持病や既往症がある場合、生命保険や医療保険には入りづらくなります。通常の保険を断られても引受基準緩和型の保険なら加入できる可能性はあるのですが、保険料が高いなどのデメリットもあるので通常の保険に入るために持病や病歴を隠すことを考える人もいるようです。しかし、持病を隠して保険に入るのはNGです。隠して加入するとどうなるのか説明します。
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持病や既往症があるとどうして保険に加入しづらい?
保険というのは大勢の契約者が保険料を負担しあい、「万が一」のことがあったら保険金を受け取れる仕組みです。保険会社が事業を続けていくためには保険料などの収入と保険金などの支払いが釣り合っている必要があります。そのために、保険会社は病気やケガ、平均余命など様々な統計データから保険料と保険金やその他必要費用が釣り合うように保険料を設定しています。
しかし、持病や既往症がある場合は健康な人と比べて入院したり死亡したりする確率が高いです。このため、持病や既往症がある人を保険に加入させると健康な人との間で不公平が生まれますし、保険料の収入より保険金の支払の方が多くなる可能性が高まります。これでは保険という制度を続けていくことができないので、持病や既往症がある人は保険に加入しづらいのです。
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持病や既往症を隠すとどうなる?
持病や既往症は保険加入時では隠そうと思えば隠すことはできます。しかし、持病や既往症を隠して保険に加入した場合、保険金が支払われなかったり契約自体が解除されてしまったりします。保険金請求時に持病や既往症を隠しているという告知義務違反が発覚した場合、以下のような対応が考えられます。
- 保険金が支払われ、契約も継続
- 保険金は支払われるものの、契約は解除
- 保険金は支払われないものの、契約は継続
- 保険金は支払われず、契約も解除
「保険金が支払われ、契約も継続」のケースというのは、仮に持病や既往症をきちんと告知していたとしても問題なく加入でき、悪質性がないような場合です。
「保険金は支払われるものの、契約は解除」のケースというのは、告知義務違反の内容と保険金の請求の原因との間に因果関係がない場合で、告知義務違反の内容が重いと判断された場合です。例えば、高血圧であることを意図的に隠していた人が、車の後部座席に乗っていて事故に遭い入院した場合、高血圧と入院の間に因果関係はないので入院給付金は支払われますが、高血圧を意図的に隠していたことより告知義務違反で契約を解除されます。
「保険金は支払われないものの、契約は継続」のケースというのは、持病や既往症と保険金の請求との間に因果関係が認められるものの、保険会社側での検討の結果、違反が軽微で解除には至らないと判断された場合です。
「保険金は支払われず、契約も解除」のケースというのは、持病や既往症と保険金の請求との間に因果関係があり、告知義務違反の内容が重大だと判断された場合です。
持病や既往症を隠した場合、保険金がもらえず契約も解除されて、これまでの保険料が無駄になる恐れがあります。保険会社への告知は嘘をつかずに正しく行うようにしましょう。
2年隠せばセーフ?
契約してから2年間ばれなければ契約を解除されないという言説を聞くことがあります。これは、約款等に告知義務違反で保険契約を解除できない場合として「保険契約が、責任開始の日からその日を含めて2年をこえて有効に継続したとき」というような記載があるためです。なぜこのような記載があるかというと、契約から2年以上たてば告知しなかったことと保険金請求の事由との間の因果関係が証明しにくいからです。
このことから2年黙っていれば契約が解除されずに済むかというと、そのようなことはありません。「2年をこえて有効に継続したとき」という項目には続きがあって、「ただし、責任開始の日からその日を含めて2年以内に解除の原因となる事実により保険金等の支払事由または保険料の払込の免除事由が生じているときを除く」という旨の内容がかかれています。つまりは、2年以内に入院など支払事由が発生していれば2年経過以後にその病気・ケガ等で保険金請求をしても告知義務違反として契約を解除できるのです。
また、たとえ2年経過していたとしても告知義務違反の内容が重大な場合には「詐欺および不法取得目的による無効」といった項目で保険契約を取り消すことができます。「2年間ばれなければセーフ」などと考えずに、保険会社へは正しく告知を行うようにしましょう。
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うっかり告知を忘れてしまった場合は?
軽い病気などの場合はわざとではなくうっかり告知を忘れてしまう場合も考えられます。そのような場合は気が付いた段階で保険会社に正直に申し出ましょう。
正確な告知の後、保険会社の判断によっては条件付きの引き受けや契約の解除となる場合もありますが、隠しておいたままにしても保険金請求時に発覚して保険金が支払われず、告知義務違反として契約を解除される可能性もあります。その場合、保険料を無駄に支払うこととなります。他の引き受けしてくれる保険会社を探す、引受基準緩和型を検討する、保険料の分を貯蓄するなど早めに他の手段を検討できるので、告知を忘れていることを思い出したら早めに契約している保険会社に申し出ましょう。
通常の医療保険を断られたら引受基準緩和型も検討しよう
持病や既往症があって通常の医療保険の加入を断られた場合でも、引受基準緩和型の保険であれば加入できる場合もあります。保険料が割高、契約から一定期間は保険金が50%しか支払われないなどのデメリットもありますが、医療保険にどうしても加入したい場合は救いの手となります。通常の医療保険の加入を断られたり部位不担保や疾病不担保などの条件が付いたりした場合は引受基準緩和型の医療保険も検討してみましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。