしまい誰かの助けが必要となってしまった場合に、様々な事を委任する人を決めてあらかじめ結んでおく契約です。頼みたい人とその事柄を細かく設定し公正証書にて契約を結んでおきます。

任意後見契約

認知症等になってしまい、ご自身の意思では何も出来なくなってしまった場合に後見人を頼みたい人と、その頼みたい内容も含め公正証書にて契約を結んでおきます。こちらは、公証人の嘱託により法務局に登記されることになります。

死後事務委任契約

亡くなった後、役所への届け出から葬儀埋葬、SNSアカウントの処理等に至る、数多くの事柄について、亡くなった後にすべき事と依頼したい人を決めて公正証書で契約を結んでおきます。

遺言書

基本的に遺産を受け取ることができるのは法定相続人のみとなっています。

ただ、おひとりさまの中には法定相続人がいない方、いたとしてもお世話になった人や団体などに遺産を渡したいという方も、多くいらっしゃいます。

遺贈寄付は遺言書で

例えば、生前お世話になった親戚の子や会社、最近では慈善団体に寄付(遺贈寄付)を希望される方も多くいらっしゃいます。そのような場合は、遺言書にその旨を遺すことにより希望を実現させることができます。

遺言書の遺し方

遺言書も公正証書や自筆証書等いくつかの方法がありますが、確実性を考えると公証役場で公正証書を作成しておくことがベターではないかと思います。

遺言執行者を依頼

おひとりさまに限らずですが、せっかく遺した遺言ですので、その内容の通り執行してくれる遺言執行者を指定しておくことも重要となります。

この項では、理想の終活を実現するための様々な方法をお伝えしてきました。
この中で、重要なポイントを上げるとすれば、これらの対策はそれぞれが別々のように見えますが、実は一つの流れで繋がっているということです。前提として理想とする終活があり、その流れに沿って活用する契約などがあります。
この様な観点から、これらを依頼するのは全てを同じ専門家や同じ人に依頼することが重要です。

どこかを切り取って別の方にお願いすると、そこで理想とは違う方向にいかないとも限りません。根底にある、ご自身の理想の終活を共に実現してくれる専門家や士業の先生を選ぶべきでしょう。

ただ、中には専門の士業の先生にしかできないこともあります。何人かの士業の先生に入ってもらう必要があるケースもあります。

最近では「相続コンサルタント」と言って、様々な士業の先生と連携し、根底の理想の終活を1から10まで一緒に作り上げてくれる専門家もいます。ご自身の理想の終活を理解しているコンサルタントは、司令塔の役割も期待できます。
この様な専門家と手を取り合って一緒に作り上げていくのも一つの有効な方法かもしれません。

まとめ

「終活」は大切なことで、なるべく早く始めたほうが良さそうだということ。特に「おひとりさま」については、多くの課題があることは分かっていただけたのではないでしょうか。
このコラムが、ご自身の理想の最期を描き、そこまでの人生をより充実した人生にするために一度立ち止まって「終活」を考えていただく、そんなきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


栗原久人
笑顔相続サロン®静岡代表
FP事務所 LP想暖や代表
保険代理店 有限会社シー・フィールド代表取締役

上級相続診断士・終活カウンセラー・ファイナンシャルプランナー(AFP)生前整理カウンセラー・住宅ローンアドバイザー
ファイナンシャルプランナー歴・保険代理店経営歴共に20年、ライフプランや家計の見直し等の相談件数は2000件以上。
2019年笑顔相続サロン®静岡を開設 特に相続診断士×ファイナンシャルプランナー×終活カウンセラーの要素を活かした、終活+生前+相続のトータル対策を得意としている。

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