相続のコラム

「空き家」の相続対策~リスクや税金をうまく回避するには

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空き家を相続した、あるいはこれから空き家を相続する予定になっているという方は少なくないでしょう。
空き家を相続した場合の対策として、さまざまなものが考えられます。
ここでは、空き家を相続した場合の問題点をはじめとして、さまざまな対策についてご紹介していきます。

なぜ空き家を相続することが問題になるのか

日本で「空き家」が増え続けていることが、報道などでもたびたびクローズアップされます。その背景には「相続」があることが少なくありません。空き家はそのまま放置していると、さまざまなリスクがあるのです。

空き家が増える背景「少子高齢化」「核家族化」

皆さんは日本に、空き家がどれくらいあるのかご存じでしょうか。
総務省が公表しているデータ(平成30年住宅・土地統計調査)によりますと、2018年の時点では848万9千戸が存在し、2013年と比べると29万3千戸も増えていることが分かっています。

これは、「少子高齢化」「核家族化」が背景にあることが考えられます。
内閣府が公表しているデータ(令和2年版高齢社会白書)によりますと、全世帯のうち65歳以上の一人暮らしが増加傾向にあり、2015年では男性約192万人・女性約400万人であると公表されています。
つまり、核家族化がどんどん進んでいて、親と同居しない子供が増えている状況であると言い換えることができるでしょう。
親が亡くなることによって相続するケースは多くありますが、そのまま住み手がいない状況で空き家となってしまうのです。

持っているだけでマイナスになる空き家は欲しくない

不動産を相続することになった場合、資産価値がまったくない、売りたくても売れない、という物件であれば、欲しいという相続人はいないでしょう。
所有しているだけで毎年、固定資産税が発生してきますし、管理し続けていないと損傷や倒壊する可能性が出てきます。
また、治安の悪化や害虫の発生、景観を損なうことにもなりますから、近隣とのトラブルに発展してしまうようなことも考えられます。
取り壊すにしても解体費用が必要になりますので、空き家を持て余してしまう状況となってしまいます。

更地にすると固定資産税が増税に!?

空き家を管理し続けることが困難である場合、更地にすることを検討する方も少なくありません。しかし、更地にしてしまうと固定資産税が増税されてしまうことになります。
日本の税法上では、土地に建物を建てることによって固定資産税は安くなるシステムになっています。そのため、更地にしてしまうことで固定資産税は現状の数倍程度になってしまう可能性があります。
建物を管理する費用と手間はなくなりますが、増税を念頭に進めなければならない状況となってしまうのです。

相続放棄をしても不動産の管理責任は残ってしまう

相続することになっても、「相続放棄」をすれば相続人としての立場から離れることができます。ただし、ここで問題となるのが、「不動産の管理責任が残ってしまう」ということにあります。
相続放棄をすると所有者ではなくなりますから、固定資産税の支払い義務がなくなりますが、同様に不動産管理責任もなくなるように捉えがちです。
しかし、建物を管理する人がいなくなってしまうと、近隣住民に迷惑をかけてしまうことも十分考えられます。
そこで民法では相続放棄した場合でも財産管理義務を残しているのです。

空き家を放置した場合の問題点

空き家を管理せずに放置しているような状況である場合、「空き家対策特別措置法」によって「特定空き家等」に指定され、固定資産税が最大6倍になってしまう可能性がありますので注意が必要です。

冒頭からのお伝えしている通り、空き家はどんどん増えている状況ではありますが、その背景の中で「放置空き家」も少なくありません。
放置空き家は倒壊の危険性や衛生面での悪影響など、さまざまな問題が発生してしまいます。
そのようなトラブルを解消するための法律が「空き家対策特別措置法」です。
もし空き家を放置しているような状況で悪影響を及ぼし、「特定空き家等」に指定されることになれば、住宅の撤去や修繕、環境の改善などの指導や助言を受けることになります。

さらにそれでも改善が見られない場合には「勧告」が出され、固定資産税の住宅用地特例から除外されることになり、固定資産税が最大6倍になってしまうのです。

つまり、空き家を相続した場合、放置することは絶対に許されないことだと把握しておき、売却や管理など空き家の活用方法などを考えておかねばなりません。

空き家の相続リスクを回避するには

空き家を相続し、さまざまなリスクを回避するためには、まずその空き家に「資産価値があるのか、ないのか」を判断することが大切です。
それぞれの判断をした場合の選択肢として、次のように考えることができます。

  • 資産価値がある場合:「売却」「住む」「管理」「賃貸」
  • 資産価値がない場合:「相続放棄」「管理」「処分」

それぞれの選択肢の考え方についてお伝えしましょう。

資産価値がある場合:「売却」「住む」「管理」「賃貸」

資産価値があると判断できる場合には、この4つの選択肢が考えられます。
「売却」する場合には、不動産を現金にすることができますので、固定資産税や管理にかかる費用などを避けることができます。
空き家譲渡特例によって、売却した金額益のうち3000万円までを控除できるのであれば、メリットは大きいでしょう。
相続人が賃貸物件に住んでいるような場合には、住むことも選択肢に入れることができます。
維持費や修繕費は必要となりますが、「小規模宅地等の特例」を受けて評価額を下げることもできますので、良い選択肢になるのではないでしょうか。
また、将来的に誰かが住むために「管理」することも考えられます。

コロナ禍でリモートワークになったのであれば、第二の生活拠点として管理しながら作業場などとして活用することもできるでしょう。
さらに、利便性の高い地域であるならば「賃貸」物件として、人に住んでもらう活用方法も可能になります。

資産価値がない場合:「相続放棄」「管理」「処分」

資産価値がないと判断する場合には、「相続放棄」「管理」「処分」の選択肢が考えられます。
「相続放棄」はどうしても活かすことができない空き家を手放し、考えられるリスクや費用負担などから離れることができます。
ただ、この場合に考えておかねばならないことは、ほかの預貯金などの相続遺産があった場合、それらすべても放棄してしまうことになるということです。
また、上記でもお伝えした通り、空き家が残っても空き家の管理義務が残ってしまうことになります。そのため、相続放棄を選択する場合には、今後どのように管理し続けていくのかということも含めて検討しておく必要があります。

「管理」の方法については、相続人自らが管理することもできますが、管理サービスをうまく活用することも一つの方法です。

「処分」については、お金を払って、空き家を売却するという方法です。空き家を専門とした会社をうまく活用することも一つの方法です。

空き家の相続税対策に有効な3つの特例

  • 小規模宅地等の特例
  • 3000万円の特別控除の特例
  • 空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例

空き家の相談税対策として、有効な特例を3つご紹介しましょう。
これらの特例は、空き家の相続税対策として活用できます。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人と一緒に住んでいた土地を相続した場合に、評価額を最大80%減額できるというものです。住宅だけではなく、賃貸していた土地でも適用されます。
住宅で活用していた土地であれば330㎡までを限度として80%減額、賃貸として活用していた土地であれば200㎡までを限度として50%減額されます。
また、一緒に住んでいた配偶者や家族などが相続する場合だけに適用されるものではありません。
同居していなかった相続人でも、相続の3年前までに持ち家に住んでいないのであれば、相続する空き家に住む場合によって適用されるのです(※家なき子特例と呼ばれています)。
相続した空き家に住むことを考えているのであれば、ぜひとも利用しておきたい特例でしょう。

3000万円の特別控除の特例

「3000万円の特別控除の特例」とは、相続前に不動産を売却することによって得られた所得から3000万円までを控除する特例です。
例えば、介護施設への入居や病院に入院しているような状況で、その空き家を売却する場合に利用することができます。
ただ、注意しなければならない点として、売却額が3000万円以下の場合には税額は0となりますが、3000万円を超える場合には超えた金額に対して税率が適用されることになります。
そのため、相続税対策として有効に利用するためには、あらかじめシミュレーションしておくことが大切です。

空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例

相続した空き家を売却した場合、「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例」を受けることができます。
「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例」とは、売却した所得から最大3000万円が控除できるというものです。
ただし、注意しなければならない点として、さまざまな適用条件が設けられています。

  • 相続される直前まで居住で使用されていた
  • 相続される直前に亡くなった本人以外に居住をしていた者がいなかった
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続の時から売却の時まで事業、賃貸、居住で使用されていない
  • 相続がはじまってから3年を経過する年の12月31日まで、かつ、2023年12月31日までに売却すること
  • 売却した価額が1億円以下
  • 現行の耐震基準に適合するもの

「空き家」の相続対策はお早めに

空き家を相続した、これから空き家を相続する、という場合には、相続する空き家に資産価値があるかないかによって、大きく対策が異なります。
場合によっては相続税を支払ったり、固定資産税を支払い続けたり、管理し続けたりしなければならない可能性があります。また、近隣とのトラブルに発展するようなことも考えられます。
いざという時に慌てないために、「空き家」の相続対策は早めに検討しておいたほうがいいでしょう。


大希企画株式会社(ダイキキカク) 取締役
一般社団法人士希の会(シキノカイ) 理事
宮川 大輝(ミヤガワ ヒロキ)

相続診断士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士などの資格を持ち、
全国の空き家空き地の利活用アドバイスを行っております。
2年連続で国土交通省の「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」実施者に採択頂いております。昨年度は、日本全国の空き家空き地300件以上の解決事例があります。

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