【自己紹介】
筆者は35歳既婚、家族構成は妻・息子が2人、両親と3世帯の同居です。
職歴は、新卒で証券会社を2年、小学校教諭を6年、保険会社を4年経験しています。
そんな金融知識、相続の知識がある30代という立場からコラムで発信したいと思います。
読者の方が年配の方なら息子が、若い方なら同世代が話していると思って読んでいただけると嬉しいです。
誰に相談したら良いの?
今コラムを読んで頂いているということは、相続についてお悩みを持たれている段階だと思います。
ただ、何から始めてよいかわからず、どこに相談したらよいかわからない状況ではないでしょうか。もちろんインズウェブさんから相続診断士の方に相談するのも良いですし、知り合いの相続専門の士業の方に相談するのも良いと思います。
それに加えて、私は現在加入されている生命保険業の方に相談するのも一つの方法だと思っております。
生命保険は加入時にライフプランニングしてもらうことが多いので、担当者とある程度の関係性ができていて、自分の資産を把握してくれていますし無料で相談に乗ってもらえる上に生命保険というのは、相続と密接に関係しているからです。
生命保険の受取人は誰?
生命保険金の受取人、ご自身が加入されている保険に関しては把握されていると思いますが、ご両親の加入されている生命保険の受取人は把握されていますでしょうか。
兄弟がいる場合は、保険金の受取人によって思わぬ争いを生んでしまう場合があります。
例えば80歳の母、55歳の長男家族が同居していて、次男家族、三男家族は別で住んでいる家族がいるとします。多くの場合は母親が先に亡くなり、そのまま家と土地は長男が相続して、金融財産を3人で分けることになると思います。
母親の財産が家土地合わせて1800万円、金融資産600万円だったとします。日本の場合、財産の約4割が不動産です。法定相続分を単純計算すると、2400万円を3人で分けるので1人800万円ずつになります。
しかし、自宅不動産は分けにくいので長男が1800万円、次男三男が300万円ずつ分けたとします。長男からすると築年数がたった家を管理していくのに現金はもらえない、次男三男からしたら、法定相続分800万円はおろか遺留分の400万円も満たしていない。
すごく仲がよければ良いですが、争族が起こりそうな雰囲気がありますよね。
死亡保障1500万円の生命保険に加入していたら?
多くの方が生命保険に加入されていると思います。
母親が、死亡保障1500万円(相続人3人なら非課税)の生命保険に加入していて、受取人を平等に500万円ずつ3等分に設定していたとします。長男は家土地と500万円、次男三男は合わせて800万円のお金がもらえるので、兄弟仲が良ければ解決しそうですね。
兄弟仲が良くなければ
この場合法定相続分も満たしているので、仲が悪くても問題無さそうに感じると思いますが、実は落とし穴が隠されています。
生命保険の保険金は受取人固有の財産でみなし相続財産となります。
よって次男三男が保険金として受け取った500万円は相続財産には入らず、長男は500万円から遺留分の残り100万円ずつは渡さないといけなくなります。
そうなると資産の分割が、長男は自宅不動産と300万円、次男三男は保険金と合わせて900万円になります。家族関係によってはこれで良いかもしれませんが、関係が悪くなる可能性が高くなりそうです。
代償分割
では生命保険金の受取人を長男のみにするとどうでしょうか。長男が1500万円を受け取った後、次男三男に代償分割する方法があります。
次の3つ条件をクリアすると、代償分割として非課税でお金を贈与できます。
- 代償する方が遺産を相続している。
- 代償する額が相続したプラスの財産を超えていない。
- 遺産分割協議書に代償分割の旨を明記すること。
長男が400万円ずつ代償分割した結果、長男は家土地と700万円、次男三男は700万円ずつお金をもらうことができます。これなら揉めることは少なそうです。
もちろん事前に家族で話し合って、他の財産と合わせて代償分割する割合を決めることが大切です。
まとめ
生命保険の受取人を工夫することで、無用な争いを防ぐことができるかもしれません。生命保険には死亡してすぐ現金が給付される、非課税枠がある、受取人を指定できるというメリットがあるので、多くの人が加入しています。
その生命保険金の受け取り方次第で、皆さんのお悩みが解決されるかもしれません。
もし生命保険の担当者が相続に明るい方でしたら、一度相談してみてはいかがでしょうか 。
小谷 祐介(コタニ ユウスケ)
奈良教育大学保健体育科卒業
証券会社に2年勤務
小学校教諭に6年勤務
外資系金融機関で4年間勤務
今年度から保険代理店EXE Insuranceで勤務
金融機関と教育機関に勤めた経験から、
親のマネーリテラシーが子どもに影響を与えることに気付き、
親向けにセミナーを展開している。