終身保険のコラム

低解約返戻金型終身保険とは?メリット・デメリットを紹介!

投稿日:2020年8月20日 更新日:

終身保険を検討していると「低解約返戻金型」と付いた商品を見かけたりすすめられたりすることがあります。これはいったいどのような終身保険なのでしょうか?また、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?低解約返戻金型終身保険について紹介します。

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低解約返戻金型終身保険とは?

低解約返戻金型終身保険とは保険料払込期間中の解約返戻金(解約時に戻ってくるお金)の返戻率が通常の終身保険よりも低く(多くの場合は70%)抑えられている終身保険です。解約返戻金が抑えられている分、保険料が割安になっています。また、保険料払込期間終了後は通常の終身保険と同様の解約返戻金となるので、保険料払込期間終了前後で返戻率が急激に上昇します。死亡保障については通常の終身保険と変わりません。

まとめると、

  • 保険料払込期間中の解約返戻金が通常より少ない
  • 通常の終身保険よりも保険料が割安
  • 死亡保障は通常のものと同じく一生涯続く

という特徴を持った終身保険です。

低解約返戻金型終身保険のメリット・デメリット

低解約返戻金型終身保険にどのようなメリット・デメリットがあるのか紹介します。

メリット

保険料が通常より割安

終身保険は一生涯の死亡保障に加えて解約時に解約返戻金を受け取れる貯蓄性のある保険なので、保険料が高めの設定になっています。低解約返戻金型終身保険は保険料払込期間中の解約返戻金を抑えることで通常の終身保険よりも保険料が割安となっています。

貯蓄性が高い

解約返戻金が通常のものより少なくなるのは保険料払込期間中だけなので、保険料払込期間終了後は通常の終身保険と同じように支払った保険料総額以上の解約返戻金を受け取ることもできます。さらには保険料が通常のものよりも割安なので、貯蓄性が高く、また、返戻率が100%を超えるまで契約を継続しやすい保険だといえます。

死亡保障は通常と変わらず一生涯

死亡保障は通常のものと変わらず一生涯なので、貯蓄目的ではなく一生涯の死亡保障目的で契約するという場合でも活用できます。解約しないこと前提なのであれば、保険料払込期間中の解約返戻金が少ないというデメリットを気にすることなく、通常よりも割安な保険料で一生涯の死亡保障を得ることができます。

デメリット

早期解約時は大きく元本割れする

通常の終身保険も保険料払込期間中に解約すると基本的に元本割れしてしまいますが、低解約返戻金型終身保険の場合はそれよりもさらに解約返戻金の額が少なくなるので、早期解約すると大きく元本割れしてしまうことになります。契約する際には今だけでなく将来も払い続けられる保険料水準なのかよく検討する必要があります。

契約の見直しがしづらい

保険料払込期間中に解約すると解約返戻金の額がかなり少なくなってしまうので、この期間中に契約を見直して別の保険に乗り換えるといったことは行いづらくなります。結婚や妊娠・出産、住宅購入など家計の状況が変わった時も変わらず保険料を支払い続けられるのかよく検討する必要があるでしょう。

払済にしたときのメリットが小さい

終身保険など解約返戻金のある保険の見直しをする際に、解約ではなく払済保険にするという手段もよくつかわれますが、低解約返戻金型の場合は解約ではなく払済保険にする場合のメリットも小さくなってしまいます。

払済保険とは、保険料の払い込みを中止してその時点での解約返戻金を一時払の保険料として充てることで保険金額の小さな保険に切り替えたものです。保険期間は終身で変わらずに保険金額のみが減少します。また、払済保険に変更後は保険料の払い込みが不要となります。

低解約返戻金型終身保険の場合は保険料払込期間中の解約返戻金が少なくなっているので、一時払の保険料として充てられる金額が小さくなり、払済保険にした後の契約もかなり小さなものとなります。また、返戻率が100%を超えるのも通常より遅くなってしまいます。

低解約返戻金型終身保険はどのように活用できる?

教育資金の準備

教育資金の準備というと学資保険が思い浮かびますが、低解約返戻金型終身保険でも教育資金の準備をすることができます。保険料払込期間を10年や15年など、まとまった金額が必要となる大学入学までの年数よりも短くして、まとまったお金が必要となったタイミングで解約することで学資保険でなくても教育資金を用意することができるのです。親に万が一のことがあった場合も死亡保険金を教育費に充てられます。

通常の終身保険でも同じようなことはできますが、保険料払込期間を短くすると保険料が高くなるので、低解約返戻金型の保険料が割安という特徴が活きてきます。

老後資金の準備

保険料払込期間を定年退職の年齢までなどに設定し、働いている間は保険料を支払って万が一の時の備えとし、定年退職後は解約して解約返戻金を老後資金として充てることができます。定年退職後すぐにまとまったお金が必要なければ解約せずにおいておくことで解約返戻金の額を増やすこともできます。解約返戻金がどれだけ増えるか確認の上で、タイミングを見て解約するようにしましょう。

葬儀費用の準備

貯蓄目的ではなく死亡保障を活用する方法です。人間いつ死亡するのかはわかりませんので、いつ亡くなっても保険金を受け取れる終身保険で葬儀費用を用意します。葬儀費用はある程度のまとまったお金が必要となるので、その他の貯蓄で用意するのが厳しいのであれば終身保険の活用を検討しましょう。解約しない前提であれば保険料払込期間中の解約返戻金が低いことはそれほど気にする必要はありません。ただ、保険料を最後まで支払い続けられるかということは確認しておきましょう。

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相続対策

もう一つ、死亡保障を活用する方法です。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税枠があるので、現金でそのまま財産を遺すよりも相続税額を減らすことができます。また、死亡保険金は受取人固有の財産となるので遺産分割協議にかかわらず保険金を渡したい人に渡すことができます(保険金により他の相続人と著しく不公平となる場合は調整が行われる場合もあります)。

学資保険代わりに使う場合のメリット・デメリット

保険ショップなどで学資保険について相談すると、学資保険ではなく低解約返戻金型終身保険をすすめられることがあります。上で書いた通り、低解約返戻金型終身保険も学資保険代わりとして利用できるのですが、その場合にはどのようなメリット・デメリットがあるのか紹介します。

メリット

子供の年齢にかかわらず契約できる

学資保険は子供の年齢によって契約できるかが変わりますが、終身保険の契約には子供の年齢は関係ありません。忙しくて契約できないうちに子供が大きくなって目当ての学資保険に契約できなくなってしまったという場合でも契約可能です。ただし、大学初年度に必要な費用として使うという場合には、誕生日にもよりますが子供が7歳か8歳のときまでに契約しておきたいところです。

解約返戻金を受け取る時期を自分で決められる

学資保険は保険金をいつ受け取るのかあらかじめ決まってしまいますが、低解約返戻金型終身保険の場合は解約返戻金を活用することになるので、自分で解約する時期を選ぶことができます。他の手段で教育資金の目途がついたり大学に進学しなかったりした場合には解約せずにおいておき、結婚資金や住宅購入資金の援助として使ったり自分の老後資金の足しに使ったりすることもできます。

デメリット

早期解約時は大きく元本割れする

学資保険も早期解約すると元本割れしてしまいますが、低解約返戻金型終身保険では解約返戻金がそれよりも大きく落ち込みます。10年や15年といった期間、保険料を払い続けることになるので途中で払いきれなくなって解約してしまうということがないように注意しましょう。

教育費が必要となるまでに死亡保険金を使ってしまう恐れがある

親に万が一のことがあった場合でも学資保険で保険金を受け取れるのは、子供が17歳や18歳などの当初の予定通り時期です。それに対して低解約返戻金型終身保険では、親に万が一のことがあったらその時に保険金を受け取ることになります。そのため、保険金を受け取ってから実際に必要となるまでに時間が空くことも考えられ、本来の目的ではないことに保険金を使いこんでしまうということも考えられます。

まとめ

低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金が通常よりも抑えられている終身保険です。解約返戻金が抑えられている分、保険料が通常の終身保険よりも割安になっています。また、死亡保障については通常の終身保険と変わりなく、解約しなければ一生涯の死亡保障を受けられます。保険料を抑えつつ通常の終身保険と同じように活用することができますが、保険料払込期間中の解約はより注意をする必要があります。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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