肥満だと生活習慣病のリスクが高くなるということはよく知られていることだと思います。また、健康上のリスクがあると医療保険に加入しづらくなるということも周知のとおりです。それでは、メタボと診断されたという場合、医療保険に入ることはできるのでしょうか。
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メタボと診断されても医療保険に入れる?
最初に結論から書くと、メタボと診断されても、即、医療保険に入れないということはないです。しかし、入りづらくなったり保険料が高くなったりする可能性が高くなります。
最近は少し太り気味という状態でも「メタボ」だということがありますが、メタボの診断基準はウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が、男性85cm、女性90cm以上で、かつ血圧・血糖値・脂質のうち2つ以上が基準値から外れていることです。
メタボリックシンドロームの診断基準
- ウエスト周囲径が、男性85cm、女性90cm以上
(内臓脂肪面積が男女ともに100㎠以上に相当)
かつ、次の1.~3.のうち、2つ以上に該当。
- 中性脂肪:150mg/dl以上
かつ/または
HDLコレステロール:40mg/dl未満 - 収縮期(最大)血圧:130mmHg以上
かつ/または
拡張期(最小)血圧:85mmHg以上 - 空腹時高血糖:110mg/dl以上
つまり、メタボと診断される状態というのは、肥満に加えて脂質異常・高血圧・高血糖のうち2つ以上が当てはまっている状態なのです。このような状態では加入が厳しくなったり、保険料割増などの条件がついたりしても不思議ではありません。
また、太りすぎという場合はそれだけで加入が難しくなったり保険料が高くなったりすることがあります。BMI(体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)])が30、35といった数値の場合は注意が必要です。日本における基準では、BMIが18.5以上25未満が普通体重で、それより低いと低体重、高いと肥満に分類されます。
引受基準緩和型医療保険だと入りやすい
仮に、通常の医療保険の加入を断られた場合でも引受基準緩和型医療保険であれば加入しやすくなっています。保険会社が契約を引き受ける基準を緩和している医療保険です。
引受基準緩和型医療保険では健康状態に関する告知が3~5項目程度の「はい」か「いいえ」で答えられる質問になっていて、その質問にすべて「いいえ」と答えることができれば申し込みが可能となっています(健康状態に関すること以外で契約できない場合もあります)。告知項目は以下のようなイメージです。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。告知項目は保険会社によって異なります。
通常の医療保険の加入を断られたけど万が一に備えて加入しておきたいという場合は引受基準緩和型医療保険への加入を検討するのもよいでしょう。もちろん、メタボの改善を図るのも忘れないようにしてください。
引受基準緩和型のデメリット
引受基準緩和型医療保険は持病があっても入りやすいというメリットがありますが、いくつかのデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか紹介します。
保険料が割高
引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっています。持病がある方は健康な方と比べて入院・手術をする確率が高く、したがって、保険金を請求する確率も高くなります。通常よりも多くの保険金が請求されるのに保険料が同じでは保険を継続して運営していくことができません。そのため、引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比べて保険料が高くなっているのです。
一定期間は保障が半分になる商品が多い
加入後1年間など一定期間内は入院給付金や手術給付金などの給付額が50%に削減される商品が多くなっています。契約を引き受ける基準を緩和しているので、保険会社側のリスクを低減させるためにこうした設計となっているのです。しかし最近ではこの保障が削減される期間がない商品も出てきています。
特約のバリエーションが少ないこともある
引受基準緩和型医療保険では選択できる特約の種類が同じ保険会社の通常の医療保険と比べて少なくなっていることがあります。入院や手術以外にも様々なことに備えたいと思っていても該当する特約がなく、保障をあきらめざるを得なかったり別の保険を探さなければいけなかったりすることもあるのです。また、特約が用意されていても通常の医療保険のものよりも保険料が高く設定されていることもあります。
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メタボを改善することが大切
メタボであっても全く保険に入れなくなるわけではありませんが、それで安心するのではなくメタボを改善することが大切です。メタボの状態を放置し続けると、糖尿病や心疾患、脳血管疾患などのリスクが高くなります。それゆえに保険料が高くなったり加入を断られたりするのですから、万が一のことが起こらないように努力していくことが大切となります。
厚生労働省による健康情報サイトのe-ヘルスネットでは、メタボリックシンドローム改善のための基本戦略として、過食と運動不足の解消が基本だが、自分の力だけでそれを効果的に行うのは難しい場合は「特定保健指導」に参加するのがよい、ということが書いてあります。
自分でバランスの良い食事をとって適度に運動をする生活に改めるのは難しいと感じるのであれば、家族や友人などにサポートしてもらったり特定保健指導のような公的サポートを活用したりして、人の目を入れるようにすると改善に向けて努力していきやすくなるでしょう。
まとめ
メタボと診断されたら医療保険に絶対に加入できなくなるということはありませんが、加入しづらくなったり保険料が割増になったりすることはあります。もし、通常の医療保険への加入を断られてしまい、万が一の場合に備えて医療保険に加入しておきたいというときは引受基準緩和型医療保険も検討してみるとよいでしょう。健康状態に不安があっても加入しやすくなっています。ただし、加入できる保険が見つかったと安心するだけでなく、メタボという病気のリスクが高い状態を改善するために努力するようにしましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。