近年、認知症の前段階として軽度認知症(MCI:Mild Cognitive Impairment)が注目を集めています。MCIとはどのような症状なのでしょうか?また、そのまま認知症となってしまうことを防ぐことはできるのでしょうか?
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MCIとは
MCI(Mild Cognitive Impairment)とは、軽度認知症とも呼ばれ、認知症とはまだ言えないけれども認知機能の低下がみられて健常な状態ともいえない状態です。認知症の前段階、健常な状態と認知症の間の状態といえるでしょう。日常生活は大きな支障なく送れますが、そのまま放置していると症状が進んで認知症へと進展してしまう可能性が高い状況です。
アルツハイマー病の前段階としてのMCIの診断基準としては以下の4つが挙げられています。
- 認知機能の低下の訴えが本人や家族から申告される
- 客観的に1つの認知機能の障害(記憶障害や見当識障害など)が認められる
- 日常生活動作は正常
- 認知症ではない
※見当識障害とは、時間・場所・人が分からなくなる状態です。
MCIの高齢者は400万人以上いる
高齢化が進んでいる今、MCIや認知症は非常に身近な存在です。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)によると、2012年の時点で65歳以上の高齢者のMCI患者数は400万人以上いると推計されています。また、同じく2012年の時点で65歳以上の高齢者の認知症患者数は約462万人と推計されています。MCIと認知症を合わせると、2012年の時点で65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知・判断能力に何らかの問題を抱えていることとなります。他人ごととは思わずに認知症に対する備えが必要です。
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認知症の備えとして何ができる?
高齢化の進展とともに認知症の高齢者の数が増えており、2025年には認知症の人は約700万人、65歳以上高齢者の約5人に1人が認知症となるという推計もあります。認 ...続きを見る
そのまま認知症になってしまうの?
MCIとなってしまったらそのまま認知症になってしまうのでしょうか。さまざまな研究がありますが、MCIから認知症へと進展してしまう確率の平均値は年間約10%とされています※1。一方で、認知症へと進展せずに正常に戻る確率も14~44%という報告もあります※2。
必ず認知症へと進展してしまうわけではありませんが、MCIの状態を放置していると高い確率で認知症へと進展してしまいます。認知症予防のために普段の生活から気を付けていく必要があるでしょう。
※1 Bruscoli M, Lovestone S. Is MCI really just early dementia? A systematic review of conversion studies. Int Psychogeriatr. 2004; 16: 129-40
※2 Manly JJ, Tang MX, Schupf N, et al. Frequency and course of mild cognitive impairment in a multiethnic community. Ann Neurol. 2008; 63: 494-506.
認知症を防ぐために大切なこと
認知症への進展を防ぐためには普段の生活から気を付けていく必要があります。どのような生活を送るのがよいのか紹介します。
健康的な食事
栄養バランスのとれた食事をするように心がけましょう。規則正しく、1日20~30品目食べることで他の生活習慣病も予防することにつながります。生活習慣病と認知症はかかわりが深く、糖尿病の方や高血圧の方の認知症リスクは健康な人よりも高いという調査もあります。青魚や野菜、新鮮な果物、ナッツ類などが認知症予防に良いとされていますので意識的に取り入れてみるとよいかもしれません。
適度な運動
1日30分以上、週3回以上の運動によって認知症リスクが軽減することが示されています。激しい運動である必要はなく、ウォーキングなどでも効果があります。散歩をしながら目についた数字を足し算していくなど、体を動かしながら頭も使うとより効果的です。国立長寿医療研究センターが開発した認知機能の維持・向上に役立つ運動である「コグニサイズ」を試してみるのもよいでしょう。
知的活動
楽器の演奏、読書、手芸、パズルやクイズ、オセロや将棋など頭を使う趣味を行うことで認知機能の維持・向上に役立つとされています。また、人との交流も認知症予防に効果的なので、地域に自分の興味がある交流会などがあったら参加してみるのもよいでしょう。
MCIは早期発見が大切
現在ではMCIや認知症になることを完全に防ぐことはできません。しかし、適切な対策を行うことで認知機能の低下を遅らせられる可能性はあります。特に、MCIの段階であれば認知症に進展せずに健常な状態に戻ることもあります。MCIは放置すれば認知症へとつながってしまうので、疑わしいことがあったら検査を受けてみることをおすすめします。診断や治療は「もの忘れ外来」や「認知症外来」などで受けることができます。自治体の福祉課や地域包括支援センターで紹介してもらったり、公益社団法人認知症の人と家族の会が調査した全国のもの忘れ外来の一覧を参考にしたりするとよいでしょう。
まとめ
MCIとは健常な状態と認知症の間の状態で、軽度認知症とも呼ばれています。MCIの段階では日常生活に大きな支障はないものの、そのまま放置していると認知症につながります。認知症の予防やほかの生活習慣病を防ぐためにもバランスの良い食事や適度な運動などを心がけるようにしましょう。また、MCIは早期発見が大切なので、疑わしいことがあれば「もの忘れ外来」や「認知症外来」を受診してみるのがよいでしょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。