介護保険のコラム

介護保険の利用限度額はいくら?自己負担が高額になったら?

投稿日:2021年2月18日 更新日:

公的介護保険では利用者の要介護度に認定区分により利用限度額が定められています。それぞれいくらが限度となるのか、また自己負担が高額になった場合に何か支援はあるのか紹介します。

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要介護度別の介護保険利用限度額

公的介護保険の在宅サービスなどを利用する場合には、要介護度に応じて1か月に利用できる限度額が決まっています。正確には金額ではなく「単位」で決められていて、サービスの種類や地域によって1単位あたりの金額が異なりますが、目安として1単位あたり10円として紹介します。

要介護度 支給限度額 上限額の目安
要支援1 5,032単位 約50,320円
要支援2 10,531単位 約105,310円
要介護1 16,765単位 約167,650円
要介護2 19,705単位 約197,050円
要介護3 27,048単位 約270,480円
要介護4 30,938単位 約309,380円
要介護5 36,217単位 約362,170円

※令和元年10月1日からの区分支給限度額です。今後の介護報酬の改定などにより変更となる場合があります。

介護保険の自己負担額はどれくらい?

介護保険サービスを利用する場合、所得に応じて1割~3割の自己負担が必要となります。また、上で紹介した限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分の金額は全額自己負担となります。

自己負担割合が何割になるかの判定は以下の表の通りです。65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上の場合に2割負担となることがあり、本人の合計所得金額が220万円以上の場合に3割負担となることがあります。

本人の合計所得金額 年金収入+その他の合計所得金額 自己負担割合
220万円以上 単身世帯:340万円以上
二人以上世帯:463万円以上
3割負担
単身世帯:280万円以上340万円未満
二人以上世帯:346万円以上463万円未満
2割負担
単身世帯:280万円未満
二人以上世帯:364万円未満
1割負担
160万円以上220万円未満 単身世帯:280万円以上
二人以上世帯:346万円以上
2割負担
単身世帯:280万円未満
二人以上世帯:346万円未満
1割負担
160万円未満 1割負担

※第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)、市区町村民税非課税の方、生活保護受給者は上記にかかわらず1割負担

介護保険負担割合証で確認できる

自分の負担割合は、要支援・要介護の認定を受けた時に支給される「介護保険負担割合証」で確認することができます。毎年6~7月頃に各所属の市区町村から負担割合が記された介護保険負担割合証が交付されます。この負担割合証を介護保険被保険者証と一緒にサービス事業者や施設に提出し自己負担額を支払います。

介護保険負担割合証の利用者負担の割合欄に割合や適用期間が記入されています。

自己負担額が高額になったら?

介護サービスを利用するのに自己負担額は1割~3割に抑えられますが、それでも月の自己負担額が高額になってしまうことがあります。そうした場合、所得に応じた一定の自己負担額を超えた金額については払い戻しを受けることができます。

自己負担の限度額

2021年7月まで

区分 負担の上限(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400円(世帯※1
世帯のどなたかが市区町村税を課税されている方 44,400円(世帯)※2
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されておらず、かつ、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)
15,000円(個人※1
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)
  • ※1 世帯とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、個人とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。
  • ※2 以下の①と②の両方に該当する場合は年間(8月から翌年7月まで)の上限が446,400円となります。(2020年7月までの時限措置)
    1. ①同じ世帯のすべての65歳以上の方(サービスを利用していない方も含む)の利用者負担割合が1割
    2. ②世帯が現役並み所得者世帯に該当しない
    ※ 現役並み所得者世帯とは、同じ世帯に65歳以上で課税所得145万円以上の方がおり、同じ世帯の65歳以上の方の収入の合計が520万円以上(単身の場合は383万円以上)である場合。

2021年8月から

区分 負担の上限(月額)
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 140,100円(世帯※1
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 93,000円(世帯)
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されておらず、かつ、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)
15,000円(個人※1
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)

※1 世帯とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、個人とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。

例えば、世帯の自己負担の上限が月24,600円の世帯で1か月間の自己負担の合計が35,000円となった場合、差額の10,400円が払い戻されます。

支給対象とならないのは?

高額介護サービス費の対象となるのは公的介護保険の自己負担部分(1割~3割負担の部分)です。ただし、以下のような費用は高額介護サービス費の対象とはなりません。

  • 特定福祉用具購入や住宅改修にかかる負担
  • 施設における居住費(短期入所の場合は滞在費)および食費
  • 理美容代などの日常生活に要する実費
  • 生活援助型配食サービスにかかる負担等
  • 支給限度額を超えて全額自己負担となる利用分

介護に関連する費用であれば何でも支給対象となるわけではありません。もともと介護保険の対象外となる費用に加えて、ポータブルトイレや入浴補助用具などの特定福祉用具の購入費用や手すりの設置などの住宅改修にかかる費用については高額介護サービス費の対象外となりますので注意してください。

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まとめ

公的介護保険の対象となる介護サービスは無制限に利用できるわけではなく、要介護度別に支給限度額が定められています。支給限度額の範囲内の利用であれば1割負担~3割負担で済みますが、支給限度額を超える分については全額自己負担となってしまいます。公的介護保険の自己負担額が高額になった場合も、収入額に応じた一定の金額以上は払い戻しを受けられますが、支給限度額を超えた利用分はその対象とはならないので注意しましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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インズウェブ

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