個人年金保険のコラム

個人年金保険は受取人が誰かで税金が変わる!本人以外は要注意

投稿日:2021年6月15日 更新日:

主に老後資金のために加入する個人年金保険ですが、受取時には税金がかかります。契約者(保険料負担者)と受取人との関係でかかる税金の種類が変わりますので、特に受取人を本人以外にしようとしている、本人以外になっている場合は注意してください。

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契約者・受取人と税金の関係

早速ですが契約者・年金受取人と税金の関係について表にまとめます。まずは年金受取前に被保険者が死亡することなく、受取人が年金を受け取ったというケースを考えます。

契約者 受取人 税金の種類
A A 年金形式:所得税(雑所得)
一括受取:所得税(一時所得)
A B 受取開始時:贈与税
年金受取時:所得税(雑所得)

契約者(保険料負担者)と受取人が同じの場合、所得税の課税対象となります。保険金を年金形式で受け取った場合は雑所得、保険金を一括で受け取った場合は一時所得にあたります。

契約者(保険料負担者)と受取人が異なる場合では多少ややこしくなります。まず、年金受取開始時に相続税法上の年金受給権評価額に対して贈与税が課税されます。年金を受け取ることができる権利の贈与を受けたという形です。そして、毎年の年金受取時に年金の課税部分に対して所得税(雑所得)が課税されます。このとき、二重課税を防ぐために贈与税を支払った分については所得税は非課税となります。詳しくは国税庁のタックスアンサーなどをご確認ください。

年金受給権評価額

以下のいずれか多い額が年金受給権の評価額となる。

  1. 解約返戻金の額
  2. 年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
  3. 予定利率等をもとに算出した金額

年金受取前に被保険者が死亡した場合は?

残念ながら年金受取前に被保険者が死亡してしまった場合、死亡給付金受取人に対して死亡給付金が支払われます。この場合についても契約者(保険料負担者)・被保険者・保険金受取人と税金の種類の関係について表にまとめます。

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
A A B 相続税
A B A 所得税
A B C 贈与税

契約者と被保険者が夫で受取人が妻の場合など契約者=被保険者≠受取人の場合は相続税、契約者と受取人が妻で被保険者が夫の場合など契約者=受取人≠被保険者の場合は所得税(一括受取の場合は一時所得、年金形式の場合は雑所得)、契約者が妻、被保険者が夫、受取人が子など契約者≠被保険者≠受取人の場合は贈与税の課税対象となります。

年金受取人が死亡してしまった場合は?

年金受取人が死亡して遺族の方が年金受給権を取得した場合、契約者(保険料負担者)・年金受給権の取得者との関係により税金の種類が変わります。

年金受給権への課税

年金受取人 契約者 受給権取得者 税金の種類
A A B 相続税
A B C 贈与税

死亡した年金受取人が契約者(保険料負担者)であった場合、取得した年金受給権は相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。死亡した年金受取人および受給権取得者が契約者(保険料負担者)ではない場合、取得した年金受給権は贈与により取得したとみなされて贈与税の課税対象となります。

年金への課税

毎年支払いを受ける年金は所得税(雑所得)の課税対象となります。相続税や贈与税の対象となった部分に対しては課税対象とならず非課税です。年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により計算します。詳しくは国税庁のタックスアンサーなどをご確認ください。

税金のかかり方の例

税金額がどのように計算されるのか、契約者と受取人が同じ場合と異なる場合に分けて紹介します。

契約者と受取人が同じ場合

保険金を年金形式で受け取る場合は所得税(雑所得)の課税対象で、保険金を一括で受け取る場合は所得税(一時所得)の課税対象となります。

雑所得の場合

雑所得の金額は以下で計算されます。

総収入金額-必要経費

個人年金保険に当てはめると以下のようになります。

その年の年金額-その年の年金額×払込保険料総額÷年金受取総額

例えば、年金額75万円、払込保険料総額288万円、年金受取総額300万円の場合、雑所得は75万円-75万円×288万円÷300万円=3万円です。

計算して得られた雑所得は給与所得等の他の所得の金額と合計して総所得金額を求めて収める所得税を計算します。

一時所得の場合

一時所得の金額は以下で計算されます。

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

個人年金保険の保険金以外に一時所得がない場合、個人年金保険によって増えた金額が50万円以下であれば所得税は課税されません。他に一時所得があったり、高額の契約をしていたりして一時所得の金額が50万円を超えた場合は、上の式で計算した金額を1/2にして、給与所得などの他の所得と合算して所得税の金額を計算します。

例えば、保険金が一括で300万円、保険料総額が270万円という場合、他に一時所得がなければ50万円の特別控除に収まるので所得税は課税されません。保険金が一括で600万円、保険料総額が540万円という場合では、他に一時所得がないとすると、(600万円-540万円-50万円)×1/2=5万円が所得税の計算に使われます。

所得税の速算表

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超 330万円以下10%97,500円
330万円超 695万円以下20%427,500円
695万円超 900万円以下23%636,000円
900万円超 1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超 4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

※2037年までは復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)もかかります。

契約者と受取人が異なる場合

被保険者が死亡せず、また、契約者と受取人が異なる場合、年金受取開始時に年金受給権評価額に対して贈与税が課税され、年金受取時に所得税(雑所得)が課税されます。

贈与税

暦年贈与の場合、1月1日~12月31日の1年間に受け取った金額の合計に対して贈与税額を計算します。計算式は以下の通りです。

贈与税額=(受け取った金額-基礎控除110万円)×税率-控除額

税率及び控除額は以下の表の通りです。

一般税率

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%-
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

特例税率
(直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与の場合)

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%-
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1000万円以下30%90万円
1500万円以下40%190万円
3000万円以下45%265万円
4500万円以下50%415万円
4500万円超55%640万円

一般税率適用の場合、例えば年金受給権評価額が285万円で他に贈与がない場合だと、基礎控除110万円を引いた175万円は200万円以下なので、175万円×10%=17.5万円が贈与税額となります。

所得税(雑所得)

二重課税を避けるために贈与税の対象となった分については非課税となります。そのため、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していきます。総収入金額-必要経費が雑所得になるというのは変わりませんが、収入額や必要経費にあたる部分の考え方が少々ややこしいです。詳しい内容は国税庁のタックスアンサーなどをご確認ください。

税金のことを考えるのであれば契約者=受取人

所得税が必要経費を引いた利益部分に課税されるのに対して、贈与税は110万円の基礎控除はあるものの受け取った額全体で税金額が計算されるので支払わなければならない税金額が大きくなりがちです。そのため、税金額のことだけを考えるのであれば契約者と受取人が同一である方が得になりやすいです。契約者と受取人を別の人にしたい事情がなければ、契約者と受取人を同一人物にして契約するのがよいでしょう。

契約後に契約者や受取人の変更はできる?

所得税・住民税については受け取った保険金とその保険金に相当する分の保険料の差額を利益としてその部分に課税されるので、よほど大きな金額での契約でなければ気にならない程度の税金額になると思います。しかし、贈与税については受け取った年金受給権がそのまま課税対象となるので支払う税金額が大きくなりやすいです。贈与税のことを考えて契約者や受取人を変更したいという場合は、年金の受取開始前で死亡給付金の支払事由が発生する前であれば、被保険者の同意のもとで変更することが可能です。

なお、契約者を変更する場合は税金について注意が必要なことがあります。それは、年金を受け取る際に、前の契約者が保険料を払い込んでいた期間の分については変わらず贈与税の課税対象となることです。この方法で贈与税を回避することはできません。また、保険会社から税務署へと提出する調書によって契約者が変更したことが分かってしまうので、「黙っていればバレない」ということもありません。

ちなみに、契約者死亡によらず契約者変更を行う場合は変更時点で税金がかかるということはなく、年金受取時や死亡給付金受取時に税金がかかることになります。

保険料分のお金を贈与するという方法も

例えば保険料の負担者を親、年金の受取人を子としたい場合、そのまま「契約者=親、受取人=子」という形で契約すると贈与税の課税対象となります。これを避けるためには「契約者=子、年金受取人=子」という内容で契約し、その契約にかかる保険料を毎年親から子に贈与するという方法も考えられます。この方法であれば1年で多額の贈与をするのではないので、毎年基礎控除も受けられ、贈与税額を抑えることができます。

ただし、この方法を安易にとると、定期贈与と見なされ、1年ごとの贈与額ではなく贈与の合計額に対して贈与税が課される可能性があります。定期贈与というのは、「10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与する」という取り決めのもと贈与を行った場合のように、一定期間一定の給付を目的に行う贈与のことです。

また、親ではなく子が保険料を負担したことを明確にする必要があるでしょう。親がその契約で生命保険料控除を受けていたり、親の口座から保険料が引き落とされていたりした場合は、子ではなく親が保険料を支払っているとみなされてしまいます。子が保険料を払っているということが客観的に分かるようにすることが大切です。

自分だけの判断で安易に決めるのではなく、税理士等に相談の上で贈与を行うとよいでしょう。

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まとめ

個人年金保険は保険金が課税対象となりますが、かかる税金の種類は契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人の関係によって変わります。個々の事情はあると思いますが、税金額のことだけを考えるのであれば契約者=受取人として所得税がかかる形にするのが税金額を抑えやすいです。契約者や受取人は年金受取前で死亡給付金の支払事由が発生する前であれば、被保険者の同意のもとで変更することができますが、契約者を変更したとしても前の契約者が保険料を支払った分にあたる保険金の課税関係は変わらないのでご注意ください。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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