産前産後休暇を経て育休後の復帰のために子供を保育園に入園させるための保護者による保育園探しの活動を「保活」といいます。地域によっては保育園の入園が難しいといった待機児童問題が未だ解決されておらず、保育園の確保に悩まされている人もいるかもしれません。我が子が入園する保育園をスムーズに見つけ仕事に復帰するために保育園探し(保活)はいつ頃から行ったらよいのでしょうか。また、日本の保育園の仕組みや現状について解説します。
目次
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保育園の種類と費用について
保育園にはいくつか種類があります。自分の住む市区町村にどのような施設があるか知り、入りたい保育園を早めに決めておく事が希望の保育園への入園を可能にするポイントです。希望の保育園に必ず入園できるという訳ではありませんが、早めに情報収集をして準備しておきましょう。
2019年10月より「幼児教育・保育の無償化」が実施されました。しかし、全ての保育施設が上限なく無償になる訳ではありません。また、無償になるのは保育料のみで通園バス代、延長保育代、給食費、行事費などは、原則保護者の負担です。
保育園は、児童福祉法に基づく児童福祉施設で厚生労働省所管です。1日の教育、保育時間は原則8時間になります。
認可保育園
認可保育園は、国が定める「児童福祉施設の設置と運営に関する基準」をクリアし、都道府県や市区町村の認可を受けて運営されている保育園です。認可保育園は国や自治体などから補助金が給付されており、保育料が安いという印象を持つ人も多いです。国の厳しい基準をクリアし、補助金の給付を受け、健全に運営されているという印象と保育料が安いというイメージから認可保育園に子供を入園させるために早いうちから「保活」を始める親たちもたくさんいるという現状です。
まず、認可保育園は、保護者が就労などのために、常時、家庭で子供を保育できない場合に保護者に代わって保育する事を目的とした施設です。そのため、認可保育園に入園するためには「保育園で保育の必要性があることの認定」を受けなければなりません。この認定と保育園への入園の申し込みは各自治体へ直接行います。認可保育園の1日の教育、保育時間は原則8時間になります。
=認定区分=
認定区分 | 子供の年齢 | 保育の有無 | 優先順位 |
---|---|---|---|
1号 | 3~5歳児 | 保育の必要性が認められない | 低い |
2号 | 3~5歳児 | 保育の必要性が認められる | 保育園の空き状況による |
3号 | 0~2歳児 | 保育の必要性が認められる | 高い |
※保育の必要性:保護者の就労、妊娠、出産、疾病、障害など
認可保育園への入園は、各市区町村によって決められた指数(点数)によって入園できるかどうかが決まります。家庭の所得状況や保護者の健康状態など数値化したもの、保育が必要な子供の人数や家庭の状況、生活保護の受給有無などを数値化したものなどの基準から指数(点数)が決まり、入園の必要性が高い人から入園が決まります。
=指数=
基準指数 | 家庭の所得状況や保育者の健康状態などを数値化 |
---|---|
調整指数 | 家庭の状況や生活保護の受給有無などを数値化 |
認可保育園とは?
◆国が定める基準をクリアし運営されている保育園
◆0歳の乳児から預ける事が可能
◆入園は家庭環境などを考慮した指数(点数)で決まる
◆保育料は無認可保育園(認可外保育園)より安く済ませられる
国が定めている保育園の基準には、保育士などの教職員の数、施設の広さの他に施設の衛生管理に関わる事や給食設備、防火管理など子供を保育するための基準が設けられています。
保育園の基準 | |
---|---|
教員数 | 0歳児:3人に対して1人 1歳児、2歳児:6人に対して1人 |
職員資格 | 保育士 |
定員 | 20人以上 |
保育室の面積 | 0歳児、1歳児:3.30㎡ 2歳児:1.98㎡ |
※保育園の面積は1人当たりの面積になります。
認可保育園にも「公立」と「私立」がある
認可保育園にも「公立」と「私立」があります。そして、近年、待機児童の問題もあり、私立保育園は増加傾向にあります。
特徴 | ||
---|---|---|
運営 | 職員 | |
公立保育園 | 市区町村が運営する保育園 | 自治体職員(地方公務員) |
私立保育園 | 社団法人、株式会社、NPOなどの民間法人 | 保育園職員 |
公立の保育園の特徴としては、市区町村が運営する保育園のため、職員は基本的に自治体職員になります。自治体職員ということは地方公務員で保育士資格を持った公務員が働いているという事になり、安定して長く働く人が多いためベテラン保育士が多いという特徴があります。公立の保育園は保育の質が均一化されている点はメリットでもありますが、各園自体の特色は私立に比べ薄いかもしれません。
一方、私立の保育園は、子供の主体性を大切にする現代の保育手法を取り入れているところが多く、各園で保育方針が異なっていたりします。私立の保育士は保育園職員のため、公立の保育園より保育士の退職が多い傾向があります。経験不足な職員が多かったり、たびたび事故が起こったりと問題になる事もあります。私立保育園の保育の質に対する課題も多いのが事実です。
保育料について
小規模保育園って何?
小規模保育園とは、定員が6人~19人以下の小規模で運営している保育園です。0歳児~2歳児が対象で待機児童問題解消のため、2015年の「子ども・子育て支援新制度」で小規模保育園も認可保育園に認定されるようになりました。
特に0歳児~2歳児の児童の待機児童の問題において保育施設の受け皿として小規模保育園は大きな役割を果たしています。通常の保育園より小規模な分、家庭的な環境に近い保育園になります。
小規模保育園も「A型」「B型」「C型」と基準によって分かれており、ぞれぞれの違いは下記になります。
A型 | B型 | C型 | |
---|---|---|---|
教員数 | 保育園の基準+1人 | 保育園の基準+1人 | 3人に1人 ※補助者を置く場合は5人に2人 |
職員資格 | 保育士 | 1/2以上が保育士 | 家庭的保育者 ※市町村が行う一定の研修を終了している者 |
定員 | 6人以上19人以下 | 6人以上19人以下 | 6人以上10人以下 |
保育室の面積 | 0歳児、1歳児:3.30㎡ 2歳児:1.98㎡ |
0歳児、1歳児:3.30㎡ 2歳児:1.98㎡ |
3.30㎡ |
※保育園の面積は1人当たりの面積になります。
保育料について
小規模保育園は、主に0歳~2歳児を預かる保育園のため、一般的な保育園と同様に住民非課税世帯以外は保育料がかかります。保育料も一般的な保育園と同様の計算方法で各家庭によって異なります。
※保育料は市区町村に支払います。
認証保育園とは?
認証保育園とは、東京都独自の制度で運営されている保育園です。国が定める基準をクリアすることが大都市などでは難しい場合があります。そのため、東京都では、東京の特性に沿った基準を設定し東京都独自の基準をクリアして運営する保育園を認証保育園としています。
認証保育園には、駅前に設置のA型(駅前基本型)と小規模で家庭的な保育が行われるB型(小規模・家庭的保育所)の2種類あります。
保育園の基準 | ||
---|---|---|
教員数 | A型 | 認可保育園、認証保育園に準じた基準 |
B型 | ||
職員資格 | A型 | |
B型 | ||
定員 | A型 | 20人~120人(0歳児~2歳児は1/2以上) |
B型 | 0歳児~2歳児:6人~29人 | |
保育室の面積 | A型 | 0歳児、1歳児:3.30㎡ 2歳児:1.98㎡ |
B型 | 0歳児~1歳児:2.50㎡ |
保育料について
東京都が定める下記条件を満たす範囲で保育園ごとに保育料が設定されています。
東京都が定める月額費用(月220時間以下の利用をした場合)は下記の通りです。
◆3歳未満児:80,000円以下
◆3歳以上児:77,000円以下
※保育料は各保育所へ支払います。
参考:東京都福祉保健局
認定こども園(幼保一体型)
認定こども園とは、教育と保育を一体的に行う施設で、幼稚園と保育所の両方の良さを合わせ持っている施設です。国が定める基準と各都道府県の条例などに沿って認可・認定を受けた施設になります。認定こども園の数は年々増加しており、幼稚園からの移行や新設も進んでいます。
認定こども園は、2006年にスタートした認定こども園制度をもとに作られました。教育と保育を一体で行うことを目的とした施設で内閣府と文部科学省、厚生労働省が一体となって進める取り組みです。親の就業を理由に保育園での保育が必要な子供もそうでない子供も保護者の就業の有無に関わらず子供を預ける事ができます。通園している子どもの年齢によっては認定区分の変更申請を行い切り替えることが可能なため、親の就労状況に応じて子供を預けられるというメリットが他の保育園と異なる点です。
ただし、認定こども園への入園も1号~3号の認定を受け入園します。
=認定条件
認定区分 | 子供の年齢 | 保育の有無 | 通園時間 | 申請先 |
---|---|---|---|---|
1号 | 3歳~5歳児 | 保育の必要性が認めらない | 4時間程度 | 認定こども園 |
2号 | 3歳~5歳児 | 保育の必要性が認められる | 8時間~11時間 | 自治体 |
3号 | 0~2歳児 | 保育の必要性が認められる |
※保育の必要性:保護者の就労、妊娠、出産、疾病、障害など
保育料について
認定こども園の保育料の算定は認可保育園と同じです。
参考:内閣府_認定こども園概要
参考:認定こども園に関する現状
無認可保育園(認可外保育園)
これまで、認可保育園(認可外保育園)とはどういう保育園か紹介してきました。無認可保育園はその名の通り、国の定める基準をクリアせず運営されている保育園になります。託児所やベビーホテル、ベビーシッターなども含まれます。
「無認可」というと無許可で運営されているように思えてしまいますが、6人以上の子供を保育する施設(保育園)を運営するためには補助金の有無に関わらず都道府県等への届出が必要です。(5人以下の施設は届出が必要ないとされていますが、都道府県による立ち入り調査の対象になります。)ですから、国の定める設置基準が満たせていないため補助金などの助成はありませんが届出を行って運営されています。
認可保育園に入園するための条件(保護者の就業や指数など)は関係なく、入園の申し込みも各保育園に直接行います。無認可保育園でも補助金を受けている保育園もあり、そのような保育園は保育料の規定があるようですが、無認可保育園の保険料は各保育園で自由に決めています。
無認可保育園は国の定める基準をクリアしていませんが、運動や音楽に力を入れている保育園、英語教育に力を入れている保育園など幼児教育を目的とする保育園が多いです。保育時間も短時間保育や夜間保育など多様化する保護者のニーズに応えられるように運営している施設が多いです。
保育料について
◆各保育園で自由に決めている
◆一般的には、子供の年齢や保育時間などによって設定されている
◆認可保育園より保育料は高い
※保育料は各保育園に支払う
保育園探しを始める時期
前項で保育園の種類について紹介してきました。子供を預ける保育園も各家庭の教育方針に合った保育園を選びたいという人や自宅近くの保育園を希望している人などそれぞれ事情は異なるでしょう。
まず、認可保育園に子供を入園させたいと考えているのであれば、住んでいる自治体に申し込みを行います。地域にもよりますが4月入園の申込書の提出は10月~12月です。住んでいる自治体にある各保育園の特徴をホームページなどで確認しておきましょう。
保育園は空きがあれば申請を行って翌月の1日から子供を預ける事ができます。ただし、特に都市部では満員に近い状態で保育園に空きがなく卒園や進級で空きが出る4月を狙って募集が殺到しているような状況があります。1歳での入園競争率は高く希望の保育園には入れなかったり、保育園探しに翻弄している親も多く、保育園に空きが出る「0歳で4月に入園」を希望する人が増えています。
両親が我が子を何歳から入園させるかという各家庭での考え方は異なります。ただし、子供を預けて仕事に復帰したいと思った時には保育園の空きがなく預け先が見つからないというような状況にもなりかねません。ですから、自分の住んでいる自治体の保育園事情は早めに情報収集しておくとよいでしょう。
【認可保育園/認定こども園】
- 申請は自治体に行う
- 認定区分に応じて施設が決まる
- 指数により選考、審査がある
- 面談が必要な場合もある
- 空きがあればいつのタイミングからでも入園可能
- 4月0歳児入園を希望する人が増えている
- 4月入園の申込書の提出は10月~12月
4月入園のための情報収集スケジュール(参考)
5月~9月 | 保育園の情報収集、保育園の見学 希望の保育園の昨年の申し込み状況の確認など |
---|---|
10月~12月 | 4月入園の申込書提出 |
1月~2月 | 1次申込の選考/結果通知 |
2月~3月 | 2申込の選考/結果通知(1次選考に落選した場合) |
4月 | 保育園に入園 |
一方、無認可保育園(認可外保育園)は入園するための条件(保護者の就業や指数など)は関係なく、入園の申し込みも各保育園に直接行います。認可保育園の選考に受からなかったため、無認可の保育園に入園させたいと思っても、認可保育園の選考結果が来てから無認可保育園を探しても希望の入園時期に間に合わないケースが多いです。ですから、保育園を探す保活を始めたら認可保育園も無認可保育園も並行して保育園の見学、申し込みなどの情報収集をスタートさせましょう。
認可保育園への入園は保護者が就労などのために、常時、家庭で子供を保育できない場合に入園する事ができます。そのため、認可保育園ではなく、無認可保育園への入園を最初から希望する家庭もあるでしょう。そのような場合も無認可保育園の情報は各自治体の保育課などの窓口で確認することができます。
保育園探しのチェックポイント
- 自宅から通える保育園、距離と通園方法(利便性)を確認しておく
- 何歳から我が子を保育園に入園させるのか、受け入れ月齢を確認する
- 保育時間、延長保育について確認する
1.資料請求
どのような保育園があるのか自治体などから資料請求を行いチェックポイントを確認しましょう。
2.施設見学
保育園に見学に行くことはとても重要なことです。各保育園の特色や違いも分かりますし、実際に通わせることが可能か、保育時間など自分に合っているのか確認する事もできます。また、既に通っている子供たちの様子や保育の様子を実際に確認する事も出来るかもしれません。質問があれば担当者の方に聞いてみるようにしましょう。
3.総合判断
気になる保育園をピックアップしたら家族で話し合い、子供を入園させたい保育園を決めましょう。認可保育園は保育園に入園できるかどうかは選考次第となります。選考に外れた場合の認可外保育園についても検討し、保育園への申し込みの時期を忘れずに準備をすすめましょう。
保育園はいつから入れる?
預けられる年齢はいつから?
保育園に預ける事ができる子供の年齢は「生後57日以上(生後2カ月から)」から預けられるところが多いようです。それは、労働基準法により産前産後休暇の産後8週間の取得が義務付けられていることが関係します。ただし、保育園によって、預けられる年齢は異なりますので必ず入園できる月齢や年齢について確認するようにしましょう。
1歳入園は難しい?早生まれは不利?
既に上記で案内している内容となりますが、保育園は子供の年齢別にクラス分けされ、各年齢ごとに定員が決まっています。毎年4月に進級するため0歳児で入園した子供は1歳児クラスとなります。1歳児クラスに空きが出なければ入園する事が難しいく「0歳で4月に入園」を希望する人が増えています。
早生まれの子供は0歳4月入園に間に合わない場合が多いです。多くの保育園で保育園の入園申込書の提出が10月~4月のため4月入園には間に合わず、翌年度の1歳児クラスからの入園となります。0歳児での入園を希望しても、子供の年齢が生後57日(生後2カ月)以前の子供の受け入れは難しい場合が多いことも理由の1つです。1歳児クラスは既に空きがないことが多く高倍率となるため、早生まれは保育園の入園が厳しいといったことが言われるようになっていると思われます。
保育園と幼稚園の違いは?
保育園と幼稚園の大きな違いは児童福祉施設なのか学校教育施設なのかというところから異なります。保育園は児童福祉法に基づく児童福祉施設で厚生労働省所管と紹介しましたが、幼稚園は文部科学省所管の学校教育施設です。
保育園は、保護者が就労などのために、常時、家庭で子供を保育できない場合の保育の場所として保護者の委託を受けて乳児や幼児を保育する事を目的としています。一方、幼稚園は適当な環境下で幼児を保育しながら心身の発達を助長することを目的としています。
基本的な違いは下記になります。
保育園 | 幼稚園 | |
---|---|---|
法律 | 児童福祉法 | 学校教育法 |
所管 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
設置・運営の基準 | 児童福祉施設最低基準 | 幼稚園設置基準 |
教育・保育内容の基準 | 保育所保育指針 | 幼稚園教育要領 |
対象 | 0歳~小学校入学までの幼児 | 3歳~小学校入学までの幼児 |
1日の保育・教育時間 | 8時間 | 4時間 |
費用について
幼稚園の利用料は「幼児教育・保育の無償化」により無償です。
専業主婦は保育園の入園が難しい?
専業主婦(主夫)の場合、子供の認可保育園への入園は難しいでしょう。なぜならば、保育園への入園の必要性があるかどうかの認定を受ける必要があるからです。専業主婦(主夫)は1号認定となりますので、基本的には3歳から幼稚園か認定こども園に入園することになります。ただし、専業主婦(主夫)でも保育の必要性が認められる場合は、保育園に入園する事が可能です。その場合も認定区分と各市区町村によって決められた指数(点数)による判断によって決まります。
まとめ
保育園や幼稚園が異なる施設であったり、たくさんの種類の保育施設があったりと初めて体験する保活で保育園事情に驚く人も多いと思います。待機児童の問題や少子化対策もあり国や各自治体でサポート体制や制度が異なります。待機児童の問題や少子化の問題などもあり保育園事情も制度が変わる事が多いです。保育園に子供を預けて仕事復帰を考えている人などは特に産後の自分の働き方にも関わる問題ですから保育園探しは早めに行うことを心がけておくとよいでしょう。