脳梗塞は入院期間が長くなりやすく、再発の可能性の高い病気でもあります。医療保険に加入して治療費等に備えたいと考える人もいるかもしれませんが、一度脳梗塞になった後は医療保険に加入するのが難しくなってしまいます。新規に医療保険に加入するのはあきらめるしかないのでしょうか?
目次
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脳梗塞はなぜ保険に入りにくい?
一度、脳梗塞を経験すると再発の可能性が高くなるため、健康な人よりも入院や手術をするリスクが高くなります。入院や手術のリスクが高くなると保険金が支払われる可能性が高くなってしまうため、一般の医療保険に加入するのは非常に難しくなってしまうのです。
ただし、完治後5年など一定の年数が経過していて、現在の健康状態に問題がないのであれば一般の医療保険に入れる可能性はあります。保険会社によって加入できる基準は異なるため、初めからあきらめるのではなく一般の医療保険への申し込みを試してみるのもありでしょう。
もし、一般の医療保険に加入できなくても次に紹介する「引受基準緩和型医療保険」であれば加入できる可能性はあります。
引受基準緩和型なら加入しやすい
引受基準緩和型医療保険とは、保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している医療保険で、「持病があっても入りやすい」などと宣伝されている保険です。
特に、持病が再発・悪化した時でも保障の対象となることが多いのがメリットの一つです。一般の医療保険に加入できたとしても、特定の疾病や部位が保障されない等の条件が付くケースがありますが、引受基準緩和型医療保険では脳梗塞が再発して入院や手術をした時も保険金を受け取ることができます。責任開始日前に医師から入院・手術をすすめられていた場合は保障の対象とはなりませんが、再発の可能性が高い脳梗塞でも手術費用や入院費用に備えることができると助かりますよね。
また、健康状態に関する告知が一般の医療保険と比べて少ないため、持病があっても加入しやすくなっています。以下のような3~5項目程度の質問にすべて「いいえ」の場合に申し込みができます。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
過去に脳梗塞を発症していても、入院や手術から一定の年数が経過していれば加入できる可能性は十分にあります。また、保険会社によって契約を引き受ける基準は異なります。たとえ加入を断られたとしても、同じ条件で他の会社の保険に加入できるということもあるのです。そのため、複数の保険会社の商品を比べてみるのがよいでしょう。
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引受基準緩和型のデメリットは?
持病があっても入りやすい分、いくつかデメリットがあります。加入を検討する際にはデメリットも含めた上で考えましょう。
保険料が割高
引受基準緩和型医療保険は一般の医療保険と比べて保険料が高くなっています。加入の前には継続的に支払いができる保険料か事前に確認しておくことが大切になります。
特約が少ない
一般の医療保険と比べて特約の種類が少なく、特約が用意されていても保険料が高く設定されていることがあります。入院や手術以外の保障を手厚くしようとしても、保障をあきらめざるを得なかったり別の保険を探さなければいけなかったりすることもあるかもしれません。
一定期間は給付金が半分になる商品もある
加入後1年間など一定期間は、持病と関係がない病気・ケガで入院や手術をしても給付金が50%に削減される商品もあります。しかし最近ではこの保障が削減される期間がない商品も出てきています。加入直後から100%の保障を受けたい場合には複数の商品を比べてみるのがよいでしょう。
脳梗塞でも入れる保険を探してみる
脳梗塞後も保険は必要?
脳梗塞を経験すると医療保険に入るのが難しくなりますが、それでも保険に加入する意味はあるのでしょうか?以下のリスクに貯金等でカバーすることが難しい場合は医療保険等で備えることを考えてみましょう。
再発しやすい
脳梗塞は再発率が高く、発症後1年で10%、5年で34.1%、10年で49.7%が再発するというデータがあります※。これは福岡県の久山町に住む40歳以上の全住民を対象に行われていた研究で、脳梗塞を起こした人の約半数が脳梗塞を再発したということになります。
※Hata J, et al.:Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005; 76(3): 368-72.
さらに2回目の脳梗塞を発症すると、1回目より症状が重くなり、重度の後遺症も起こりやすいといわれています。再発を繰り返すと運動麻痺などの症状も改善しにくくなり、入院やリハビリ期間が長くなる恐れがあります。
脳梗塞が引き起こされる原因は様々ですが、生活習慣が原因の場合は再発する可能性があります。予防のために食生活の改善や運動などをおこなうとともに、再発した場合に備えて医療費等を準備していくことも考えましょう。
入院期間が長い
厚生労働省の調査によると、脳梗塞を含めた脳血管疾患の入院期間は平均77.4日で、年齢が高くなるにつれ入院期間も長くなります。特に65歳以上では平均83.6日と3カ月近く入院することもあります。
年齢 | 平均在院日数 |
---|---|
0~14歳 | 31.3日 |
15~34歳 | 61.7日 |
35~64歳 | 51.8日 |
65歳以上 | 83.6日 |
総数 | 77.4日 |
公的保険制度があるため医療費は年齢によって1割~3割負担となり、高額療養費制度も使えばさらに軽減できます。しかし、保険適用とならない食事代や差額ベッド代、お見舞いに来た家族の交通費等は全額自己負担となってしまいます。入院が長期化しやすい脳梗塞は入院費用も高額になることが多く、個室で治療に専念したい等の希望があるとさらに差額ベッド代等の費用もかかります。貯金が少なく入院費用に不安がある場合は医療保険で備える必要があるといえるでしょう。
保険で脳梗塞の再発に備えよう
脳梗塞を隠すのはNG!
脳梗塞を経験すると保険に加入することが難しくなるため、加入時に脳梗塞の既往歴を隠してしまおうという気持ちが起こるかもしれません。しかし、脳梗塞を発症したことを隠して申し込むのは告知義務違反となります。たとえ脳梗塞を隠して契約できたとしても、それが発覚すれば、保険金が支払われなかったり契約が解除されたりする場合があります。必要な告知はしっかりと行うようにしましょう。
隠れ脳梗塞も告知が必要
手足の痺れ等の症状が出ない脳梗塞もあります。脳ドッグを受けた際に小さい血管が詰まっている箇所が見つかるものの無症状の場合があり、隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)と呼ばれています。無症状とはいえ脳卒中や認知症の発症リスクは高くなるため、隠れ脳梗塞の場合でも保険会社に告知が必要になります。
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脳梗塞の前兆
脳梗塞は再発率も高いので、前兆や原因・予防策を知っておきましょう。
そもそも脳梗塞とは、脳を栄養している動脈がつまって脳組織が壊死した状態が脳梗塞です。
脳梗塞の症状として、運動障害・感覚障害・失語症・めまいなどがありますが、同じ症状が生じ脳梗塞の前兆として発症する「一過性脳虚血発作」があります。
一過性脳虚血発作とは
一過性脳虚血発作とは、脳梗塞と同じ症状が生じ1時間以内に症状が消失する病態です。原因は脳梗塞と同じですが、症状が一時的であることから脳梗塞とは区別されています。
一過性のため後遺症は残さないですが、脳梗塞に発展する可能性が高く、脳梗塞の前兆と言われています。
そもそも脳梗塞は脳卒中のうちの1つで、脳梗塞はさらに①ラクナ梗塞 ②アテローム梗塞 ③心原性脳塞栓症 ④その他の4つの病型に分けられています。一過性脳虚血発作の位置づけは以下のとおりです。
症状
一過性脳虚血発作の症状は脳梗塞とほぼ同じですが、すぐに血流が再開されるため短時間の内に症状は消滅します。
・運動障害:顔面の脱力、麻痺、巧緻運動障害、構音障害
・感覚麻痺:一側上下肢または顔面の感覚低下、しびれ感、異常感覚
・視野障害:一過性脳虚血発作の場合、単眼の一過性視力障害があります。典型的な症例では「急に片方の目がカーテンが上から降りるように見えなくなった」などがあります。
・言語障害
・めまい、ふらつき
その他比較的少ない症状として、複視、単麻痺、記憶障害、不随意運動などがあります。
原因
脳梗塞の原因は病型によって異なりますが、主に動脈硬化、心房細動、脱水、低血圧です。
一過性脳虚血発作の原因もほぼ同じなので、以下のとおり危険因子も同じであり、これら生活習慣病があると発症リスクが高まります。
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・喫煙
・不整脈
・過度の飲酒
・肥満
・運動不足
予防策
脳梗塞ならびに一過性脳虚血発作の予防策として、生活習慣病の予防を心がけることが大切です。
【日常生活】
1.睡眠は十分にとりましょう。
2.有酸素運動を心がけましょう。
3.血圧のコントロールに気を付けましょう。
4.急激な寒さは大敵です。
5.アルコール(清酒にして1合以内)やコーヒーは控え目に。煙草はやめましょう。
6.入浴はできるだけ毎日しましょう。ただし、熱い湯と長い湯は発症リスクを高めます。
7.排便は規則正しい習慣をつけましょう。
8.知的刺激を積極的に取り入れましょう。
【食事療法】
1.食事は腹八分目にし肥満に注意しましょう。
2.動物性脂肪を控え、植物性脂質を取り入れましょう。
3.蛋白質(豆腐類、魚、肉、卵)は不足しないようにしましょう。
4.菓子類、嗜好飲料、果物のとりすぎには気を付けましょう。
5.繊維の多い野菜を十分にとりましょう。
6.塩分を取りすぎないようにしましょう。
治療法
脳梗塞の治療の原則は、安静、輸液、全身管理、抗浮腫薬、脳保護薬、血栓溶解薬、血液凝固阻害薬、リハビリテーションなどです。
一過性脳虚血発作の治療は、まずは脳血管形成を抑制するため、抗血小板投薬投与が一般的です。
抗血小板薬を投与しても反復する場合は、脳塞栓症を予防するため、抗凝固薬が投与されます。主幹動脈に明らかな狭窄がある場合は外科的治療も行われることがあります。
内科治療は両方とも再発防止に効果的ですが、外科治療の方が脳梗塞予防効果に優れています。
検査
一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆である危険な状態です。検査で原因を明らかにして、重症化や進行を予防することが大切です。
1.CT検査:脳梗塞も一過性脳虚血発作もCT検査ではすぐに梗塞巣が描出されないことが多いそうです。
2.MRI検査:脳の状態を調べます。
3.超音波検査:ベッドサイドで行えるのが特徴です。血流測定だけでなく血流を流れる微小塞栓子を観察することで、発症機序の測定や再発の予測が可能です。
4.心電図:心疾患の検索をします。
まとめ
脳梗塞を発症した後では一般の医療保険に加入することは難しくなります。しかし、一般の医療保険に加入できなかった場合でも引受基準緩和型医療保険であれば加入できる可能性はあります。引受基準は保険会社によって異なるので、保障内容を比較する意味も込めて、複数の保険会社を比較してみるのがよいでしょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。