収入保障保険のコラム

専業主婦にも死亡保険は必要?共働きの場合は?

投稿日:2021年1月15日 更新日:

夫側の死亡保障については気が回る方も多いと思いますが、妻側の死亡保険についてはあまりよく考えていなかったというご家庭もあるのではないでしょうか。妻の死亡保険について専業主婦の場合と共働きの場合とに分けて紹介します。

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妻側の死亡保険は必要?不要?

妻側の死亡保険の必要性について、専業主婦で働いていない場合、パートで働いている場合、フルタイムで働いている場合とに分けて紹介していきます。

専業主婦の場合

専業主婦の場合、死亡保険は基本的に不要です。入るとしても少額で十分でしょう。なぜなら、専業主婦には収入がないので、亡くなることで家族が経済的に困るという事態には基本的に陥らないからです。経済的に困る人がいないのに死亡保険に入る必要はありません。

少額の死亡保険が必要となるケースとしては、子供がまだ小さくベビーシッターや家政婦さんを頼む必要がある場合や葬儀費用・お墓の費用を貯蓄から出すことができない場合などです。こうしたケースでは死亡後に出費が増えることになるので、その分の死亡保険に加入するというのもありでしょう。子供が小さいうちのベビーシッターなどの目的の場合はその期間だけの定期保険、葬儀費用が目的の場合は終身保険が合っています。

パートで働いている場合

パートで働いているという場合は、その収入をどのような目的に使っているのかによって死亡保険の必要性が変わってきます。パートの収入を普段の生活費や子供の教育費などに充てていて、それが無くなるとその後の生活が苦しくなるという場合には死亡保険が必要となるでしょう。妻が亡くなることで不足する金額について、子供が独立するまでの間などの期間で定期保険や収入保障保険に入るのがよいと思います。

一方で、パートの収入はほとんど自分のために使っていて、仮にそれが無くなっても生活に困るようになるわけではないという場合には特に死亡保険は必要ないでしょう。専業主婦のところで書いたのと同様、葬儀費用やお墓の費用を貯蓄から出すことができないのであれば少額の終身保険に入るのもよいかもしれません。

フルタイムで働いている場合

妻がフルタイムで働いているという場合についても、妻が死亡した後に夫の収入だけで問題なく生活していくことができるか、妻の収入が無くなったら生活に困るようになるのかによって必要性が変わります。夫の収入だけで問題なく生活していくことができるのであれば死亡保険は必要ありません。

一方で、夫の収入だけでは生活に困るという場合は妻側の死亡保険の加入も必要でしょう。夫が働くことによって夫自身の生活費は稼ぐことができる場合が多いと思いますので、子供が独立するまでや住宅ローンを返し終わるまでといった期間で定期保険や収入保障保険に入るのがよいでしょう。夫が何らかの事情で働けないという場合は夫の生活費のことを考えて年金の支給開始年齢のことも考慮に入れましょう。

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遺族年金は受け取れる?

妻が亡くなってしまった場合、18歳以下の子供がいれば遺族基礎年金を受け取れる場合があります。また、妻が働いていて厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金も受け取れる可能性もありますが、夫が受け取るには少し厳しい条件となっています。

遺族基礎年金を受け取ることができるのは以下に当てはまる人です。

  • 死亡した人によって生計を維持されていた子のある配偶者
  • 死亡した人によって生計を維持されていた子

子というのは18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子か20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子を指します。また、生計を維持されていたというのは、原則として次の要件を満たす場合をいいます。

  1. 同居していること(別居していても、仕送りしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます)。
  2. 前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。

前提として子供がいる必要がありますが、夫の収入が高くなければ妻が死亡した場合に遺族年金を受け取ることが可能です。受け取れる金額は、781,700円+子の加算です(令和2年4月分からの金額)。子の加算は第1子・第2子が各224,900円、第3子以降が各75,000円となっています。子供が成長して18歳を過ぎたら遺族基礎年金を受け取れなくなってしまうので、その点は注意してください。

遺族厚生年金については、受け取ることができる人が次のように定められています。初めに夫が受け取るには少し厳しいと書いた理由が分かると思います。

  • 生計を維持されていた妻(子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付)
  • 生計を維持されていた子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
  • 生計を維持されていた55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)

夫が遺族厚生年金を受け取るには妻死亡時に夫が55歳以上である必要があります。子供がいれば18歳到達年度までは子供に遺族厚生年金が支給されますが、それを過ぎると支給はなくなります。現役期間の死亡保障を考えるうえでは夫が遺族厚生年金を当てにするのはやめておいた方がよいでしょう。

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医療保険やがん保険は必要?

死亡保険ではなく、医療保険やがん保険についてはどうなのでしょうか。日本には充実した公的保険があるので、それでは補えない金額の負担額に耐えられるかというのがポイントとなります。

日本では、健康保険適用の治療については3割の自己負担で済み、それでも高額になる場合は高額療養費により1か月あたりの自己負担額は一般的な収入の家庭では約9万円で抑えられます(年収が高い場合は自己負担額の上限も高くなります)。しかし、入院時に少人数の部屋や個室を希望する場合の差額ベッド代や入院時の食事代など全額自己負担が必要な料金によって医療費がかさむ場合もあります。

生命保険文化センターの令和4年度「生活保障に関する調査」によると、直近の入院時の自己負担費用は1日あたりの平均で20,700円となっています。回答の分布をみると、10,000円~15,000円未満が23.3%で一番多く、以下「20,000円~30,000円未満」(16.0%)、「5,000円未満」(13.8%)、「40,000円以上」(13.2%)の順になっています。また、入院日数の平均は35~64歳で24.4日です(厚生労働省「令和2年患者調査」)。入院日数は短期化していて14日以内の入院が半数以上となっていますが、長期間の入院もないわけではなく、それに備えないというのも問題があります。

これらの調査からすると、数十万円であれば貯蓄から出しても問題ないといえるかどうかが医療保険やがん保険の必要性の有無を決める要因となるでしょう。

まとめ

妻側の死亡保険が必要か不要かは、妻が死亡後に遺された夫や子供が経済的に困る状況になるのかで判断するのがよいでしょう。経済的に困る人がいないのであれば死亡保険に入る必要性はありません。逆に、困る人がいる場合は何らかの死亡保険に加入する必要性が高いです。子供が独立するまで、住宅ローンを返し終わるまでという場合はその期間の定期保険や収入保障保険で、葬儀費用のようにいつ死亡しても必要になるものに関しては終身保険で備えるのがよいでしょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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