積立保険のコラム

積立保険は損?入るメリットがある人とは

投稿日:2020年5月28日 更新日:

貯蓄型の積立保険は時に「保険会社の利益になる分を自分で運用した方が効率が良い」などの理由で加入するのは「損」だといわれることがあります。もちろん、万人が得になるものでもないので加入するのは損となる人もいるのですが、逆に加入するメリットがある人もいます。どのような人にメリットがあるのでしょうか?

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積立保険が「損」だと言われる理由

積立保険が「損」だと言われる理由はいくつかあります。理由として多く挙げられているものを紹介します。

自分で運用した方が効率が良い

貯蓄目的で保険に加入するという場合でも支払った保険料が全額貯蓄機能のための運用に回されるわけではありません。死亡保障などの保障に回されるお金や保険会社の経費となるお金も必ず出てきます。保険会社が存続していくためには仕方がないことですが、貯蓄を目的とする場合はその分の運用効率が落ちてしまいます。自分で投資する知識のある人たちにとってはわずかな手数料以外はすべて運用に回せる他の金融商品の方が魅力に映るのです。

低い利率で固定される

多くの積立型の保険では契約時に利率が固定されてしまいます(変動するものもあります)。日本の金利は上昇の兆しが見えていますが、まだまだ低い状態です。この状態で固定されてしまうと将来物価が上昇した場合に実質的に損となってしまいやすいです。物価が上昇して必要なお金の額が増えたとしても積立保険で受け取れる金額は変わりません。追加で必要となるお金については別途用意する必要があります。

日本では長期間物価がほぼ上がらなかったですが、最近は物価の上昇を肌で感じる人も多いのではないでしょうか。積立保険は比較的長期間契約するものなので、積立保険によって増える額以上に物価が上昇するという可能性も十分に考えられるでしょう。

途中解約すると元本割れすることが多い

上で説明した低い利率で固定されるというデメリットに加えて、積立保険を途中解約すると元本割れすることが多いです。そのため、将来より良い商品が出てきても乗り換えしづらくなります。また、長期間契約する中で、事故や病気などで急に大きなお金が必要になったり保険料の支払いが厳しくなったりする可能性もあるでしょう。そうした場合に柔軟にお金を動かすということがしづらくなってしまいます。

加入するメリットがある人

積立保険についていくつかデメリットといえることを紹介してきましたが、積立保険はデメリットばかりの商品ではなくメリットもあります。積立保険に加入するメリットがあるのはどのような人なのでしょうか。

貯金が苦手な人

貯金が苦手で手元にお金があるとついつい使ってしまうという人には積立保険加入のメリットがあるでしょう。積立保険では保険料として毎月口座から自動的にお金が引き落とされていくので、能動的に貯金をすることが苦手でも最初に契約をするというアクションを起こせば後は受動的にお金を積み立てていくことができます。また、積立保険の保険料として支払った分は銀行の預金残高からは消えるので、口座にお金があるだけ使ってしまうという人でもお金を貯めていきやすいです。貯金が苦手で自分だけでは将来に向けてお金を貯めていくことが難しいという場合には積立保険の加入メリットがあるでしょう。

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将来決まった額のお金が必要な人

将来決まった額のお金が必要だという場合にはそれを貯めるのに積立保険を使うメリットがあるでしょう。途中解約などしなければ銀行で預金するよりも利率が高いものもありますし、株式などはより大きく増やせる可能性もありますが相場の状況によっては必要な額を大きく下回る可能性もあります。決まった時期に決まった額が必要という場合には不確実性が低い積立保険に加入するメリットがあるといえます。

生命保険料控除の枠が余っている人

生命保険料控除の枠に余りがある人も積立保険加入のメリットがあるでしょう。一定の基準を満たす生命保険の保険料を支払った年について、年間の支払保険料の額に応じた金額の所得控除を受けることができます。これにより、所得税や住民税の金額を安くすることができるのです。安くなる金額は支払った保険料や所得税率・住民税率によって異なりますが、例えば保険料が年間8万円以上で所得税率・住民税率がともに10%の場合は所得税が4,000円、住民税が2,800円で合計6,800円税金を安くすることができます。

課税所得金額 所得税率 所得税の
年間軽減額
住民税の
年間軽減額
年間軽減額
合計
195万円以下 5% 2,000円 2,800円 4,800円
195万円超 330万円以下 10% 4,000円 2,800円 6,800円
330万円超 695万円以下 20% 8,000円 2,800円 10,800円
695万円超 900万円以下 23% 9,200円 2,800円 12,000円
900万円超 1800万円以下 33% 13,200円 2,800円 16,000円
1800万円超 4000万円以下 40% 16,000円 2,800円 18,800円
4000万円超 45% 18,000円 2,800円 20,800円

※シミュレーションは年間8万円以上の保険料の場合となります。
※住民税の税率は10%としています。

まとめ

積立保険は運用効率が悪い、低い利率で固定されてしまうといった理由で加入するのは「損」だと言われることもあります。しかし、貯金が苦手でなかなかお金を貯められない人や決まった時期に決まった金額が必要で株式などの価格変動リスクを嫌う人などでは加入するメリットも十分にあります。他人の意見に振り回されるのではなく、自分の状況下では加入するメリットが大きいのか考えて判断するようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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