B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって肝臓に炎症が起きるほか、肝硬変や肝がんなどの病気の原因になるウイルス性の肝臓疾患です。免疫機能が未熟な乳幼児のときにB型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスを異物と認識して排除するための中和抗体ができないため、ウイルスを排除できず、肝臓内でウイルスが増殖してやがて血液中にもウイルスが出てくるようになります。これがB型肝炎ウイルスの『キャリア』と呼ばれる状態です。では、キャリアの人は民間の保険に入れるのでしょうか?もし保険の加入時にキャリアであることを報告しなかった場合、告知義務違反になるのでしょうか?
目次
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通常の医療保険の加入は断られる可能性が高い
キャリアは慢性肝炎から肝硬変・肝がんになるリスクがある
日本には約100万人~150万人程度のB型肝炎のキャリアがいるとされています。B型肝炎のキャリアになった人は最初は症状がないままB型肝炎ウイルスを保持した状態の『無症候性キャリア』として過ごし、そのうちの85~90%が一過性の肝炎を発症し、その後は大半の人が非活動性キャリアとして生涯を経過します。しかし無症候性キャリアの人のうち残りの10~15%の人は慢性肝炎や肝硬変になり、適切な治療を行わないまま病状が進行すると最終的に肝細胞がんを発症します。
また、非活動性キャリアになった人も、毎年0.2%の人が体内のウイルスが活性化し肝細胞がんを発病するといわれています。そのため、B型肝炎のキャリアは肝がんになるリスクが高いとされており、通常の医療保険への加入が難しいのです。
治療状況や症状によっては加入できる場合もある
B型肝炎のキャリアでも、保険会社によっては発症していなければ医療保険に加入できる場合もあります。その場合も、以下のような制限や特別な条件が追加されることがあります。
- 保険料の割増
- 保険金額の削減
- 特定部位不担保
条件付きでも通常の医療保険への加入を希望するのであれば、まずは加入できるか確認してみると良いでしょう。
引受基準緩和型の医療保険は比較的入りやすい
もし通常の医療保険への加入を断られてしまった場合でも、引受基準緩和型医療保険であればB型肝炎でも加入できる可能性があります。
引受基準緩和型医療保険は、加入条件が通常の医療保険よりも緩やかになっており、例えば以下のような質問に対してすべて「いいえ」で答えることができれば加入できます。
- 現在入院中ですか?
- 過去3か月以内に入院や手術、検査をすすめられたことはありますか?
- 過去2年以内に病気やケガで入院したことや手術をしたことはありますか?
- 過去5年以内にがん(悪性新生物)で入院または手術をしたことはありますか?
※あくまでもイメージです。内容は保険会社によって異なります。
告知事項は保険会社によって異なるので、一社に断られても他の保険会社なら加入できるということもあり得ます。保障内容を比較するという意味でも、各社の引受基準緩和型医療保険の資料請求をして比べてみるとよいでしょう。
無選択保険は加入できる
無選択保険は、健康状態に拘わらず加入することができる保険です。引受基準緩和型医療保険の加入を断られた人でも入りやすいというメリットがある一方で、保険料が高く、受け取れる保険金や給付金の上限額が低いというデメリットもあります。
B型肝炎のキャリアと診断されていても、いきなり無選択保険に加入しようとせずにまずは通常の医療保険に加入できるか確認するとよいでしょう。
キャリアであることを申告しないと告知義務違反に
キャリアであることを認識していながら申告せずに保険契約を行うと、告知義務違反として保険金が支払われない可能性があります。
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医療費の公的助成制度も
B型肝炎は通常の医療保険には入りにくいですが、治療にかかる医療費を助成する制度があります。
助成の対象
以下のいずれかの治療が必要と診断された方が助成の対象になります。
- インターフェロン治療
- 核酸アナログ製剤(ラブミジン、アデホビル、エンテカビル、デノホビル)治療
自己負担額
階層区分 | 一部負担額 |
---|---|
世帯の市区町村民税(所轄割・均等割とも)非課税の場合 | なし |
世帯の市区町村民税(所得割)課税年額が23万5,000円未満の場合 | 月額1万円まで |
世帯の市区町村民税(所得割)課税年額が23万5,000円以上の場合 | 月額2万円まで |
助成の申請に必要なもの
助成の申請には以下のものが必要となります。都道府県により手続きが異なる場合もありますので、詳細についてはお近くの保健所等にご確認ください。
- 肝炎治療医療費助成申請書
- 診断書(かかりつけ医にご相談ください)
- 住民票(世帯全員が記載されたもの)
- 健康保険証等の写し
- 住民票に記載された世帯全員分の区市町村民税の課税状況を証明するもの
まとめ
B型肝炎のキャリアは無症状の場合も多いですが、もし過去の健康診断でキャリアだと診断された場合は、医療保険の加入が難しくなります。もし医療保険への加入を検討している場合は、症状の有無に拘わらず必ず保険会社に申告しましょう。
もし通常の医療保険への加入を断られてしまった場合は、保険料が割高になってしまいますが引受基準緩和型の医療保険も検討してみてはいかがでしょうか。