できることなら認知症にはならずに生きていきたいという気持ちは皆さん持っているのではないでしょうか。残念ながら認知症を完全に予防する方法はないのが現状ですが、認知症になりやすい人の特徴や生活習慣などは少しずつ分かってきています。どのような人が認知症になりやすいのか紹介します。
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認知症になりやすい性格は?
認知症になりやすい性格についてはいくつかの調査がなされています。複数の研究結果からの傾向としては、神経症傾向の人は認知症のリスクが高くなり、誠実性や開放性が高い人は認知症になりにくいということが示されています(Luchetti, M., Terracciano, A., Stephan, Y., & Sutin, A.R. 2015、Sutin AR, et al. Psychological medicine. 2017)。
なお、この性格というのは以下の5つの因子によるものです。これらの因子は「ビッグファイブ理論」によるもので、多くの性格適性検査で使われています。
- 外向性:社交性や活発性、明るさ、親しみやすさなど
- 協調性:思いやり、献身性、謙虚さ、道徳性など
- 誠実性:責任感、自己規律、注意深さ、忠実さなど
- 開放性:冒険的、知的好奇心、想像力、情動性など
- 神経症傾向:不安、怒り、憂鬱、ストレス耐性など
因果関係ではなく相関関係ですが、イライラしやすい人や気にしやすい人は認知症を発症する人が多く、責任感や自制心が強い人は認知症を発症する人が少ないようです。誠実性がよい傾向をもたらしているのは、健康に良い生活習慣を続けていきやすいこと、周囲とよい人間関係を築くために心身の健康を保ちやすいことが関係しているのではないでしょうか。
性格を変える必要はある?
性格によって認知症へのリスクが変わるといっても、今まで生きてきた性格を変えるというのも難しいし、性格を変えようとするのはストレスにもつながります。それでは、不安症やイライラしやすいなど神経症傾向が強い人はあきらめなければならないかというと、そういうわけではありません。
不安症でストレスを感じやすくてもそれをうまく発散できればその影響を減らすことができます。また、認知症予防で大切とされる脳への刺激を増やしていくことで性格による影響を緩和していくことができるでしょう。近所付き合いや地域のサークル活動への参加などの他者との交流や、ウォーキングなどの軽い運動、オセロや将棋、パズル、麻雀、手芸などの知的活動を行っていくことで認知症のリスクを軽減することができます。このときに大切なことは楽しんで活動を行うことです。義務感から行っていても効果が薄く、逆にストレスがたまってしまうので、自ら楽しんで行える活動を見つけて行っていきましょう。
認知症になりやすい生活習慣は?
認知症になりやすい生活習慣というのも存在しています。とはいえ、何か特別なことではなく、生活習慣病になりやすい生活習慣が認知症にもつながっています。
アルツハイマー協会(Alzheimer's Association)は、認知症リスクを減らすために生活スタイルを改善する10項目の方法を公表しています。
- 健康的な食事
- 適度な運動
- 高血圧や糖尿病を治療する
- 禁煙する
- 十分な睡眠をとる
- メンタルヘルスを大切にする
- 社会的な交流を保つ
- 知的な刺激を得る
- 学習する機会を見逃さない
- 交通事故に注意
これらの生活習慣を守れていないと認知症リスクを軽減させることができていません。つまり、以下のような生活習慣がある場合は注意が必要です。
- 肉中心、少食などの偏った食事
- 運動不足
- 過度な喫煙・飲酒
- 睡眠不足
- ストレスの多い生活
- 外部とのコミュニケーションを避ける
- 趣味を持たずぼんやりと過ごす
認知症以外に生活習慣病を防ぐためにもこうした生活習慣はリスクがあるので、思い当たるところがあるのであれば改善していきましょう。
認知症リスクを高める病気は?
いくつかの病気は認知症のリスクを高めることが分かっています。どのような病気が認知症リスクを高めるのか紹介します。
糖尿病
糖尿病の方はそうでない方と比べて、アルツハイマー病に約1.5倍なりやすく、血管性認知症に約2.5倍なりやすいと報告されています。また、糖尿病治療の副作用で重症な低血糖が起こると脳がダメージを受け、認知症リスクが上昇します。
血管性認知症については、高血糖状態による血管へのダメージが動脈硬化につながり、脳梗塞や脳出血を招くことが要因と考えられます。アルツハイマー病についてはまだ不明瞭な部分がありますが、糖尿病によるインスリン抵抗性の発症により、アルツハイマー病の要因とされているアミロイドβの蓄積が増加すると考えられます。
歯周病
歯周病も認知症のリスクを高めると考えられています。一つの要因としては歯周病により噛む力が損なわれることが挙げられます。噛む力が損なわれると、噛むことで行われていた脳への刺激が減少し、それにより認知症のリスクが上昇します。
また、歯周病菌が体内に入ることでアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの受容体が増加し、アミロイドβの蓄積量が増加するという研究もあります。
慢性腎臓病
腎臓機能障害患者を対象とした横断研究では、認知機能障害のリスクが47%増大することが示されています。また、透析患者は健康な人と比較すると認知機能の低下について2倍以上のリスクがあるという報告もなされています。
慢性腎臓病と認知症の危険因子として高血圧や糖尿病、脂質異常症、加齢などが共通しているということのほか、腎不全に対して適切な治療を行わないことによる尿毒症により脳神経症状が生じること、腎機能低下による血管へのダメージなどが要因として考えられます。
高血圧
高血圧は血管性認知症と深い関係があり、福岡県の久山町の40歳以上の全住民を対象とした疫学調査である「久山町研究」においても血圧が高いほど血管性認知症を発症しやすいという結果が出ています。
高血圧により動脈硬化が生じ、それが持続すると脳梗塞や脳出血などにつながります。脳梗塞や脳出血によって脳の神経細胞がダメージを受けて認知機能の低下をもたらすのです。
まとめ
認知症になりやすい人の性格や生活習慣、認知症につながる病気について紹介しました。性格については簡単に変えられませんが、生活習慣は変えることができます。適切な食事・運動・睡眠など生活習慣病の予防にもつながるものなので、認知症予防だけでなく健康のためにもぜひ気を付けるようにしましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。