
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。一度発症すると完治は難しく、寛解を維持するための治療を継続することになります。潰瘍性大腸炎でも生命保険に入れるのでしょうか?
目次
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潰瘍性大腸炎は生命保険に入りにくい?
潰瘍性大腸炎になると新規で生命保険に入るのは難しくなりますが、寛解状態であれば通常の生命保険に加入できる可能性があります。
ただし、加入できたとしても「特定部位不担保」の条件が付くケースがあります。これは、特定の疾病や特定の部位(大腸など)が原因で入院や手術が必要になった場合は、保険金支払いの対象にならないということです。保険会社によって不担保となる対象範囲は異なることがあります。
がん保険への加入も難しい
潰瘍性大腸炎によって広範囲の炎症が長期間続くと大腸がんのリスクが高くなるといわれています。そのため、がん保険に加入するのは難しくなります。どうしてもがんに対する保障を付けたい場合は、がん保険への加入ではなく、がん診断特約を付帯できる保険会社を探してみるのも良いでしょう。
保険に入りにくくなる理由は?
潰瘍性大腸炎は一度発症すると完治することはありません。適切な治療を受けて腸の炎症を抑えていき寛解状態となっても再発するケースも多く、健康な人よりも入院や手術をするリスクが高くなります。入院や手術のリスクが高くなると保険金が支払われる可能性が高くなってしまうため、一般の生命保険に加入するのは非常に難しくなってしまうのです。
いつ手術や入院が必要になるか分からないからこそ、保険で備えたいという思いはありますよね。次に紹介する「引受基準緩和型医療保険」であれば加入できるかもしれません。
引受基準緩和型なら加入しやすい
通常の医療保険への加入を断られてしまっても、まだ諦める必要はありません。「持病があっても加入しやすい」と宣伝されている引受基準緩和型の医療保険があります。
引受基準緩和型医療保険は基本的に持病の悪化や再発も保障されるのが特徴です。そのため、潰瘍性大腸炎が再発して手術等をおこなった場合でも保険金を受け取ることができます。通常の医療保険で特定部位不担保の条件が付いてしまっても、再発や悪化に備えたい方は検討してみるとよいでしょう。
通常の医療保険に比べて加入条件が緩やかになっているため、持病や既往歴のある人でも加入しやすくなっています。健康状態に関する告知が3~5項目程度と少なく、以下のような質問にすべて「いいえ」と答えられれば申し込みが可能です。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
引受基準緩和型は持病があっても入りやすくなっている分、保険料が割高になっているので注意が必要です。加入の前には支払い続けられる保険料か十分に確認しましょう。
以前は契約してから一定期間は保障額が半額になることが多かったのですが、最近では保障が削減される期間がない商品も出てきています。保険会社によって告知項目や保障内容は異なるので複数の会社のものを比べて検討するのがおすすめです。
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潰瘍性大腸炎を隠すのはNG!
加入しにくくなるからといって持病を隠して申し込むのは告知義務違反となります。もし告知をせずに保険に加入すると、保険金が支払われない場合や契約自体が解除される場合があります。保険会社への告知は嘘をつかずに正しく行うようにしましょう。
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持病を隠して保険に加入するのはNG!隠すとどうなる?
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医療費助成制度も活用しよう
国が指定する難病である潰瘍性大腸炎は重症度が「重症」「中等症」「軽症」の3つに分けられ、中等症以上は医療費助成の対象となります。軽症の場合でも12か月以内に医療費が33,330円を超える月が3回以上ある場合は助成が受けられます。
市区町村の保健所や役所にて所定の手続きを行い認定されると、医療費受給者証が交付され、自己負担上限額を超過した医療費の払い戻しが受けられるようになります。
医療費助成における自己負担上限額(月額)
階層区分 | 階層区分の基準 ()内の数字は、夫婦2人世帯の 場合における年収の目安 |
患者負担割合:2割 (1割負担の人はそのまま) |
|||
---|---|---|---|---|---|
自己負担上限額 (外来+入院+薬代+訪問看護等) |
|||||
一般 | 高額かつ長期※ | 人工呼吸器等装着者 | |||
生活保護 | - | 0円 | 0円 | 0円 | |
低所得I | 市町村民税 非課税 (世帯) |
本人年収 ~80万円 |
2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
低所得II | 本人年収 80万円超~ |
5,000円 | 5,000円 | ||
一般所得I | 市町村民税 課税7.1万円未満 (約160万円~370万円) |
10,000円 | 5,000円 | ||
一般所得II | 市町村民税 7.1万円以上25.1万円未満 (約370万円~810万円) |
20,000円 | 10,000円 | ||
上位所得 | 市町村民税 25.1万円以上 (約810万円~) |
30,000円 | 20,000円 | ||
入院時の食費 | 全額自己負担 |
※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。
出典 難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」
自己負担の限度額は患者の世帯の所得に応じて設定されます。潰瘍性大腸炎の治療費が心配で医療保険への加入を検討するというのであれば、医療費助成制度が活用できるということを念頭に置いて検討したほうがよいでしょう。
潰瘍性大腸炎・クローン病・過敏性腸症候群の違いは?
潰瘍性大腸炎と症状が似ている疾患でクローン病と過敏性腸症候群があります。この3つの疾患について保険の加入と給付金請求はできるのでしょうか?まずはそれぞれの違いを抑えておきましょう。
潰瘍性大腸炎(UC)
大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる病気です。よくみられる症状は腹痛や下痢で、下血を伴うこともあります。これらの症状が治まったり(寛解)ぶり返したり(再燃)を慢性的に繰り返します。治療法が現時点で見つかっておらず、完治が難しく国の指定難病にもなっています。
クローン病(CD)
大腸だけでなく口から肛門までの消化管全域に炎症や潰瘍ができます。完治が難しく指定難病になっています。
過敏性腸症候群(IBD)
主な症状は腹痛や下痢で潰瘍性大腸炎と似ていますが、内視鏡検査をしても腸に炎症や潰瘍がみられません。精神的なストレスが原因になることもあるようです。
潰瘍性大腸炎 | クローン病 | 過敏性腸症候群 | |
---|---|---|---|
指定難病有無 | 指定難病あり | 指定難病あり | 指定難病なし |
症状 | 粘血便、下痢、腹痛、食欲不振、体重減少 発熱など |
腹痛、下痢、体重減少、発熱、肛門病変など 肛門病変によって発見の契機となることがある。 ときに虫垂炎類似症状、腸閉塞、腸穿孔など |
腹痛、腹部不快感および膨満感、下痢、便秘、嘔吐、背部痛、泌尿器系症状、婦人科系症状 |
合併症 | 皮膚病変、抹消関節炎、強直性脊椎炎、原発性硬化性胆管炎、大量出血、中毒性巨大結腸症、 | 肛門病変、狭窄、瘻孔、腹部膿瘍形成、穿孔、大出血、中毒性巨大結腸症 |
①消化管合併症:逆流性食道炎、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患 ②消化管外合併症:慢性疲労症候群、間質性膀胱炎、月経前症候群、パーキ ンソン病、精神疾患など |
原因 | 遺伝、免疫機能の異常、環境因子(腸内細菌叢、幼少期の感染、食習慣、虫垂切除歴、経口避妊薬の服用、抗菌薬の使用など) | 環境因子、遺伝、感染、食事成分に対する腸管の異常反応、腸管微小血流障害説 | ・精神的・身体的ストレス ・内臓神経の知覚過敏 ・遺伝・幼少期の環境要因 |
治療法 | ①薬物療法 ②薬物療法が無効な重症の場合や、合併症の症状が著しい場合は外科的治療(手術)の適応になります。 |
①薬物療法 ②栄養療法 ③閉塞症状や瘻孔に伴う症状が改善しない場合は外科的治療(手術)の適応になります。 |
①生活指導などの非薬物療法 ②薬物療法 |
代表的な薬剤 | ・アミノサリチル酸製剤(ペンタサ) ・ステロイド剤(プレドニン) ・免疫抑制剤(イムラン) |
・アミノサリチル酸製剤(ペンタサ) ・ステロイド剤(プレドニン) ・免疫抑制剤(イムラン) |
・抗コリン剤 ・胃腸運動調整薬 ・止痢剤 ・整腸薬 ・抗不安薬 ・自律神経調整薬 |
生命保険の新規加入
潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群ともに完治が難しいため、生命保険の新規加入を断られるケースがあります。ただし、適切な治療を受けて症状を改善し再発の頻度を抑えることを目指しましょう。再発せずに時間が経過していれば、保険料の割増や部位不担保などの条件付きで加入できる可能性があります。もし通常の生命保険や医療保険への加入を断られてしまった場合は、引受基準緩和型の医療保険を候補にしてみてはいかがでしょうか。
給付金請求
3つの疾患とも保険契約の責任開始後に発症し、給付金支払い事由に該当すれば給付金の請求は可能です。
潰瘍性大腸炎とクローン病は基本的に薬物療法や栄養療法で治療をしますが、症状が悪化した時は手術や入院をすることもあります。腸の炎症程度や栄養状態にもよりますが、1ヵ月程の入院を要することが多いです。重症度によっては医療費助成制度を利用できるものの、入院時の食費や差額ベッド代、日用品や家族の交通費などは適用されず全て自己負担となります。入院期間が長くなるほど自己負担額も大きくなるため、民間の保険の備えがあるとより安心ですね。
持病があっても入れる保険を探してみる
食事・日常生活のポイント
潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群の3つの疾患の症状には、「下痢」と「便秘」が共通しています。
これらの症状はいつどんな時に発症するか分からない為、いずれの疾患においても、症状をコントロールして日常生活に支障をきたさないようQOLを低下させないことが重要です。
では、この2つの症状における食事療法のポイントを紹介します。
下痢の食事療法のポイント
下痢の症状がひどい時は腸の運動を鎮めるために安静にすることが大切です。
また、冷たい飲み物や食べ物を避け、体を冷やさないようにしましょう。
【避けたい食品】
・冷たい飲み物、食べ物
・脂質の多いもの:揚げ物、バター、脂質の多い肉や魚、脂ののった魚、うなぎなど
・繊維の多いもの:さつま芋、ごぼう、たけのこ、切干大根、わらび、ぜんまい、菜っ葉、果物、海藻、こんにゃく
・発酵しやすいもの:砂糖が多く含まれているもの(ケーキ、お菓子、カステラ、チョコレート、プリン)、さつま芋、豆類
・消化しにくいもの:貝類、いか、たこ、ラーメン
・刺激の強いもの:炭酸飲料、香辛料、アルコール、コーヒー
→コーヒーや香辛料等の刺激物は胃酸を過剰に分泌させるため、摂りすぎには注意しましょう。アルコールは飲みすぎると胃の運動機能を低下させたり胃酸の分泌を増やし、胃の粘膜に直接作用して粘膜に障害を起こしますので、空腹時をさけて適量を守りましょう。
また、たばこも食道や胃の運動機能を低下させ、胃酸の逆流を招くので控えましょう。
【食べてもよい食品】
★下痢が激しいとき
・湯ざまし、スポーツ飲料などの水分などを十分にとりましょう。
・重湯、野菜、スープ、酸味の少ない果汁などの流動食も同時に摂りましょう。
★下痢が回復してきたとき、長引くとき
体力の消耗を防ぐため良質な蛋白質を十分にとり、ビタミン、無機質も不足しないよう注意しましょう。
・お粥、柔らかい米飯、パン、うどん
・脂肪の少ない肉、魚、卵類、豆腐類、納豆
・ヨーグルト、チーズ、柔らかく煮た野菜、じゃがいも
便秘症の食事療法のポイント
規則的な排便の習慣をつけることが大切です。毎日時間を決めて一定時間トイレに入る、便意をもよおしたときは我慢せずにトイレに行く等、時間をとって体に覚えさせましょう。
お菓子などの甘いものや、揚げ物など脂っこいものは胃の中に留まりやすです。食べ過ぎには注意しましょう。
【便秘を改善させる食品】
・乳製品(牛乳・ヨーグルト)
・油脂類(バター・ごま油)
・炭酸飲料・ビール
・糖類を多く含む食品(ケーキ・菓子類)
・香辛料
・繊維質の多い食品(野菜類・果物・豆類・こんにゃく・寒天・海藻)
【便秘を悪化させる食品】
・肉類に偏った食事
・渋柿、ココア、赤ぶどう酒
日常生活のポイント
・便秘の症状がある時は、朝食をゆっくりとたくさんとって朝の排便を習慣づけ、適度な運動、腹部マッサージを心がけましょう。
・下痢の症状がある時は、体を冷やさないようにしましょう。
・ストレスは腸の状態に影響します。趣味の時間を作ったり休日に旅行に行く等のストレス解消法を身に付け、睡眠や休息を十分にとりましょう。