緩和型医療保険のコラム

胃潰瘍でも医療保険に加入することはできる?

投稿日:2021年6月1日 更新日:

昔と比べて患者数は減ってきている胃潰瘍ですが、現在でも多くの方が胃潰瘍を患っています。厚生労働省の「患者調査」によると、胃潰瘍の総患者数のピークは1996年の91.6万人で、現在結果が公開されている中で最新の2020年の調査では20.2万人となっています。胃潰瘍の診断を受けた場合、医療保険に加入することはできるのでしょうか?

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胃潰瘍でも医療保険に加入できる?

一般に持病や既往症があると医療保険に入りづらくなりますが、胃潰瘍の場合はどうなのでしょうか?

胃潰瘍の場合、やはり健康な方よりも医療保険には入りづらくなります。胃潰瘍は薬による治療が多いですが、重症化すると潰瘍部分から出血したり穴が開いたりして手術が必要になります。また、治った後も再発しやすく、再発を繰り返すとがんになる可能性もあります。そうしたことから、健康な方よりも医療保険に入りづらくなるのです。また加入できた場合でも「○年間は胃および十二指腸の病気は保障しない」というような部位不担保の条件が付くことが多いでしょう。ただ、まったく加入できないわけではなく、また、完治後5年など一定の期間が経過していれば条件なしに医療保険に加入できる場合もあります。保険会社によって引受基準が異なるので、医療保険に加入したい場合は1社の審査結果が不本意でも他の保険会社を試してみるとよいでしょう。

医療保険を申し込む際に大切なのが正しく告知を行うことです。発症時期や完治時期、再発の有無、薬剤名、ピロリ菌の除菌の有無、入院・手術の有無といったことを正しく告知するようにしましょう。条件なしに医療保険に入りたいからといって胃潰瘍を隠して申し込んではいけません。加入できたとしても入院・手術等をして保険金を請求する際の調査で胃潰瘍のことがバレてしまい、告知義務違反として保険金が支給されなかったり契約が解除されたりすることもあります。保険料を無駄に支払わないためにも告知は正しく行うようにしましょう。

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健康診断で胃潰瘍の疑いを指摘されたら先に医療保険に加入しておいた方がいい?

胃潰瘍の診断が下りると医療保険に加入しづらくなったり条件が付いたりするので、健康診断などで胃潰瘍の疑いを指摘された段階で、再検査や精密検査の前に医療保険に加入しておこうと考える人もいるかもしれません。しかし、胃潰瘍に限らず、病気の可能性を指摘されて再検査や精密検査を指示された場合には、再検査や精密検査を受けるまでは医療保険に加入することはできません。保険会社としてリスクの程度の判断ができないからです。医療保険に加入したいのであれば速やかに指示された検査を受けるようにしましょう。

引受基準緩和型医療保険も検討してみよう

胃に対する保障が欲しいのに部位不担保の条件が付いた、症状が重くて医療保険の加入を断られたという場合は引受基準緩和型医療保険も検討してみましょう。引受基準緩和型医療保険とは、漢字の通り、保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している医療保険で、持病や既往症がある方でも加入しやすくなっています。「持病があっても入りやすい」などと宣伝している医療保険です。

どのように入りやすくなっているかというと、健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問になっていて、その質問にすべて「いいえ」と答えられれば申し込みが可能です(過去に保険料を払わなくて契約を解除されたなど健康状態に関すること以外で契約できないこともあります)。告知項目は保険会社によって異なりますが、以下のような内容になっています。

  • 現在入院中ですか?
  • 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
  • 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
  • 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?

※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。

直近で入院・手術をしていたり、すすめられたりしている場合は引受基準緩和型医療保険でも加入は難しくなりますが、そうでなければ通常の医療保険を断られたり条件が付いたりした方でも問題なく加入できる可能性があります。保険会社によって告知項目は異なるので複数の会社のものを比較してみましょう。

引受基準緩和型のデメリット

持病や既往症があっても入りやすい引受基準緩和型医療保険ですが、通常の医療保険と比較していくつかのデメリットといえる部分もあります。どのようなデメリットがあるのか紹介します。

保険料が割高

引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっています。持病や既往症がある人は健康な人と比べて入院や手術をする可能性が高いです。つまりは保険金が支払われる可能性が高く、保険を破綻せずに成り立たせるためには通常の医療保険よりも保険料を高くする必要があるのです。通常の医療保険に加入できる方が高い保険料を払って引受基準緩和型に入る必要はないので、先に通常の医療保険の加入を検討し、加入ができなかったら引受基準緩和型を考えるのがよいでしょう。

一定期間内は給付額が半額(50%)になる商品も多い

多くの引受基準緩和型医療保険では、加入後1年以内など一定期間内に支払事由に該当した場合の給付額が50%に削減されます。胃潰瘍とは関係ない理由で病気やケガをした場合でも給付額は半額になります。健康状態に関する告知が少ないので、保険会社のリスクを減らすためにこのような制度をとっている保険商品が多くあるのです。なお、最近ではこの保障が削減される期間がない商品も出てきています。

特約のバリエーションが少ない

引受基準緩和型医療保険では選択できる特約の種類が同じ保険会社の通常の医療保険と比べて少なくなっていることが多いです。入院や手術以外にも様々なことに備えたいと思っていても該当する特約がなく、保障をあきらめざるを得なかったり別の保険を探さなければいけなかったりすることもあり得ます。また、特約が用意されていても通常の医療保険のものよりも保険料が高く設定されていることもあります。

ピロリ菌に感染している場合は除菌することが大切

ピロリ菌に感染したからと言って必ず胃潰瘍になるわけではありませんが、胃潰瘍の患者の多くはピロリ菌に感染しています。そして、ピロリ菌に感染している場合は、胃潰瘍の再発を防ぐためにも除菌治療を行うことが大切です。ピロリ菌に感染していると、ピロリ菌によって作り出されるアンモニアや毒素により胃粘膜が傷つきやすい状況が継続します。それゆえ、一度胃潰瘍の治療をしても再発してしまいやすいのです。ピロリ菌の除菌治療により、胃潰瘍の再発を大きく減らすことが可能です。胃潰瘍の患者や慢性胃炎の患者にはピロリ菌の除菌治療に保険が適用されるので、感染が分かった場合には除菌を行うようにしましょう。なお、ピロリ菌の除菌をすれば胃潰瘍の再発を100%防げるというわけではないので、食事やストレスには引き続き気を付ける必要があります。

まとめ

胃潰瘍の場合、通常の医療保険にまったく加入できないというわけではありませんが、胃および十二指腸の数年間の不担保といった条件がつくことが多いです。また、症状が重いと加入できないことも考えられます。通常の医療保険に加入できなかった場合や胃に対する保障が欲しいのに不担保になったという場合でも、引受基準緩和型医療保険であれば加入できる可能性があります。保険料が割高というようなデメリットもありますが、医療保険に入りたい、胃に対する保障が欲しいという場合は検討してみましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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