緩和型医療保険のコラム

痛風(高尿酸血症)でも医療保険に加入できる?

投稿日:2020年8月4日 更新日:

健康診断で尿酸値が高いと指摘された、足に激しい痛みを感じて診察を受けたら痛風という診断が下ったというような場合、医療保険に加入することはできるのでしょうか。また、治療をしているという場合はどうなのでしょうか。

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症状によって加入できる場合も

尿酸値が高い方や痛風の方が医療保険に加入できるかは申し込み時の健康状態や保険会社の審査基準によります。診断を受け治療を開始して間もないという場合には加入が厳しいケースも多いです。しかし、痛風で治療を受けている場合でも発作がなく尿酸値も安定している場合は保険料割増や部位不担保などの条件付きあるいは無条件で通常の医療保険に加入できる可能性があります。

痛風や高尿酸血症でなぜ医療保険に加入しづらくなるのかというと健康な方と比べて入院リスクが高くなるからです。尿酸値が高い状態が続くと結晶化した尿酸は関節以外にも腎臓などの臓器にもたまっていきます。痛風患者の約30%に腎機能の低下がみられ、悪い場合には腎不全となって人工透析が必要となります。

しかし、尿酸値が6.0mg/dl以下の状態に保つと沈着している尿酸の結晶が溶け出して痛風発作や合併症のリスクが減少すると言われています。そのため、一度痛風と診断されても治療して尿酸値が低い状態にコントロールされていれば通常の医療保険に加入できる可能性があるのです。

加入できない場合は引受基準緩和型も考えよう

残念ながら通常の医療保険には加入できなかったという場合、引受基準緩和型医療保険を検討してみましょう。引受基準緩和型医療保険とは、保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している医療保険で、持病や既往症があっても入りやすくなっています。

具体的にどのように緩和されているかというと、健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問となっていて、それにすべて「いいえ」と答えることができれば申し込みが可能となっています。告知項目は以下のようなイメージです。

  • 現在入院中ですか?
  • 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
  • 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
  • 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?

※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。

痛風であっても入院・手術を受けたりすすめられたりしていなければ加入できる可能性はあります。また、引受基準は保険会社ごとに違うのでA社で加入できなくてもB社では加入できるということもあります。保障内容を比較する意味でも複数の会社の医療保険を比較してみるのがよいでしょう。

引受基準緩和型医療保険にデメリットはある?

痛風など持病があっても入りやすい引受基準緩和型医療保険ですが、何かデメリットがあるのでしょうか。引受基準緩和型医療保険のデメリットを紹介します。

保険料が割高

引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっています。持病がある方は健康な方と比べて入院・手術をする確率が高いので、保険金を請求する確率も高くなります。通常よりも多くの保険金が請求されるのに保険料が同じでは保険を継続して運営していくことができません。そのため、引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっているのです。

一定期間は保障が半分になる商品も多い

加入後1年間など一定期間内は入院給付金や手術給付金などの給付額が50%に削減される商品も多いです。持病と関係がない病気・ケガによる入院や手術であっても保障額が減らされてしまいます。契約を引き受ける基準を緩和しているので、保険会社側のリスクを低減させるためにこうした設計となっているのです。しかし最近ではこの保障が削減される期間がない商品も出てきています。

特約のバリエーションが少ないことがある

引受基準緩和型医療保険では選択できる特約の種類が同じ保険会社の通常の医療保険と比べて少なくなっていることがあります。入院や手術以外にも様々なことに備えたいと思っていても該当する特約がなく、保障をあきらめざるを得なかったり別の保険を探さなければいけなかったりすることもあるのです。また、特約が用意されていても通常の医療保険のものよりも保険料が高く設定されていることもあります。

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告知で嘘をついてはいけない

通常の医療保険に入りたいからと言って健康状態に関する告知で痛風や高尿酸血症であることを隠してはいけません。痛風や高尿酸血症で治療を受けているということや直近の尿酸値などを正しく告知するようにしましょう。もし痛風や高尿酸血症であることを隠した場合、通常の医療保険に加入できたとしても保険金請求時の調査で嘘がばれると告知義務違反として保険金が支払われなかったり契約が解除されたりする可能性があります。この場合でも保険料は返還されないので保険料の払い損となってしまいます。

また、ときどき2年隠せば大丈夫というようなことを言う人もいますが、2年経過していても契約を解除される可能性もあります。この2年というのは約款等に告知義務違反で保険契約を解除できない場合として記載があります。これは2年も経過すれば、告知しなかったことと保険金請求の事由との間の因果関係が証明しにくいからです。しかし、2年経過後でも責任開始日から2年以内に解除の原因となる事実で入院・手術などの保険金支払事由が生じていた場合には契約を解除することができますし、そうでなくても告知義務違反の内容が重大な場合には「詐欺および不法取得目的による無効」といった項目で保険契約を取り消すことができます。「2年間ばれなければセーフ」などと考えずに、保険会社へは正しく告知を行うようにしましょう。

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まとめ

痛風や高尿酸血症という診断を受けていても治療して尿酸値が低くコントロールされていれば通常の医療保険に加入できる場合があります。まずは通常の医療保険に加入を申し込んでみるのがよいでしょう。通常の医療保険に加入できなかった場合には引受基準緩和型の医療保険も検討しましょう。「持病があっても入りやすい」などと宣伝されている医療保険です。通常の医療保険よりも保険料が割高などのデメリットもありますが、痛風などの持病があっても加入しやすくなっています。引受基準は保険会社によって異なるので複数の保険会社を比較してみるとよいでしょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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