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終身保険のコラム

死亡保険の受取人が孫だと損?税金面で知っておきたい注意点

投稿日:2020年7月7日 更新日:

死亡保険や終身保険を契約する際には受取人を決める必要があります。子供や配偶者などを設定することが多いですが、中には孫を受取人にしたいという人もいると思います。しかし、受取人を孫にする場合は主に税金面で損する可能性があります。相続税がかかる時の注意点を解説します。

記事の要約
  • 死亡保険金の受取人を孫にすると、死亡保険金の非課税枠は使えない、相続税額が2割加算される、生前贈与加算の対象になる等のデメリットがある。
  • 孫が未成年の場合、保険金の請求は親権者や未成年後見人が手続きをおこなう。
  • 孫に財産を残す方法として、暦年贈与や住宅取得資金、結婚・子育て資金の一括贈与などを活用することもできる。

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死亡保険の受取人に孫を指定できる?

一般的に、死亡保険の受取人は配偶者や2親等以内の血族(子、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫)となり、孫を指定することが可能です。生命保険の死亡保険金を受け取る際には税金がかかり、契約者と保険金の受取人の関係によってかかる税金の種類が以下のように変わります。

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
A A B 相続税
A B A 所得税・住民税
A B C 贈与税

相続税がかかるケース

例えば、契約者(保険料を支払っている人)と被保険者が祖父で孫が受け取る場合は相続税がかかります。受取人を子どもや配偶者ではなく孫にすることで相続税が高くなる可能性があるため、孫を受取人に指定する際は注意が必要です。

贈与税がかかるケース

なお、贈与税がかかるケースもあります。祖母の保険を祖父が支払い、孫が死亡保険金を受け取るなど、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合は贈与税の課税対象となります。

死亡保険金の受取人を孫にする場合の注意点

死亡保険金の受取人を孫に指定すると財産を直接残せることができますが、税負担が増える場合や、未成年の請求手続きに注意が必要な場合があります。孫を受取人にする前に、どのようなデメリットや手続き上の注意点があるのか確認しておきましょう。

死亡保険金の非課税枠が使えない

死亡保険金には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。
例えば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人で3000万円を相続人が受け取る場合、死亡保険金から「500万円×3=1500万円」が非課税となり、残りの1500万円が課税対象になります。もし現金で受け取った場合は3000万円がそのまま相続税の課税対象となるので、現金で残すより死亡保険金として残した方がかかる税金が少なくなります。
しかし、この制度が適用されるのは法定相続人が保険金を受け取る時のみです。特別な事情がない限り、孫は法定相続人にあたらないため非課税枠を使うことはできません。

相続税額が2割加算される

被相続人の配偶者と1親等の血族以外の人が財産を相続した場合、相続税額が2割加算されます。孫は2親等になるため、相続税額が2割加算されてしまいます。孫を養子縁組した場合も同様に加算されます。ただし、子が死亡していて孫が代襲相続人となっている場合では2割加算はされません。

生前贈与加算の対象になる

生前贈与加算とは、相続開始前の3年(7年)以内におこなわれた生前贈与は相続財産として加算され、相続税の対象になるという制度です。亡くなる直前に贈与をして相続税を少なくすることを防ぐ目的があります。
通常、孫は相続などにより財産を取得しないので、生前に財産を贈与されていても生前贈与加算の対象にはなりません。しかし、死亡保険金の受取人になった場合は相続財産を受け取ったことになるので、相続開始3年(7年)以内に贈与を受けた財産についても相続税の対象となってしまいます。

生前贈与加算が7年以内に変更

2024年1月より、贈与加算は相続開始3年以内から「7年以内」に変更となりました。いきなり7年になる訳ではなく、2027年1月より段階的に加算期間が延長されます。具体的に対象となる期間は以下の通りです。

被相続人の相続開始日 加算対象期間
~2026年12月31日 相続開始前3年以内
(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
2027年1月1日~2030年12月31日 2024年1月1日から死亡の日までの間
2031年1月1日~ 相続開始前7年以内
(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

孫が未成年の場合は本人が保険金を請求できない

税金とは関係ありませんが、保険金請求時にも注意点があります。被保険者が亡くなったときに孫が未成年であった場合、未成年は保険金の請求ができないので法定代理人(親権者・未成年後見人)が手続きを行うことになります。子供ではなく孫にお金を渡したいと思っていてもうまくいかない可能性があることには注意してください。

こうした税負担を避けたい場合は、受取人の設定を見直すだけでなく、保障内容や保険の種類自体を見直すことも一つの方法です。保険会社によって保障内容や保険料はさまざまなので、複数社を比較するとご家族の状況に合った死亡保障が見つかりやすくなります。

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孫に財産を残すなら生前贈与もあり

保険金の受取人を孫にすると相続税がかかってしまいますが、生前贈与をおこなって財産を残すという方法もあります。

暦年贈与の場合

暦年贈与では、1月1日から12月31日までの1年間の贈与が課税対象となりますが、110万円の基礎控除があります。年間110万円を超えない範囲で少しずつ贈与を行っていけば贈与税はかかりません。ただし、「10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与する」などという取り決めのもと贈与を行った場合は、定期贈与として合計である1000万円に対して贈与税がかかります。心配な場合には税理士などに相談の上贈与を行うとよいでしょう。

一括贈与する場合

一括贈与をする場合には基本的に贈与税がかかってしまいますが、直系尊属(祖父母や父母など)からの一括贈与には非課税制度が用意されていることもあります。

住宅取得等資金の贈与

2026年12月31日までの時限制度ですが、直系尊属(祖父母や父母など)から住宅の新築や取得、増築のための費用を贈与しても、一定の条件を満たせば贈与税がかかりません。非課税となるのは最大1000万円までですが、住宅の性能(省エネや耐震性、バリアフリーなど)によって変わります。子や孫の年齢は18歳以上であること、前年の合計所得金額が2000万円以下、住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下などの条件があります。
なお、この制度を使って贈与が非課税になる場合でも、贈与税の申告が必要となります。

参考:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

結婚・子育て資金の一括贈与

2027年3月31日までの時限制度ですが、直系尊属(祖父母や父母など)から子や孫に結婚・子育て資金を贈与した場合、1000万円まで(結婚に関しては300万円まで)は贈与税がかかりません。子や孫の年齢は18歳以上50歳未満が対象で、前年の合計所得金額が1000万円以下などの条件があります。
専用口座の開設や領収書の提出など面倒なこともありますが、非課税で大きな額を贈与することができます。資金の用途は挙式等の婚礼費用、妊娠・出産の費用、保育園・幼稚園の保育料などです。なお、使い切れなかった分については贈与税の課税対象となります。

参考:国税庁「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

よくある質問

死亡保険金を孫が受け取ると必ず相続税が高くなる?

必ずしも相続税が高くなるわけではありません。死亡保険金を含めて相続財産全体が基礎控除の範囲内(3000万円+600万円×法定相続人の数)に収まっていれば、そもそも相続税はかかりません。
ただし、孫は原則として非課税枠が使えないため、相続財産が基礎控除内に収まらなくなり課税対象に変わってしまうケースがあります。相続税がかかる場合は2割加算になるため、注意が必要です。

孫を養子にすれば2割加算は回避できる?

回避できません。孫を養子縁組して法定相続人にした場合でも2親等の血族という扱いになるため、「相続税額の2割加算」の対象となります。
なお、養子縁組によって法定相続人の数が増えることで、基礎控除額や死亡保険金の非課税枠が増えるメリットがあります。養子にせず生前贈与をする方が税負担を抑えられるケースもあるため、財産贈与を目的に養子縁組を検討する際は慎重に判断することが大切です。

代襲相続の場合の2割加算はどうなる?

孫が「代襲相続人」となっている場合は2割加算されません。
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった子供(孫から見た親)がすでに亡くなっている場合に、その子供に代わって孫が相続人の地位を引き継ぐ制度です。相続人となるため、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されます。

まとめ

死亡保険金の受取人を孫にした場合、死亡保険金の非課税枠が使えず、相続税が2割加算になることがあります。生前贈与加算の対象にもなるため、孫を受取人にする場合はこれらの注意点は必ず理解しておきましょう。
死亡保険の受取人を誰にするか、どのような保障内容にするかは、ご家族の構成や資産状況によって変わります。まずは複数の終身保険を比べて、ご自身やご家族に合った保障内容・保険料を確認してみてはいかがでしょうか。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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