積立保険のコラム

積立保険の満期保険金・解約返戻金にかかる税金は?

投稿日:2021年1月29日 更新日:

積立保険で満期保険金や解約返戻金を受け取った場合、その利益(支払った保険料と受け取った保険金・返戻金の差額)に対して税金がかかります。どのような税金がどれだけかかるのでしょうか?

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満期保険金・解約返戻金にかかる税金

積立保険で満期保険金や解約返戻金を受け取り、利益が出た場合にはその利益に対して税金がかかります。かかる税金の種類は契約者(保険料の負担者)と保険金受取人との関係や一括で受け取るか年金形式で受け取るかによって変わります。どのような税金がかかるのか紹介します。

一括で受け取る場合

満期保険金や解約返戻金を一括で受け取る場合、保険料の負担者と保険金の受取人との関係でかかる税金の種類は以下のようになります。

保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
A A 所得税(一時所得)
A B 贈与税

「保険料の負担者」=「保険金受取人」の場合

「保険料の負担者」=「保険金受取人」の場合、所得税(一時所得)の課税対象となります。一時所得の金額は以下で計算されます。

一時所得=受け取った保険金・解約返戻金-支払った保険料の総額-特別控除額(50万円)

満期保険金や解約返戻金のほかに一時所得がない場合、50万円をこえる利益が出なければ所得税はかからないことになります。保険金以外で一時所得があったり、高額の契約をしていたりして一時所得の金額が50万円をこえた場合は、一時所得を1/2にした額が課税対象となります。ほかの給与所得や雑所得などと合計し控除額を引いたうえで課税所得金額ごとの税率をかけて所得税の金額を計算します。

課税所得金額に対する所得税の金額は、以下の速算表を用いることで簡単に計算できます。

課税所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円以上 330万円未満 10% 97,500円
330万円以上 695万円未満 20% 427,500円
695万円以上 900万円未満 23% 636,000円
900万円以上 1800万円未満 33% 1,536,000円
1800万円以上 4000万円未満 40% 2,796,000円
4000万円以上 45% 4,796,000円

※令和2年4月1日現在法令等
出典:国税庁

なお、平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

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「保険料の負担者」≠「保険金受取人」の場合

「保険料の負担者」≠「保険金受取人」の場合、贈与税の対象となります。暦年贈与の場合、1月1日~12月31日の1年間に受け取った金額の合計に対して贈与税額を計算します。計算式は以下の通りです。

贈与税額=(受け取った金額-基礎控除110万円)×税率-控除額

税率及び控除額は以下の表の通りです。

一般税率
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

※令和2年4月1日現在法令等
出典:国税庁

特例税率

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算にはこちらの税率を利用します。直系である必要があるので配偶者の父からの贈与などの場合は一般税率の方を利用します。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

※令和2年4月1日現在法令等
出典:国税庁

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年金形式で受け取る場合

満期保険金などを年金形式で受け取る場合、保険料の負担者と保険金の受取人との関係でかかる税金の種類は以下のようになります。

保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
A A 所得税(雑所得)
A B 年金評価額:贈与税
毎年の受取年金:所得税(雑所得)

「保険料の負担者」=「保険金受取人」の場合

「保険料の負担者」=「保険金受取人」の場合、所得税(雑所得)の課税対象となります。一時所得の金額は以下で計算されます。

雑所得=総総収入金額-必要経費

年金形式で受け取った満期保険金等に当てはめると以下のようになります。

雑所得= その年の年金額-その年の年金額×払込保険料総額÷年金受取総額

例えば、年金額75万円、払込保険料総額288万円、年金受取総額300万円の場合、その年に受け取った年金形式の保険金の雑所得は75万円-75万円×288万円÷300万円=3万円です。

計算して得られた雑所得は、ほかの給与所得などと合計し控除額を引いたうえで課税所得金額ごとの税率をかけて所得税の金額を計算します。課税所得金額に対する所得税の金額は、以下の速算表を用いることで簡単に計算できます。

課税所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円以上 330万円未満 10% 97,500円
330万円以上 695万円未満 20% 427,500円
695万円以上 900万円未満 23% 636,000円
900万円以上 1800万円未満 33% 1,536,000円
1800万円以上 4000万円未満 40% 2,796,000円
4000万円以上 45% 4,796,000円

※令和2年4月1日現在法令等
出典:国税庁

なお、平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

「保険料の負担者」≠「保険金受取人」の場合

「保険料の負担者」≠「保険金受取人」の場合、年金受給権評価額が贈与税の対象に、毎年の受取年金額のうち贈与税の課税対象とならなかった部分が所得税(雑所得)の対象となります。

年金受給権評価額は以下のうちいずれか多い額になります。

  • 解約返戻金の額
  • 年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
  • 予定利率等をもとに算出した金額

所得税に関しては、1年目は全額非課税で2年目から徐々に所得税の課税対象となる金額が増えていきます。詳細については国税庁のサイトをご確認ください。

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「金融類似商品」に当たる場合は源泉分離課税

生命保険契約であっても金融類似商品とみなされる場合は源泉分離課税となり、差益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収された金額が受取人に支払われます(復興特別所得税は令和19年まで)。源泉分離課税がされた時点で課税関係は完了するので確定申告の必要はありません。

金融類似商品に該当するのは以下の3要件をすべて満たす場合です。

  1. 保険期間が5年以下(保険期間が5年をこえる契約で契約日から5年以内に解約されたものも含む)
  2. 保険料の払込方法が一時払または次のa、bのいずれかに該当するもの
    1. 契約日から1年以内に保険料総額の50%以上を払い込む方法
    2. 契約日から2年以内に保険料総額の75%以上を払い込む方法
  3. 次のa、bのいずれにも該当するもの
    1. 次の金額の合計額が満期保険金の5倍未満
      • 災害死亡保険金
      • 疾病または傷害による入院・通院給付日額に支払限度日数を乗じて計算した金額
    2. 普通死亡保険金額が満期保険金額の1倍以下

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まとめ

満期保険金や解約返戻金を受け取った場合、支払った保険料との差益に対して税金がかかります。かかる税金の種類は保険料の負担者と受取人が同一か別の人か、保険金などを一括で受け取るか年金形式で受け取るかによって変わります。貯蓄を目的として積立保険に加入するという場合は受取時の税金のことも考慮の上で検討するようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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