学資保険のコラム

学資保険の受取に税金はかかる?

投稿日:2019年6月6日 更新日:

子供の教育資金のために入る学資保険ですが、祝い金や満期保険金の受取に税金はかかるのでしょうか?税金がかかるか否かは子供のために用意する金額にかかわることなので大切です。学資保険の税金について紹介します。

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保険金にかかる税金は?

学資保険で受け取る保険金は他の生命保険の保険金と同様に課税対象となります。契約形態(契約者と受取人の関係)や保険金の受け取り方(一括で受け取るか年金形式で受け取るか)によってかかる税金の種類が変わります。税金の種類によって控除額も変わるので注意しましょう。

契約者と受取人が同じ場合

保険料負担者(契約者)と保険金を受け取った人が同じ場合、所得税の対象となります。保険金を一括で受け取った場合は一時所得、年金形式で受け取った場合は雑所得になります。

保険金を一括で受け取った場合

保険金を一括で受け取った場合は一時所得として所得税の対象となります。一時所得の金額は以下で計算されます。

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

保険金以外に一時所得がない場合、学資保険によって増えた金額が50万円以下であれば所得税は課税されません。保険金以外で一時所得があったり、高額の契約をしていたりして一時所得の金額が50万円を超えた場合は、上の式で計算した金額を1/2にして、給与所得などの他の所得と合算して所得税の金額を計算します。

保険金を年金形式で受け取った場合

保険金を年金形式で受け取った場合は雑所得として所得税の対象となります。雑所得の金額は以下で計算されます。

総総収入金額-必要経費

学資年金に当てはめると以下のようになります。

その年の学資年金額-その年の学資年金額×払込保険料総額÷学資年金受取総額

例えば、学資年金額75万円、払込保険料総額288万円、学資年金受取総額300万円の場合、雑所得は75万円-75万円×288万円÷300万円=3万円です。

計算して得られた雑所得は給与所得等の他の所得の金額と合計して総所得金額を求めて収める所得税を計算します。

所得税の速算表

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 
330万円以下
10% 97,500円
330万円超 
695万円以下
20% 427,500円
695万円超 
900万円以下
23% 636,000円
900万円超 
1800万円以下
33% 1,536,000円
1800万円超 
4000万円以下
40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円

※2037年までは復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)もかかります。

例えば、課税される所得金額が300万円だった場合、300万円×10%-9万7500円=20万2500円が所得税額です。

契約者と受取人が異なる場合

保険料負担者(契約者)と保険金を受け取った人が異なる場合、贈与税の対象となります。暦年贈与の場合、1月1日~12月31日の1年間に受け取った金額の合計に対して贈与税額を計算します。計算式は以下の通りです。

贈与税額=(受け取った金額-基礎控除110万円)×税率-控除額

税率及び控除額は以下の表の通りです。

一般税率

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

特例税率
(直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与の場合)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

一般税率適用の場合で、親が保険料を支払った学資保険の保険金300万円を子供が受け取った場合、贈与税額は(300万円-110万円)×10%=19万円です。

育英年金の場合は少し面倒

育英年金とは契約者である親が死亡・高度障害になった場合に学資保険満了までの間、所定の年金を受け取れる制度です。この育英年金の受取にかかる税金は少し複雑です。

まず、契約者である親の死亡時に育英年金の受給権評価額に対して相続税が課税されます。そして、翌年以降に受け取った年金については雑所得として所得税の対象となります。なお、二重課税を避けるために相続税として課税された分については所得税は非課税となります。

育英年金を受け取る場合の税金についてはなかなか複雑なので、可能であれば税理士などの専門の方に確認しましょう。

参考:国税庁(相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係)

解約返戻金に税金はかかる?

学資保険を解約した場合に受け取れる解約返戻金も利益が出ていた場合は課税の対象となります。このときの税金は保険金の受取のときと同様です。

学資保険の場合は解約返戻金で税金がかかるほどの利益が出ることはあまりありませんが、契約者=受取人の場合は一時所得なので50万円以上の利益、契約者≠受取人の場合は贈与税の対象なので110万円以上の解約返戻金があれば税金がかかります(他に一時所得、贈与がない場合)。

税金を少なくするための注意点

保険金を税金で減らさないために、かかる税金を少なくするための注意点を紹介します。

契約者=受取人、一括受取だと税金がかかりにくい

現在の日本の超低金利状態の影響で学資保険の返戻率はかなり低下しています。そのため、契約金額が大きくないと学資保険で50万円以上の利益は出ません。つまりは、契約者=受取人で保険金を一括で受け取って一時所得の形にすれば、税金はかからないか、かかっても少額になります。

自営業者の場合は年金形式は避ける

契約者=受取人で年金形式で受け取った場合、雑所得として所得税の対象となります。雑所得の場合は控除額がないので少額でも税金がかかってしまいます。年末調整を行う会社員などの給与所得者の場合は給与所得・退職所得以外の所得が20万円までであれば申告不要ですが、自営業者の場合は20万円未満でも確定申告が必要で、利益に対して所得税がかかります。ただし、年金形式の方が総受取額が大きい傾向にあるので、税金を計算したうえで年金形式の方が利益が大きければ年金形式を選ぶのも手です。

まとめ

学資保険で受け取る金額は契約形態や受け取り方によってかかる税金が異なります。最近の返戻率では控除額内に収まることも多いですが、契約時には税金のこともしっかりと意識して、保険金をできるだけ減らさないようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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