病気やケガで長期間働けなくなることに備える保険として就業不能保険がありますが、実際のところ、長期間働けなくなる人はどれくらいいるのでしょうか?年齢階級別の入院期間の統計データより紹介します。
※就業不能保険では医師の指示による在宅療養なども対象となりますが、ここでは入院のみのデータを紹介します。
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2か月以上入院している人はどれくらい?
厚生労働省「令和2年患者調査」より、年齢階級別に入院期間が2か月以上の推計入院患者数を紹介します。2か月を区切りとしているのは、多くの就業不能保険で免責期間を60日としているからです。また、各年齢階級の人口をもとに計算した人口10万人当たりの数値も併せて紹介します。
年齢階級 | 長期入院患者数 | 人口10万人当たり |
---|---|---|
20~24歳 | 2,700人 | 42.7人 |
25~29歳 | 3,600人 | 56.4人 |
30~34歳 | 4,800人 | 71.5人 |
35~39歳 | 7,200人 | 96.0人 |
40~44歳 | 9,900人 | 116.8人 |
45~49歳 | 16,500人 | 167.2人 |
50~54歳 | 20,500人 | 234.6人 |
55~59歳 | 26,400人 | 332.5人 |
60~64歳 | 32,200人 | 432.7人 |
※長期入院患者数は入院期間が2か月以上の推計患者数、各年齢階級の人口は令和2年10月1日現在のもの
出典:厚生労働省「令和2年患者調査」、総務省統計局「人口推計」
年齢が高くなるにつれて、2か月以上の長期入院患者数が増えていくことが分かります。ちなみに、2020年の年末ジャンボ宝くじの当選確率は1等7億円が2000万分の1なので、単純比較はできないものの、1等が当たるよりも長期入院をする確率の方が高そうです。4等1万円が1万分の1、5等3,000円が100分の1なので長期入院は4等と5等の間の頻度です。
死亡率と比較すると?
つづいて、年齢階級別の10万人当たりの長期入院患者数と死亡者数を比較します。
年齢階級 | 人口10万人当たり | |
---|---|---|
長期入院患者数 | 死亡者数 | |
20~24歳 | 42.7人 | 36.8人 |
25~29歳 | 56.4人 | 38人 |
30~34歳 | 71.5人 | 46.4人 |
35~39歳 | 96.0人 | 63.6人 |
40~44歳 | 116.8人 | 94.3人 |
45~49歳 | 167.2人 | 149.2人 |
50~54歳 | 234.6人 | 235.5人 |
55~59歳 | 332.4人 | 361人 |
60~64歳 | 432.7人 | 571.3人 |
※長期入院患者数は入院期間が2か月以上の推計患者数、各年齢階級の人口は令和2年現在のもの
出典:厚生労働省「令和2年患者調査」、総務省統計局「人口推計」、厚生労働省「平成令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」
45~49歳までは各年齢階級で長期入院患者数が死亡者数を上回っています。長期入院も起こり得るものだと考えて備えておく必要があることが分かると思います。長期入院は永続的に収入が絶たれるわけではありませんが、その期間は治療費等で出費が増え、収入も減少あるいはなくなってしまいます。そうした状況になってしまったときに家計が耐えられないのであれば、就業不能保険などで備えておくことが大切でしょう。
長期入院時の自己負担額は?
長期入院をする可能性は十分にあるということが分かったところで、次に気になるものとしては長期入院時の費用があります。あまりかからないのであれば特別備える必要もありませんが、多くの費用がかかるのであれば何かしらの備えをしておく必要性が生じます。どれくらいの自己負担額が発生するのか、生命保険文化センターの令和4年度「生活保障に関する調査」より紹介します。
生命保険文化センター「令和4年度『生活保障に関する調査』」によると、過去5年以内に入院し、自己負担費用を払った人の入院日数別の自己負担費用は以下の通りになっています。
n | 平均 | 5万円未満 | 5~10万円未満 | 10~20万円未満 | 20~30万円未満 | 30~50万円未満 | 50~100万円未満 | 100万円以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 373 | 8.6万円 | 25.2% | 35.1% | 11.5% | 9.4% | 6.7% | 3.5% | 21.2% |
5日未満 | 60 | 9.2万円 | 28.3% | 33.3% | 28.3% | 6.7% | 1.7% | 1.7% | 0.0% |
5~7日 | 93 | 17.1万円 | 6.5% | 32.3% | 37.6% | 10.8% | 8.6% | 2.2% | 2.2% |
8~14日 | 62 | 18.3万円 | 6.5% | 24.2% | 41.9% | 14.5% | 9.7 | 0.0% | 3.2% |
15~30日 | 55 | 23.6万円 | 3.6% | 9.1% | 43.6% | 14.5% | 16.4 | 10.9% | 1.8% |
31~60日 | 15 | 24.6万円 | 6.7%% | 13.3% | 33.3% | 20.0% | 20.0% | 0.0% | 6.7% |
61日以上 | 7 | 114.3万円 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0.0% | 28.6% | 57.1% |
※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
出典:生命保険文化センター「令和4年度『生活保障に関する調査』」
調査した11人の結果ではありますが、61日以上と長期入院した場合の自己負担費用は平均で60.9万円となかなかの金額となっています。11人中7人が50~100万円かかったという結果であり、長期入院したらこれくらいの自己負担は覚悟しなければならないでしょう。
また、長期入院時には治療費などの負担だけではなく働けないことによる収入の減少も考えられます。同調査では逸失収入についても調査を行っています。入院時の自己負担と逸失収入の合計は以下の表のようになります。
n | 平均 | 5万円未満 | 5~10万円未満 | 10~20万円未満 | 20~30万円未満 | 30~50万円未満 | 50~100万円未満 | 100万円以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 510 | 7.6% | 23.3% | 32.0% | 13.7% | 10.8% | 7.5% | 5.1% | 26.8% |
5日未満 | 104 | 9.6万円 | 22.1% | 39.4% | 25.0% | 11.5% | 1.0% | 1.0% | 0.0% |
5~7日 | 143 | 18.9万円 | 4.2% | 29.4% | 35.0% | 15.4% | 11.2% | 3.5% | 1.4% |
8~14日 | 119 | 26.3万円 | 5.9% | 21.0% | 38.7% | 14.3% | 9.2% | 5.0% | 5.9% |
15~30日 | 101 | 38.6万円 | 2.0% | 8.9% | 33.7% | 12.9% | 19.8% | 12.9% | 9.9% |
31~60日 | 29 | 44.8万円 | 3.4% | 6.9% | 20.7% | 17.2% | 20.7% | 20.7% | 10.3% |
61日以上 | 10 | 96.5万円 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0.0% | 50.0% | 30.0% |
※自己負担費用は治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
※自己負担費用がない場合、逸失収入がない場合は0円として平均を算出
出典:生命保険文化センター「令和4年度『生活保障に関する調査』」
逸失収入も合わせると平均で92.7万円という結果になっています。こうした金額を貯蓄から賄えないという場合は就業不能保険などで備えるとよいでしょう。
まとめ
多くの就業不能保険の免責期間である60日以上の長期入院をする人は、20歳~54歳においては死亡する人よりも多くなっています。長期入院には多くの自己負担費用が必要であり、さらにその期間の収入も減少あるいはなくなってしまうことも考えられるため、十分な貯蓄がない場合には就業不能保険で備えておくことを検討してみましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。