膠原病の一種である全身性エリテマトーデス(SLE)。一度発症すると完治は難しく、国が指定する難病の一つです。全身性エリテマトーデスを発症したら保険に加入できるのでしょうか?
目次
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全身性エリテマトーデス(SLE)とは?
炎症性の自己免疫結合組織疾患
全身性エリテマトーデスは英語でsystemic lupus erythematosusといい、頭文字を取ってSLEと略して呼ばれます。lupus erythematosusとは皮膚に出来る発疹が狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることからこう名付けられました(lupus、ループス:ラテン語で狼の意味)。
SLEを発症すると、自分自身の体に対して免疫が攻撃するようになり、関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に様々な問題を引き起こします。具体的な症状は以下が挙げられます。
- 顔面紅斑(頬にできる赤い発疹)、ディスコイド疹(ディスク状の皮疹)
- 日光過敏症(強い紫外線に当たった後に皮膚に赤い発疹、水ぶくれ、熱が出る)
- 口内炎
- 脱毛
- 肺、心臓の症状(胸の痛み、動悸、息切れ、心外膜炎、胸膜炎、心筋炎、肺胞出血)
- 腎臓の症状(顔や足のむくみ、ループス腎炎)
- 精神、神経症状(けいれん、頭痛、不安感、抑うつ状態、認知障害)
- 血液の異常(貧血、めまい、出血)
- 全身症状(発熱、全身の倦怠感、疲れやすい、食欲不振、体重減少)
- 関節症状(手や指の腫れ、日によって痛む場所が変わる移動性の関節炎)
患者自身は細菌やウィルスに対する免疫はありますが、免疫に対する治療で免疫系全体が抑制されると感染にかかりやすくなってしまいます。
なお、SLEは膠原病の一種で、膠原病は病名ではなく疾患群の総称です。
日本国内の患者数は約6万~10万人程度で、男女比は1:9で圧倒的に女性、特に妊娠可能な年齢の女性に多く見られます。小児や高齢者、新生児も発症することがあり、子供や老人だと男女差は少なくなります。
SLEはまだ研究が進んでいない部分も多く、発症の原因は不明とされています。特定の薬物の使用が原因で発症する薬剤性の全身性エリテマトーデスの場合は、当該の薬の使用を中止すると通常は消失します。また、紫外線や風邪などのウィルス感染、ケガ、外科手術、妊娠、出産等により発症あるいは病状が悪化することがあります。
参考 旭化成ファーマ、難病情報センター、MSDマニュアル家庭版
治療法
SLEは現在の医療では完治は難しく、寛解と増悪を繰り返して慢性の経過を取ることが多い状況です。治療方法は自分自身に対する免疫を抑えるために副腎皮質ステロイドを使用するのが一般的です。副腎皮質ステロイドはSLEの治療になくてはならない薬ですが、以下のような副作用を伴います。
- 感染症にかかりやすくなる
- 骨粗しょう症による圧迫骨折
- 糖尿病
- 脂質異常症に伴う動脈硬化 等
SLE患者の場合、主にループス腎炎と感染症が予後を左右すると言われています。ステロイドによる治療が始まる前の1955年時点では5年生存率は50%以下でしたが、早期診断・早期治療により現在では5年生存率は95%以上となっています。
全身性エリテマトーデス(SLE)発症後は保険に加入できる?
通常の医療保険への加入は難しい
- SLEに感染すると完治しない
- 症状が悪化すると入院治療が必要になる
- 治療(副腎皮質ステロイド)の副作用で様々な病気にかかりやすくなる
といった様々な要因があるため、通常の医療保険は加入を断られる可能性が高いでしょう。
引受基準緩和型の医療保険なら入れる可能性がある
通常の医療保険への加入を断られた場合は、引受基準緩和型の医療保険も検討してみましょう。引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険に比べて加入条件が緩やかで、定期的に通院をしている人でも加入しやすくなっています。
どのように入りやすくなっているかというと、健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問になっていて、その質問にすべて「いいえ」と答えられれば申し込みが可能です(過去に保険料を払わなくて契約を解除されたなど健康状態に関すること以外で契約できないこともあります)。告知項目は保険会社によって異なりますが、以下のような内容になっています。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
直近で入院・手術をしていたり、すすめられたりしている場合は引受基準緩和型医療保険でも加入は難しくなりますが、そうでなければ通常の医療保険を断られたり条件が付いたりした方でも問題なく加入できる可能性があります。保険会社によって告知項目は異なるので複数の会社のものを比較してみましょう。
重症度によっては医療費助成の対象となる
民間の医療保険に加入できなくても、重症度によっては医療費助成を受けることが可能です。
SLEにおける指定難病の医療費助成は、SLEの診断基準(1997年改定ACR分類基準)を満たしており、かつ以下のどちらかに当てはまっているかが認定基準になります。
- 重症度分類SLEDAIスコア4点以上
- 高額な医療を継続することが必要な患者(軽症高額に該当)
軽症高額該当について
認定基準を満たさなくても、高額な医療を継続して受けることが必要な患者は医療費助成の対象となります。「高額な医療を継続して受けることが必要」とは、医療費の総額が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12月以内※に3回以上ある場合をいいます。例えば、医療保険3割負担の場合、医療費の自己負担がおよそ1万円となる月が年3回以上ある場合が該当します。
※(1)申請月から起算して12月前の月、または(2)指定難病を発症したと難病指定医が認めた月を比較して、いずれか後の月から申請日までの期間が対象です。なお、「33,330円」には入院時食事(生活)療養の標準負担額は含みません。
参考 難病情報センター 指定難病患者への医療費助成制度のご案内
まとめ
全身性エリテマトーデス(SLE)は一度発症すると完治しない病気です。発症すると通常の医療保険は加入が難しくなってしまいますが、加入条件が緩やかな「引受基準緩和型医療保険」であれば入れる可能性があります。
重症度によっては医療費助成の対象となるため、保険に入りたいけれどすでに発症しているという方は助成制度も確認の上で保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。