子供の教育資金を貯める方法として昔から学資保険が多く使われてきました。しかし、マイナス金利の影響で学資保険の返戻率が下がってしまったことから、2024年に新たにできた「新NISA」を利用して教育資金に備える人も増えてきています。しかし、学資保険と新NISAはお金を運用する仕組みが違うことから、それぞれの特徴に合わせて教育資金を貯めていくことが大事になります。
そこで、学資保険や新NISAとはどのようなものなのか、どちらがよいのかについて紹介します。
目次
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学資保険と新NISAの違いは?
学資保険は保険料を積み立てて教育資金を準備する保険商品、新NISAは投資で得た利益が非課税になる制度のことです。学資保険はお金を貯めることに、新NISAはお金を増やすことが向いているといえます。
学資保険とは
学資保険とは、契約時に決めた保険料を支払い、子どもが一定の年齢になるとお祝い金や満期金を受け取れる貯蓄型の保険です。学資保険の設定金額は人それぞれではありますが、受取総額200万円や300万円で契約している人が多いようです。
主に子どもが大学に進学する際の入学金や授業料を準備する目的で活用されることが多く、商品によっては幼稚園・小学校・中学校・高校入学の節目にもお祝い金を貰えるものがあります。
新NISAとは
新NISAとは、2023年までの一般NISAとつみたてNISAが一本化され、2024年から始まった新しいNISA(新NISA)のことです。日本在住で18歳以上の人を対象に、合計1800万円まで購入した株式・投資信託等から得られた運用益や配当・分配金が非課税となる制度です。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、年間の投資上限額は「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円まで非課税で投資することができます。
「つみたて投資枠」で購入できるのは販売手数料がゼロ、信託報酬(投資信託を管理・運用してもらうための費用で、保有している間投資家が支払い続ける費用)が一定の基準以下などの要件を満たした商品が対象です。失敗しにくいように初めから商品が絞り込んであるのが特徴です。
一方、「成長投資枠」では一部の商品を除き上場株式や投資信託なども投資対象となります。つみたて投資枠との併用が可能で、限度額1,200万円以内であれば、成長投資枠を併用してつみたて投資枠の対象外の商品も購入も可能となります。
つみたてNISAやジュニアNISAはどうなる?
2023年までは「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の旧NISA制度がありましたが、現在は廃止されているため新たに口座を作ったり積み立てたりすることはできません。つみたてNISAは年間40万円までを最長20年間、ジュニアNISAは年間80万円までを最長5年間、非課税で運用できます。
既につみたてNISAや一般NISA を利用していて口座を保有している場合は、新NISAも同じ金融機関に自動で引き継がれて開設されます。2023年までに一般NISAとつみたてNISAで保有していた金融商品はそれぞれの非課税期間が終了するまで、非課税で保有し続けることが出来ます。また、その分については新NISAの非課税保有限度額には含まれません。
また、ジュニアNISAを利用していた場合は成人になるまで非課税で保有でき、成人を迎える前でも払い出しが出来ます。ただし、成人になった時には新NISAへ移管(ロールオーバー)はできないため、売却するか違う口座に払い出ししなければなりません。
学資保険で教育資金を貯めるメリット
親にもしもの事があっても確実に教育資金を残せる
学資保険には、契約者である親が亡くなったり所定の高度障害状態になったりした場合は以降の払い込みが免除され、満期保険金を満額で受け取れるという死亡保障がついています。親としては、自分に万が一の事があっても確実に教育資金を確保できるので安心です。
計画的に教育資金を準備できる
学資保険は契約時に月々支払う保険料や将来受け取れる金額、満期金等を受け取る時期が決まります。「〇年後に〇万円が受け取れる」とあらかじめ分かっているため、資金計画を立てやすくなります。学資保険では、18歳の時点で一括で受け取るタイプや、幼稚園~大学入学のタイミングでお祝い金・満期金を受け取るタイプ、18歳から4年間年金のように受け取るタイプなどがあります。
節税になる
学資保険の保険料は生命保険料控除の対象になります。年末調整や確定申告をおこなうことで所得税や住民税が控除されるので節税につながります。
学資保険で教育資金を貯めるデメリット
お金はあまり増えない
学資保険は契約時の予定利率をもとにした返戻率で固定されるので、契約時が低金利の場合は返戻率も小さくなります。投資などよりもリスクが小さい分、増える額もそれほど大きくはならないのです。
インフレに弱い
学資保険の多くは契約した時の利率で固定され、将来受け取れる金額が決まっているためインフレに弱いといえます。教育資金が必要になるまでにインフレが起こって物価が上昇した場合、教育資金として必要な金額に足らなくなる可能性もありえます。例えば、今まで100円で買えたものが18年後に200円になってしまったら、以前よりも2倍のお金を払うことになりお金の価値が半分に減ってしまいます。
途中で解約すると元本割れする
途中で学資保険を解約してしまうと、ほとんどの場合支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってきません。急に大きなお金が必要になって早期に解約してしまうことがないよう、月々の保険料が高くなり過ぎないように注意しましょう。あらかじめ決められたタイミングでしか保険金を受け取れないので、学資保険の他に自由なタイミングで使える教育資金を用意しておきましょう。
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新NISAで教育資金を貯めるメリット
大きく増える可能性がある
新NISAでは投資先の株式や債券の価格が上昇すれば貯金や学資保険で貯めていくよりも大きく増やせる可能性があります。新NISAでは非課税期間が無期限になっているため、長期を見据えた投資・運用に向いています。
途中で売却できる
新NISAで運用した資産は好きなタイミングで売却できます。途中で家計が苦しくなった、塾や習い事などで大きな出費が必要となったという場合に、途中で売却したりすることもできます。更に売却した分は翌年に枠を再利用できるので、柔軟に資産を活用することができます。
利益に税金がかからない
通常、株式や投資信託の売買で利益が出たら約20%の税金がかかりますが、新NISAでは1800万円まで税金がかかりません。例えば100万円の利益が出たとすると、通常は約20万円の税金がかかり約80万円を受け取ることになりますが、NISAでは非課税となるため100万円の利益をそのまま受け取ることができます。
新NISAで教育資金を貯めるデメリット
マイナスになることもある
新NISAで行うのは投資なので、運用している途中でリーマンショックやコロナショックのような出来事があると大きくマイナスとなることもあります。子どもの進学費用など、「〇年後に〇万円が必要」というように資金が必要となる年・金額が決まっているのであれば、新NISAのみで貯めていくのはリスクが高いかもしれません。
自分で商品を選ぶ必要がある
新NISAでは自分でどの投資信託を購入するのか選ぶ必要があります。金融庁の基準を満たす商品に限られるので全体から見れば絞られているのですが、金融機関によってはつみたて投資枠でも100本以上の選択肢があるため、投資が初めての人はどれを選んだらよいのか悩んでしまう可能性があります。この点では学資保険よりも始めるハードルが高くなっているといえるでしょう。
学資保険と新NISA、どっちがいい?
学資保険と新NISAの比較表
学資保険 | 新NISA | ||
---|---|---|---|
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | ||
収益性 | 低 | 中 | 高 |
安全性 | 高 | 中 | 低 |
途中解約(払い出し) | 可能 ※多くの場合元本割れ |
可能 ※運用成績によっては元本割れ |
|
利益に対する税金 | 課税対象 ※控除額内で収まればかからない |
非課税 | |
加入年齢 | 出生前~6歳までの子の保護者 ※保険会社によって異なる |
18歳以上(日本在住) | |
その他の特徴 | 契約者死亡時の払込免除などの保障がある。 生命保険料控除の対象となる。 |
非課税期間が無期限。 投資可能な商品が限られている。 |
学資保険が向いているのは?
できるだけリスクを取りたくない人
保険料が払えずに途中で解約してしまったり、契約している保険会社が倒産してしまったりしなければ、満期等に契約時に定められた金額を受け取ることができます。
また、契約者に万が一のことがあった場合も保険料の払込が免除されて満期時に予定通り保険金を受け取れる特約を付けることができます。親が死亡したり高度障害を負ったりして教育資金を用意できなくなる事態を防ぐことも可能です。
貯蓄が苦手な人
学資保険では毎月自動的に保険料が引き落とされていき、銀行口座とは別の場所に積み立てられていくので、口座にお金があるとついつい使ってしまってなかなか貯金していくことができないという人でもお金を貯めていきやすいです。銀行預金とは違い、貯金するのを忘れてしまうことや子どものために残しておくべきお金を使ってしまうのを防いでくれます。保険料の払い込みが終われば、将来決まった金額を決まった時期に受け取ることができます。
もし投資で大きくお金がふえた場合、利益が出た分を使いたくなりすぐ売却してしまっては中々資産を増やすことはできません。学資保険では途中で解約すると基本的に損をすることから解約しづらいため、堅実にお金を貯めることができます。
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新NISAが向いているのは?
多少のリスクをとっても良い人
新NISAは個人年金保険よりも大きく増える可能性もありますが、資金が必要となる直前にリーマンショックやコロナショックのような状況になれば大きくマイナスになる可能性もあり得ます。元本割れしたら教育資金を用意できないという状況の人は新NISAで教育資金を用意するのには向いていません。
また、通常の株式投資などで損失が出た場合は損益通算(他の利益と相殺すること)や繰越控除(損失を最長3年間繰り越して利益を控除すること)ができますが、新NISAではできません。新NISAでは利益が出た時は非課税になりますが、損失した時に補填されるような制度はありません。最低限の教育資金は用意する目途が立っていて、さらに使える教育資金を増やしたいという場合は新NISAで投資にチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
ある程度投資経験がある人
新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を併用でき、限度額1,200万円を超えない範囲であれば、成長投資枠を利用してつみたて投資枠の対象外の商品も購入できます。非課税期間が無期限のため、上場株式やリスク・リターンが大きい投資信託を定期的かつ長期的に買い付けることで、長期・積立投資でリスクを抑えた投資をすることも可能です。したがって、自身のリスク許容度を踏まえた商品選択をすることが必要であることから、ある程度投資経験がある人に向いています。
また、投資信託についての知識がないと、信託報酬の高い成長投資枠の商品に投資してしまう可能性があり、注意が必要です。新NISAの運用はあくまで余裕資金でおこなうことを念頭に置きましょう。
学資保険と新NISA、どちらで貯める?
資金が十分にあって教育資金を貯めるのにリスクを取ることができて学資保険より増やすことを狙いたい場合は新NISA、教育資金を貯めるのにリスクは取りたくないという場合は学資保険というのを基本に自分に合った方法を選んでいきましょう。
しかし、子どもの教育資金を新NISAだけで準備してしまうと、もし運用でマイナスになった場合に資金が足りなくなってしまう可能性があります。大きくお金を増やせることもできますが、市場価格の変動に左右されるため将来の資産がどうなるかは誰にもわかりません。逆に学資保険だけで教育資金を準備した場合、大きくお金を増やすことはできません。
そこで、学資保険と新NISAのどちらかに限定するのではなく両方とも使うことも視野に入れてみませんか。新NISAは月100円などの少額から始めることも可能です。学資保険で教育資金のベースを作りつつ、損をしても問題ない額を新NISAで投資するというような方法もあります。
教育資金は準備が遅くなるほど大きな金額は用意しづらくなっていきます。特に学資保険は子どもの年齢が大きくなると加入しづらくなってしまうため、どちらにするのか長い間悩むよりかは早め早めに準備を進めていきましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。