女性向け医療保険のコラム

医療保険は必要?不要?医療保険の必要性が高い人とは

投稿日:2019年10月28日 更新日:

医療保険に加入していれば、病気やケガで入院・手術したときに給付金を受け取ることができます。万が一のときに給付金がもらえるのはありがたいですが、しばしば医療保険不要論を耳にすることがあります。はたして医療保険は必要なのでしょうか、不要なのでしょうか。

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医療保険不要論の根拠

「医療保険は不要」という主張がどのような根拠で行われているのか説明します。単に流されるのではなく、しっかりと根拠について理解しておきましょう。

日本は公的医療保険が充実している

「医療保険は不要」という主張の根拠の一つに、日本は公的医療保険が充実しているというものがあります。国民皆保険制度のもと、自己負担3割(年齢や所得によっては2割や1割)で医療を受けることができます。また、高額な医療費がかかる治療を受けて自己負担額が高くなった場合も、高額療養費制度によって自己負担額は月額8~9万円など一程度で抑えることができます(年齢や所得によって自己負担の上限は異なります)。そして、会社員や公務員の方は長期間働けない場合でも傷病手当金があります。病気やケガで仕事を休んで給料を得られない場合に、給料の約3分の2に相当する額が最長1年6カ月にわたって支給されます。

以上の通り、日本では公的医療保険が充実していて自己負担額を抑えることができることが医療保険は不要という主張の根拠の一つとなっています。

元を取るのが難しい

保険である以上は仕方がないのですが、多くの方は医療保険で受け取れる給付金よりも保険料の支払総額の方が高くなってしまいます。皆が得する状態というのは保険会社が一方的に損をする状態なので保険を継続することができません。また、近年は入院日数が短くなってきています。従来の形で入院日額○円という形での給付金では元を取るのがさらに難しく感じられることから医療保険は不要だという主張につながっています。

通院の医療費をカバーしにくい

医療保険の保障は基本的に入院と手術です。それに加えて特約で先進医療に対する保障や三大疾病に関する保障などを追加します。ここから分かる通り、単に通院しただけでは医療保険から給付金の支払いを受けることはできません。一部の医療保険では特約で通院保障を付けることができますが、それは入院後の通院に対する保障です。入院前の通院も対象としている保険商品もありますが、いずれにしても入院が絡む必要があります。この医療保険がカバーする範囲が不要論の根拠の一つとなっています。

医療保険が必要とされる理由

医療保険は不要だという主張がよく聞かれるものの医療保険は販売され続けて多くの方が契約しています。ただ何となく不安だからで入っている人もいるかと思いますが、医療保険が必要とされている理由についても説明します。

公的医療保険だけではカバーしきれない

公的医療保険で自己負担額を抑えることができますが、公的医療保険の対象とならないものについては全額自己負担となります。先進医療の技術料や差額ベッド代、入院中の食事代、交通費など公的医療保険の対象とならない費用は様々にあります。

先進医療については症例数も少なく関係ないと思うかもしれませんが、入院時に静かな環境のために個室や少人数の部屋を望む人は多いのではないでしょうか。そうした場合、差額ベッド代として入院1日あたり数千円、病院によっては数万円の費用がかかります。また、個室や少人数の部屋を希望しなくても食事代や衣類・日用品などの雑費、お見舞いに来る家族の交通費などの費用はかかります。

生命保険文化センター「令和4年度『生活保障に関する調査』」によれば、直近の入院時の1日あたりの自己負担額の平均は2万1,000円です。医療保険に加入しておけば1日約2万円という費用負担に備えることができます。

貯金が少ない場合は自己負担に耐えられない

公的医療保険で自己負担額が一程度に抑えられるとはいえ、貯金が十分にない場合はその後の生活が苦しくなることが考えられます。特に長期間働けなくなった場合、傷病手当金で支給されるのは給料の満額ではありませんし、自営業などの場合はそもそも傷病手当金を受け取ることができません。この場合に、貯金が十分になく医療保険からの給付金もなければ今まで通りの生活を続けることは難しくなってしまうでしょう。

自己負担額が増加する可能性

現在の日本では高齢化のもと、社会保障費が増大しており医療費の削減が盛んに議論されています。今後も少子高齢化による問題が解決する見込みは立っておらず、将来も現在の自己負担額のままとは限りません。自己負担割合が現在よりも上がる、あるいは保険の適用範囲が狭くなることも十分に考えられます。そのような自己負担額の増加に備えるための手段の一つとして医療保険への加入が考えられます。

医療保険の必要性が高い人とは?

以上で説明してきた医療保険不要論の根拠、医療保険が必要とされている理由から、医療保険の必要性が高い人とはどのような人か紹介します。当てはまる場合は医療保険への加入を検討してみてください。

貯蓄が少ない人

貯蓄が少ない場合、公的医療保険で自己負担額が抑えられるといっても、入院や手術をしたときの自己負担額で日常生活に支障をきたしてしまいます。医療保険の保険料の代わりに貯金するという方法も十分に貯金が貯まる前に病気・ケガをしてしまう可能性を考えるとあまりお勧めできません。少なくとも貯蓄が十分にできるまでは医療保険の必要性が高いと言えるでしょう。

手厚い医療を受けたい人

先進治療を受けられる機会があるのであれば積極的に受けたい、入院時は個室や少人数の部屋がいいなど手厚い医療を希望する場合は医療保険の必要性が高いでしょう。先進医療の技術料や差額ベッド代は公的医療保険では保障されずに全額自己負担となります。受ける先進医療や入院先の病院にもよりますが、なかなか貯金だけでは出すことが難しい、出すことをためらう金額がかかる場合もあります。手厚い医療を希望する方は医療保険への加入を検討しましょう。

自営業など公的保障の薄い人

自営業などの場合は傷病手当金がないので長期間働けなくなった場合の生活資金の確保がより困難になります。働けない間の生活費を貯蓄などで確保できているのであればまだ問題はありませんが、そうでないのであれば万が一の時のために医療保険に加入することを検討した方がよいでしょう。

女性の場合は妊娠前に検討しよう

女性が医療保険の加入を考える場合、妊娠前に検討をすることをおすすめします。通常の妊娠・出産であれば病気ではないので医療保険から給付金は出ませんが、帝王切開が必要となった場合には医療保険の給付の対象となります。

厚生労働省の令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況によると、2020年9月の分娩に占める帝王切開の割合は21.6%でした。おおよそ5人に1人が帝王切開で出産していることとなり、決して他人ごとではありません。帝王切開による出産となった場合、手術の費用や入院期間が長くなることから自然分娩よりも10万~20万円程費用が多くかかります。妊娠中に医療保険に加入した場合は帝王切開や異常妊娠などに対する保障が一定期間対象外となる場合があります。少なくない人が経験する帝王切開の費用負担に備えるために、妊娠前に医療保険の加入を検討したほうがよいでしょう。

まとめ

公的保険が充実している、元を取ることが難しいなどの理由で医療保険の不要論が主張されています。しかし、入院時は食事代や家族の交通費、差額ベッド代など医療費以外にも様々な費用がかかります。貯蓄が十分にないという場合や自営業など傷病手当金が支給されない場合などは医療保険の加入を検討した方がよいでしょう。

また、女性の場合は妊娠前に医療保険の加入を検討しましょう。約5人に1人は帝王切開による出産をしています。妊娠中の加入では帝王切開への保障が制限される場合があるので、帝王切開の費用負担に備えたいのであれば妊娠前に検討することが大切になります。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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