2019年5月末、金融庁より平均的な高齢無職夫婦二人暮らしの場合、月に約5万円赤字で老後30年間で約2000万円の資産の取り崩しが必要という内容が含まれた報告書案が発表され、大いに話題になりました。老後までに2000万円貯めるには月にいくら貯める必要があるのでしょうか。年齢別に計算してみました。
目次
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老後に2000万円必要?
金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均的な姿では、月の収入が209,198円、月の支出が263,718円と毎月約5.5万円の赤字が発生し、「この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。」としています。この不足額が毎月続く場合、20年で約1300万円、30年で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要となります。
この試算は総務省「家計調査」(2017年)のデータから単純計算した少し乱暴な計算ではありますが、90歳、100歳まで長生きするのであれば多くの資金が必要となる事実は変わりません。個々人によって必要な資産は変わりますが、計算の単純化のために金融庁の資料に沿って老後に2000万円必要として、そのために毎月何円貯めればよいのか計算します。
年齢別毎月の必要貯蓄額
25歳の場合に必要な毎月の貯蓄額
現在25歳の人が65歳までに2000万円貯めるには毎月何円の貯蓄が必要か計算します。
現在まったく貯蓄が無い場合と20歳代の単身世帯の貯蓄の中央値9万円(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」より)の場合で65歳まで毎月いくら貯めればよいのか計算した結果、以下の表の通りになりました。(年複利、最終結果の小数点以下切り上げ)
年利0% | 年利0.3% | 年利3% | |
---|---|---|---|
貯蓄0円 | 41,667円 | 39,162円 | 21,461円 |
貯蓄9万円 | 41,563円 | 38,986円 | 21,364円 |
※貯蓄9万円については運用しないものとする。
毎月一定のペースで積み立てるとすると、開始時の貯金が0円で年利0%だと月に41,667円積み立てる必要があります。投資信託などで年利3%を実現できる場合は月21,461円です。老後までまだ時間があるので年利0%でもまだ現実的な積立額となっています。
35歳の場合に必要な毎月の貯蓄額
現在35歳の人が65歳までに2000万円貯めるには毎月何円の貯蓄が必要か計算します。
現在まったく貯蓄が無い場合と30歳代の二人以上世帯の貯蓄の中央値150万円(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」より)の場合で65歳まで毎月いくら貯めればよいのか計算した結果、以下の表の通りになりました。(年複利、最終結果の小数点以下切り上げ)
年利0% | 年利0.3% | 年利3% | |
---|---|---|---|
貯蓄0円 | 55,556円 | 53,018円 | 34,012円 |
貯蓄150万円 | 51,389円 | 49,041円 | 31,461円 |
※貯蓄150万円については運用しないものとする。
30年間貯蓄ができるので月5万円前後の貯蓄で2000万円貯めることができます。老後30年間の毎月の赤字をそのまま30年間で貯金する形です。
45歳の場合に必要な毎月の貯蓄額
現在45歳の人が65歳までに2000万円貯めるには毎月何円の貯蓄が必要か計算します。
現在まったく貯蓄が無い場合と40歳代の二人以上世帯の貯蓄の中央値220万円(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」より)の場合で65歳まで毎月いくら貯めればよいのか計算した結果、以下の表の通りになりました。(年複利、最終結果の小数点以下切り上げ)
年利0% | 年利0.3% | 年利3% | |
---|---|---|---|
貯蓄0円 | 83,334円 | 80,742円 | 60,220円 |
貯蓄220万円 | 74,167円 | 71,860円 | 53,596円 |
※貯蓄220万円については運用しないものとする。
まったく貯金がない場合は月8万円強、中央値である220万円の貯蓄がある場合は月7万円強の貯金が必要です。特にまったく貯金がない場合は家計の支出を見直してすぐにでも貯蓄を開始しましょう。
55歳の場合に必要な毎月の貯蓄額
現在55歳の人が65歳までに2000万円貯めるには毎月何円の貯蓄が必要か計算します。
現在まったく貯蓄が無い場合と50歳代の二人以上世帯の貯蓄の中央値300万円(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」より)の場合で65歳まで毎月いくら貯めればよいのか計算した結果、以下の表の通りになりました。(年複利、最終結果の小数点以下切り上げ)
年利0% | 年利0.3% | 年利3% | |
---|---|---|---|
貯蓄0円 | 166,667円 | 163,938円 | 141,150円 |
貯蓄300万円 | 141,667円 | 139,347円 | 119,978円 |
※貯蓄300万円については運用しないものとする。
まったく貯金がない場合は月17万円弱、中央値である300万円の貯蓄がある場合は月14万円強の貯金が必要です。貯蓄がない人にとってはかなり厳しい数字となっています。すぐにでも家計を見直して貯蓄を開始しましょう。また、老後の支出を減らすか収入を増やすかして月5万円の赤字とならないように気を付けるのも手です。
お金を貯めるにはどうすればいい?
老後に2000万円貯めるために毎月いくら積み立てればよいのかわかりましたが、貯金が苦手な人にとってはなかなか難しいと思います。貯金ができるようになるには、①毎月の支出を把握する、②固定費を削減する、③貯蓄分を先取りでためるの3つが大切です。
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また、お金を貯めるのには銀行預金にこだわる必要はありません。いくらかのリスク資産も組み合わせることで毎月の必要貯蓄額も減少することが期待されます。NISA・つみたてNISAやiDeCo、積立保険、個人年金保険など銀行預金以外の方法も組み合わせて老後資金を貯めていきましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。
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