C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって発症する肝臓の病気です。C型肝炎ウイルスに初めて感染した人の約70%はキャリア化(感染が持続する状態)し、その後長い期間を経て慢性肝炎を発症したり、肝硬変や肝臓がんに発展したりします。このように、重い病気へと進展する可能性のあるC型肝炎ですが、C型肝炎ウイルスのキャリアの方は医療保険に加入することはできるのでしょうか。
目次
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通常の医療保険への加入は厳しい
C型肝炎ウイルスのキャリアの方は通常の医療保険への加入はかなり厳しくなります。C型肝炎ウイルスのキャリアの場合、慢性化することが多く、また、C型肝炎は肝臓がんの原因の大多数を占めています。このため、C型肝炎の治療中の方や過去にC型肝炎だと診断されたことがある方は、通常の保険の加入がかなり厳しくなるのです。
きちんと治療を行っていれば条件付きなどで加入できる場合もありますので、まずは通常の医療保険の加入にトライしてみるのがよいでしょう。また、加入を断られてしまったという場合でもまだあきらめる必要はありません。次に紹介する引受基準緩和型医療保険であればC型肝炎でも加入できる可能性があります。
引受基準緩和型医療保険なら入れるかも
C型肝炎が理由で通常の医療保険への加入を断られてしまっても、引受基準緩和型医療保険であれば加入できる可能性があります。引受基準緩和型医療保険とは、漢字の通り、保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している医療保険です。「持病があっても入りやすい」などと宣伝しているのを見聞きしたことがある人も多いのではないかと思います。
引受基準緩和型医療保険では、健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問になっています。これらの質問にすべて「いいえ」と答えることができたら申し込むことができます(健康状態に関すること以外で加入できない場合もあります)。健康状態に関する質問は以下のようなイメージです。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。内容は保険会社によって異なります。
C型肝炎であっても直近で入院・手術をしておらず、また、すすめられてもいなければ加入できる可能性があります。また、告知項目は保険会社によって異なるので、A社では加入できなくてもB社では加入できるということもありえます。保障内容を比較する意味でも、各社の引受基準緩和型医療保険の資料請求をして比べてみるとよいでしょう。
引受基準緩和型医療保険にデメリットはある?
C型肝炎でも入りやすい引受基準緩和型医療保険ですが、何かデメリットはあるのでしょうか。引受基準緩和型医療保険のデメリットを紹介します。
保険料が割高
引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっています。持病がある方は健康な方と比べて入院・手術をする確率が高く、したがって、保険金を請求する確率も高くなります。通常よりも多くの保険金が請求されるのに保険料が同じでは保険を継続して運営していくことができません。そのため、引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっているのです。
一定期間は保障が半分になる商品も多い
加入後1年間など一定期間内は入院給付金や手術給付金などの給付額が50%に削減される商品も多いです。持病と関係がない病気・ケガによる入院や手術であっても保障額が減らされてしまいます。契約を引き受ける基準を緩和しているので、保険会社側のリスクを低減させるためにこうした設計となっているのです。しかし最近ではこの保障が削減される期間がない商品も出てきています。
特約のバリエーションが少ないこともある
引受基準緩和型医療保険では選択できる特約の種類が同じ保険会社の通常の医療保険と比べて少なくなっていることがあります。入院や手術以外にも様々なことに備えたいと思っていても該当する特約がなく、保障をあきらめざるを得なかったり別の保険を探さなければいけなかったりすることもあるのです。また、特約が用意されていても通常の医療保険のものよりも保険料が高く設定されていることもあります。
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医療費の公的助成制度も
C型肝炎ウイルスの治療は高額になるため、国と各都道府県によりC型肝炎治療にかかる医療費の助成を受けることができます。
助成の対象
C型ウイルス性肝炎の根治を目的としたインターフェロン治療およびインターフェロンフリー治療を要すると診断された方が対象となります。根治を目的としない場合には助成の対象とはなりません。
- C型慢性肝疾患の根治を目的としたインターフェロン治療
- インターフェロンあるいはペグインターフェロン単剤
- インターフェロンあるいはペグインターフェロン+リバビリン併用
- ペグインターフェロン+リバビリン+プロテアーゼ阻害剤の3剤併用
- C型慢性肝疾患の根治を目的としたインターフェロンフリー治療
助成額(自己負担上限額)
インターフェロン治療やインターフェロンフリー治療にかかる薬剤費、診察費、入院費などの自己負担額の上限を月額1万円(所得によっては2万円)とし、残りを国と都道府県が負担します。
助成の申請に必要なもの
助成の申請には以下のものが必要となります。都道府県により手続きが異なる場合もありますので、詳細についてはお近くの保健所等にご確認ください。
- 肝炎治療医療費助成申請書
- 診断書(かかりつけ医にご相談ください)
- 住民票(世帯全員が記載されたもの)
- 健康保険証等の写し
- 住民票に記載された世帯全員分の区市町村民税の課税状況を証明するもの
まとめ
C型肝炎の方は通常の医療保険に加入することが大変難しくなります。もし、通常の医療保険に申し込んで加入を断られてしまっても、まだあきらめる必要はありません。持病がある方でも入りやすくなっている引受基準緩和型医療保険であれば加入できる可能性があります。通常の医療保険よりも保険料が割高などのデメリットはありますが、高額な医療費に備えて医療保険に加入したいという方はぜひ検討してみてください。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。