指定難病の中で患者数が最も多い病気の一つであるパーキンソン病。通常は50歳以上の人がなる病気ですが、40歳以下でもまれに発症することがあります。もしパーキンソン病と診断されたら、通常の医療保険への加入は難しくなります。どんな保険なら入れるでしょうか?
目次
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パーキンソン病とは?
国の指定難病であるパーキンソン病は、脳内のドパミン神経細胞の減少を原因とする体の震え、動作緩慢、筋肉の強張り、姿勢保持障害等の運動機能障害が起きる神経変性疾患です。上記の運動症状だけでなく、便秘や頻尿、疲れやすさ、めまい、うつ病や認知症のような非運動症状も表れます。パーキンソン病は10万人に100人~150人の割合で発病し、潰瘍性大腸炎と同様に希少難病の中では比較的患者数が多い指定難病となっています。※
現在の医療ではパーキンソン病を根本的に治療する方法はなく、薬剤を使用した薬物療法を基本とし、脳内に電極を入れて視床下核を刺激する手術療法も行われます。
パーキンソン病は発病するとすぐに命に関わったり入院が必要になったりといった種類の病気ではありません。しかしながら治療を行わず放置していると徐々に病状が悪化し、末期には投薬療法も効かなくなり寝たきりになってしまいます。そのため、パーキンソン病と診断されたら医師の判断を仰ぎ適切な治療を行いながら生活していく必要があります。
※参考 公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
パーキンソン病になっても医療保険に入れる?
パーキンソン病は通常の医療保険には入りづらい
パーキンソン病は研究が進んでいる病気ですが、現在の医療では一度発症すると根本的な治療方法はありません。投薬治療を中心とした症状の緩和が目標となるため、定期的な診察や通院が不可欠です。そのため、通常の医療保険への加入は難しいでしょう。
一部の医療保険なら加入できる可能性が高い
引受基準緩和型
通常の医療保険への加入を断られた場合は、引受基準緩和型の医療保険も検討してみましょう。引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険に比べて加入条件が緩やかで、定期的に通院をしている人でも加入しやすくなっています。
どのように入りやすくなっているかというと、健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問になっていて、その質問にすべて「いいえ」と答えられれば申し込みが可能です(過去に保険料を払わなくて契約を解除されたなど健康状態に関すること以外で契約できないこともあります)。告知項目は保険会社によって異なりますが、以下のような内容になっています。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
直近で入院・手術をしていたり、すすめられたりしている場合は引受基準緩和型医療保険でも加入は難しくなりますが、そうでなければ通常の医療保険を断られたり条件が付いたりした方でも問題なく加入できる可能性があります。保険会社によって告知項目は異なるので複数の会社のものを比較してみましょう。
無選択保険
無選択保険は引受基準緩和型医療保険よりも更に入りやすい保険です。ただし保険料も高額となるため、保険料が高くても構わないからとにかく保険に入りたいという方でなければあまりおすすめできません。
パーキンソン病は様々な公的支援制度を受けられる
パーキンソン病は患者の年齢・重症度・月々の医療費総額によって受けられる公的支援制度が変わります。
重症度によって受けられる支援が異なる
パーキンソン病の重症度は病気の進行状況により、ホーン・ヤールの重症度分類では5つ、生活機能障害度では3つに分類されます。この重症度と月々の医療費総額によって難病医療費助成制度を利用できたり、医療保険のみ利用可能だったりします。
パーキンソン病の重症度
ホーン・ヤールの重症度分類 | 症状 | 生活機能障害度(厚生労働省) | 症状 |
---|---|---|---|
1度(軽症) | ふるえや筋肉の強張りが体の片側にのみあらわれる | 1度 | 日常生活、通院にほとんど介助を要さない |
2度 | ふるえや筋肉の強張りが体の両面にあらわれる | ||
3度 | 姿勢やバランスが保てなくなり、活動がやや制限される | 2度 | 日常生活、通院に部分的な介助を要する |
4度 | 日常生活の一部に介助が必要になる | ||
5度(重症) | 一人で起き上がったり、歩いたりできなくなる | 3度 | 日常生活に全面的な介助を要し、独立で歩行、起立ができない |
出典 武田薬品工業株式会社 パーキンソン病オンライン パーキンソン病の重要度
公的支援制度について
難病医療費助成制度
パーキンソン病の診断を受けており、以下の条件のいずれかに該当する患者は難病医療費助成制度を受けられます。※
- ホーン・ヤールの重症度分類3度以上かつ生活機能障害度が2度以上
- 医療費総額(10割)が33,330円を超える月が年に3回以上ある
※パーキンソン病の医療費に関して他の公費による医療給付を受けている場合は対象外となります。
難病医療費助成制度に申請して認定を受けると、以下の助成内容を受けることが可能です。
- 医療費等の3割を自己負担している患者は負担割合が2割になる
(もともとの負担割合が2割または1割の人は変更無し) - 所得状況に基づいて月ごとの医療費等に係る費用の自己負担上限額が設定され、当該上限額を超えた自己負担額は全額助成される
- 医療保険等適用後の自己負担額のうち、高額医療費に相当する金額は健康保険から支給される
参考 東京都福祉保健局 難病医療費助成の助成内容
介護保険制度
以下の条件のいずれかに該当する患者は介護保険制度を利用可能です。
- 要介護・要支援の認定を受けた65歳以上の人(第1号被保険者)
- 40~64歳で医療保険に加入しており、パーキンソン病を含む特定疾患が原因となって要介護状態であると認定された場合(第2号被保険者)
介護保険制度を利用すると例えば以下のサービスを受けることが可能です。
- 訪問介護(入浴、排泄、食事などの介護、調理、洗濯、掃除等の日常生活の援助)
- デイサービス(入浴、食事、健康状態の確認、機能訓練等)
- 訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション
- ショートステイ(短期間入所生活介護)
- 居宅療養管理指導(通院が困難な場合に医師・薬剤師が訪問して療養上の管理や指導)
- 車椅子や特殊寝具等の福祉用具の貸与
身体障害者福祉法
18歳以上かつ身体障害者福祉法に定められた程度の肢体不自由の障害がある方は、身体障害者手帳の交付を受けることが可能です。身体障害者手帳があることにより、以下のサービスや支援を受けることが可能になります。(ただし障害の等級や年齢、所得、自治体等により申請できる手当や受けられる手当は異なります)
- 経済的な支援
・重度障害者医療費助成
・特別障害者手当
・障害厚生年金・障害基礎年金 - 外出の支援
・鉄道、バス、タクシー運賃の割引
・有料道路通行料金の割引
・自動車の燃料費の助成
・福祉タクシー利用券の交付
・身体障害者自動車改造費助成 等 - 税金の控除
- 生活の支援
・おむつ支給
・出張理美容サービス 等 - 公共料金の割引
障害者総合支援法
2013年4月から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わり、障害者の定義に難病などが追加されました。そのため、18歳以上のパーキンソン病患者はホーン・ヤールの重症度分類に関わらず障害者総合支援法の支援を受けられます。介護保険制度の利用者は介護保険の利用が適用されますが、それ以外の患者は障害福祉サービスを受けられるようになっています。支援内容は自立支援や生活支援が主となっています。
- 自立支援給付
・介護給付(居宅介護、ショートステイ、生活介護等)
・訓練等給付(自立支援、就労移行支援、就労継続支援等) - 地域生活支援事業
・地域住民を対象とした研修・啓発
・相談支援
・移動支援
・日常生活用具の給付 等
医療保険制度
公的医療保険に加入している75歳未満の患者、または75歳以上の患者は医療保険を利用可能です。
また、1ヶ月に窓口で負担する医療費の合計が自己負担限度額を超える場合は高額療養費制度を利用できます。高額療養費制度を利用すれば、医療機関や薬局で支払った金額のうち自己負担額限度を超過した分が戻ってきます。
成年後見制度
病状が進行すると、うつ病や認知症といった精神障害が合併症状として出てきます。これらの非運動症状により判断能力が低下し、日常生活だけでなく契約を結んだり財産を管理したり等が難しくなります。そのため、成年後見人になった人がパーキンソン病患者の代わりに契約したり財産管理をしたりして患者の保護と生活の支援をします。
まとめ
パーキンソン病は指定難病ということで通常の医療保険に加入するのが難しい疾病です。最初は症状が軽いからと健康状態を偽って医療保険に加入しても、いざ保険金を請求した際に告知義務違反となり保険金が一切支払われなくなります。過去の健康診断の結果や国民健康保険の利用履歴等から告知義務に違反していないか調査されますので、保険契約をする際は正直に健康状態や既往歴を申告するようにしましょう。
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パーキンソン病患者は様々な公的支援制度を活用することができますが、他の傷病と同様に、公的な介護保険や支援制度だけでは対応しきれない部分もあります。足りない部分を医療保険でカバーしたいという方は、引受基準緩和型の医療保険も選択肢に入れて検討してみてはいかがでしょうか。