医療保険に入りたいけど高血圧だから入れるか分からない、加入できないとあきらめているという人が多くいるようです。はたして高血圧の場合でも医療保険に加入できるのでしょうか。そのポイントについて解説します。
目次
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高血圧でも通常の医療保険に加入できる可能性あり
高血圧の状態が続くと脳卒中や心筋梗塞などの病気になりやすいため、高血圧の方は健康な方よりも医療保険に加入しづらくなります。しかし、全く加入できないというわけではありません。降圧薬などの治療で血圧が安定している場合は加入できる可能性があります。
保険会社によって引受基準は違うので、ある保険会社で断られても別の保険会社では加入できるという場合もあります。また、告知内容によっては保険料の割増や一定期間は特定の部位の保障は受けられないという条件付きでの加入となることもあります。1つの保険会社に断られてもあきらめず、他に加入してもよいと思える保険があればそちらにも申込みしてみましょう。
加入が難しくなるケースは?
もちろん高血圧の方すべてが通常の医療保険に加入できるわけではありません。以下のような場合では通常の医療保険への加入が難しくなります。
通院や治療を行っていない
高血圧だと診断されたけど忙しくて通院や治療を行っていないという場合は加入が難しくなります。高血圧というリスクが高い状態を放置しているということなので加入が難しくなるのは当然ともいえます。
血圧が基準よりも高い
降圧薬などによる治療を受けていても血圧が基準値よりも高い状態である場合は加入が難しくなります。日本高血圧学会が定める基準では、「最高血圧:140mmHg以上、最低血圧:90mmHg以上」のどちらか、あるいは両方を満たす場合に高血圧と診断されますが、医療保険に加入できるかの基準値は保険会社や年齢などで変わります。
服薬を始めてからの期間が短い
上とかぶる部分がありますが、服薬を開始してからの期間が短い場合も通常の医療保険への加入が難しくなります。服薬を開始してから血圧の数値が安定するのにはある程度の時間が必要です。
心筋梗塞や脳卒中の予防薬を服用している
血圧を下げるための薬だけでなく、一緒に心筋梗塞や脳卒中など他の病気を予防する薬を服用している場合は通常の医療保険への加入は難しくなります。
他の病気を併発している
高血圧だけでなく他の病気を併発している場合は通常の医療保険の加入が難しくなります。ただし、全く加入できないというわけでもなく、その病気についても特にリスクが上がらないと保険会社に判断されれば加入できることもあります。
高血圧を隠すのはNG
医療保険に加入するために高血圧を隠すのはやめましょう。保険金請求時などに高血圧を隠していたことが発覚した場合、告知義務違反として契約を解除されてしまうおそれがあります。また、保険金請求の事由について隠していた高血圧との因果関係が認められる場合は保険金も支払われません。加入できても保険料の分だけ無駄な費用が増えることになるので、高血圧を隠して医療保険に加入しようとするのはやめましょう。
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高血圧でも加入しやすい保険は?
高血圧で通常の医療保険に加入できなかった場合でも加入しやすい保険もあります。どのような保険があるのか紹介します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、漢字の通り、保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している保険のことで、CMなどで「持病があっても入りやすい」などと宣伝している商品です。
どのように入りやすくなっているかというと、引受基準緩和型医療保険は健康に関する告知が通常の医療保険よりも限定されています。診断書などの提出ではなく、3~5個の健康状態に関する質問にすべて「いいえ」と答えることができれば加入することができます。
※過去に保険料を払わなくて契約を解除されたなど健康状態に関すること以外で契約できないこともあります。
告知項目は保険会社によって異なりますが、以下のような内容になっています。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
質問内容は保険会社によって異なるので、引受基準緩和型医療保険に加入したいという場合は一括資料請求で複数の保険会社の資料を取り寄せて各社の条件を比較してみましょう。
デメリットはある?
引受基準緩和型医療保険は持病があっても入りやすく、持病の悪化についても保障対象になるというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
- 保険料が割高
通常の医療保険よりも保険料が高くなっています。 - 一定期間は給付額が半額になる商品が多い
契約から1年以内などの期間は持病とは関係のない病気・ケガでも給付金が削減される商品が多いです。 - 特約のバリエーションが少ないことがある
選択できる特約の種類が同じ保険会社の通常の医療保険よりも少ないことがあります。
加入を検討する場合にはメリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。
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無選択型保険
無選択型保険は健康状態に関する告知や医師の診査がなくても加入できるので、高血圧の方でも加入しやすいです。しかし、以下のようなデメリットもあります。
- 通常の医療保険や引受基準緩和型医療保険に比べて保険料が高い
- 受け取れる保険金や給付金の上限額が低い
- 通常の医療保険に比べて免責事由の範囲が広いことが多い
引受基準緩和型の医療保険も入れないという場合で、どうしてもすぐに医療保険に入りたいという場合に選択肢に挙がりますが、保険料も高額なので加入に関してはデメリットも含めてよく検討するようにしましょう。
がん保険
医療保険に加入できなくてもがん保険になら加入できる場合もあります。なぜならがん保険で求められる告知事項はがんに関することが中心となっているからです。がん保険はあくまでもがんに対しての保障なので、がんに関するリスクが高くなければ加入できる可能性も高くなります。医療保険のようにさまざまな病気・ケガに対する保障は受けられませんが、せめて大きな費用がかかるがん治療には備えておきたいという場合はがん保険も検討してみてください。
高血圧とは
左心室より駆出された血液は血管系を介し全身を循環しますが、この際に動脈壁に生じる圧力が血圧です。血圧は左室収縮期に最高値となり、左室拡張期に最低値となり、それぞれが一定のレベルを超えた場合が高血圧となります。
高血圧は、喫煙、脂質異常症、糖尿病などとともにさまざまな心血管疾患(脳血管障害、虚血性心疾患)のリスクとなっています。
高血圧の数値
高血圧の程度の基準は数値上以下のように軽症、中等症、重症に分類されます。
・軽症高血圧:140~159/90~99mmHg
・中等症高血圧:160~179/100~109mmHg
・重症高血圧:≧180/≧110mmHg
症状
高血圧は自覚症状は少ないですが、中等症以上の高血圧では、頭痛、頭重感、肩~後頚部のこりなどの自覚症状が認められることがあります。主な症状・病態は以下のとおりです。
①脳:脳出血、無症候群性脳血管障害、一過性虚血発作、認知機能障害
②心臓:左心肥大、狭心症、心筋梗塞、心不全
③腎臓:蛋白尿、腎障害、腎不全、
④血管:動脈硬化性プラーク、頸動脈内膜、大動脈解離、閉塞性動脈疾患
⑤眼底:高血圧性網膜症
原因
高血圧は以下①~④の原因によって発症しますが、そられの因子の中でNa排泄障害と抹消管抵抗が主要な2大要因であるとされています。
①遺伝的要因:細胞膜機能異常、酸素機能異常
②環境要因:食塩摂取、肥満、運動不足、ストレス、飲酒、カリウム摂取不足
③自律神経系:交感神経活動の亢進および副交感神経活動の抑制が血圧上昇に寄与
④心血管内分泌系:昇圧ホルモンの増加
その他インスリン抵抗性、酸化ストレス、炎症などの要素が高血圧の成因と因果関係をもち、高血圧の病態に関与しています。
予防法
予防法として食事療法が挙げらます。
①減塩:食塩摂取量と高血圧発症頻度の間には正相関があり、1日当たり6g未満の減塩が推奨されています。
②野菜・果物摂取の増加と動物性脂肪摂取の抑制:野菜や果物に含まれるカリウムやマグネシウムなどのミネラルや食物繊維の積極的な摂取により軽度の降圧効果が認められ、これに加えて動物性脂肪に含まれるコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を減らし血清脂質を改善することにより、心血管疾患のリスクを減らす効果が期待されています。
改善策
高血圧に対する治療は非薬物療法(生活習慣の修正)と薬物療法(降圧薬治療)があります。
軽症であれば生活習慣の修正で改善する場合もあり、降圧薬療法を行う場合でも、生活習慣の修正を平行して行うことで薬剤数を減らすことが期待できます。生活習慣の修正とは①減量、②運動、③飲酒制限、④禁煙です。
①減量:肥満は高血糖や血清脂質異常とも関連するメタボリックシンドロームの要因であり、4~5kgの減量で有意な降圧効果が得られるとされています。無理のない減量を長期継続することが大切です。
②運動:最大酸素摂取量の50%の運動、すなわち早歩きや軽いジョギングなど汗ばむ程度の運動を1回に30分以上、週3日以上行うことにより降圧効果が期待できます。
③飲酒制限:飲酒にはHDLコレステロールを増加させる効果もあるが、過度の飲酒は血圧の上昇とともに脳卒中のリスクを高めます。1日の飲酒量は日本酒にして1合(180ml)以内とすることが望ましいです。
④禁煙:ニコチンは急性的に血圧を上昇させます。持続は15~30分で耐性は生じないが、ヘビースモーカーでは日中の血圧上昇と心拍数増加の原因となっています。
降圧薬
高血圧の治療において、生活習慣の修正を一定期間行っても十分な降圧が得られない場合には、降圧薬治療が開始されます。
降圧薬治療の判定には、高血圧の程度と共に心血管疾患のリスクが考慮され、高リスク群は直ちに生活習慣の修正を指導し、血圧が正常化しなければ降圧薬治療を実施することとなります。
以下が代表的な高血圧治療で使用される降圧薬です。
●カルシウム拮抗薬
特徴:抹消の血管を拡げて血圧を下げるとともに、血液中のコレステロールや中性脂肪の量を下げる効果があります。
副作用:頭痛、動悸、歯肉肥厚、便秘、上下肢の浮腫
●利尿剤
特徴:尿を出して血圧を下げるお薬です。
副作用:低カリウム血症、低ナトリウム血症、高尿酸血症、耐糖能異常
●α1遮断薬
特徴:血管を拡げて血圧を下げてくれて、尿を出しやすくする効果があります。
副作用:めまい、立ち眩み
●ACE阻害薬
特徴:抹消の血管を拡げて血圧を下げるとともに、心臓の働きを助ける効果もあります。
副作用:空咳、血管性浮腫
●ARB
特徴:抹消の血管を拡げて血圧を下げるとともに、尿を出して血圧を下げるお薬です。
副作用:めまい
まとめ
高血圧であっても降圧薬などによる治療で血圧が安定している場合は通常の医療保険に加入できる場合があります。医療保険に入りたいという場合は、高血圧だからといって初めからあきらめるのではなく、まずは通常の医療保険に加入できないかトライしてみましょう。
通常の医療保険には加入できなかったという場合は引受基準緩和型の医療保険も検討してみましょう。通常の医療保険と比べて割高などのデメリットがありますが、告知事項が限定されており、持病があっても加入しやすくなっています。引受基準緩和型医療保険の告知事項は保険会社によっても異なるので、加入を検討する場合は一括資料請求で複数の会社を比較してみましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。