子供が0歳から高校卒業までの間は児童手当を受け取ることができます。いろいろな使い道が考えられますが、児童手当を学資保険の保険料に充てるという人も多くいるようです。児童手当をそのまま学資保険に回すことのメリット・デメリットを紹介します。
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児童手当とは
児童手当制度とは、高校生年代まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に1カ月あたり15,000円あるいは10,000円(第3子以降は30,000円)が支給される制度です。毎年4月・6月・8月・10月・12月・2月にそれぞれの前月分までの手当が支給されます。
※2024年10月支給分より、中学校卒業までだったのが高校卒業までと支給対象が増え、所得制限がなくなっています。
誕生月によって支給される金額の合計額は異なりますが、全て合計すると約240万円になります(子供1人の場合)。4月生まれの場合が合計245万円で最も多く、3月生まれの場合が234万円で最も少なくなります。この差が生じるのは18歳の誕生日後の最初の3月31日まで児童手当が支給されるためです。4月生まれの方が早く18歳を迎えるので、3月生まれが18歳になるまでの期間分(11か月分)多く児童手当がもらえるのです。
支給対象児童 | 一人あたり月額 |
---|---|
3歳未満 | 15,000円 (第3子以降は30,000円) |
3歳以上高校生年代まで | 10,000円 (第3子以降は30,000円) |
※第3子以降とは、22歳まで(22歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降をいいます。
児童手当を学資保険に回すメリット・デメリット
児童手当をそのまま学資保険の保険料にするという場合のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
銀行預金より増えるものもある
返戻率が高い学資保険に加入すれば、ただ銀行に預金するよりもお金が増えることが期待できます。現在の金利水準下では銀行に預金してもほぼお金は増えません。学資保険では加入する保険にもよりますが銀行預金よりは増えることが期待できます。
契約者に万が一のことがあっても満期保険金を受け取れる
学資保険では契約者が死亡したり高度障害を負ったりした場合には保険料の払込が免除されて満期保険金も予定通り受け取れる特約を付けられます。万が一のときでも学資保険で用意する予定だった金額は確保することができるのです。児童手当をそのまま回すことで保険料の負担感が少なく、こうした保障も得られるのがよいところです。
無駄遣いしてしまいにくい
受け取った児童手当を学資保険の保険料として支払うことで、児童手当を無駄遣いしてしまうリスクを減らすことができます。学資保険に支払ったお金は銀行預金のように自由に引き落とすということができないので、口座にお金があったらついつい使ってしまうという人でも子供の教育資金を貯めていきやすいです。
生命保険料控除で所得税・住民税が安くなる
学資保険は生命保険料控除の対象なので、他の保険で控除の枠を使い切っていなければ保険料の支払額に応じて所得税や住民税が安くなります。仮に控除枠を一切使っておらず、年間払込保険料が8万円以上で所得税率・住民税率が10%だとすると、所得税と住民税が合計で年間6,800円安くなります。他の保険で控除枠を使い切ってしまっていることも多いですが、そうでなければただ銀行に預けるよりもさらにお得になります。
デメリット
途中解約すると元本割れの可能性がある
学資保険を途中解約すると多くの場合、支払った保険料の合計よりも少ない金額しか戻ってきません。学資保険に払ったお金は銀行預金のように自由に使えるわけではないので、契約するのであれば保険料を支払ったらカツカツという状態ではなく多少余裕を持てる金額で契約をするのがよいでしょう。
インフレに弱い
学資保険で受け取れる金額は契約時に決まって固定されてしまいます。学資保険の契約後に物価の上昇などで必要な金額が上昇したとしても受け取れる金額は変わりません。そうした場合、学資保険とは別に追加でお金を用意する必要があります。日本では長い間あまり物価が上昇していませんが、18年後に現在よりも数%物価が高くなっているのは十分に考えられる範囲です。そうした場合、学資保険で増える分は物価の上昇で相殺されてしまいます。
児童手当は3歳から支給額が減る
児童手当は第1子、第2子の場合は3歳から支給額が15,000円から10,000円に減少します。3歳未満の15,000円を当て込んで学資保険を契約した場合、3歳からの5,000円減少で家計が厳しくなったり学資保険を解約してしまったりしないように注意する必要があります。
現在の児童手当の制度が続くとは限らない
児童手当が現在の制度のまま将来も続くとは限りません。2022年10月から2024年9月までは高所得者が除外されていたように、所得制限限度額が引き下げられたり支給額が減ってしまったりする可能性もゼロではないのです。児童手当のみをあてとして学資保険を契約すると制度の変更で保険料を支払えなくなるリスクを負うことになります。児童手当がないと絶対に保険料を支払っていけないという状態では契約しない方がよいでしょう。
児童手当を学資保険に回して大丈夫?
児童手当で支給されたお金をそのまま学資保険に回してしまって問題ないかは生活に余裕があるか、家計の状況の変化に耐えられるかということで変わります。児童手当で学資保険の保険料を払うことは、自由に使えるお金の使い道を固定してしまうことを意味します。
生活に余裕がないのに児童手当全額を学資保険に回してしまうと、大きな出費があったときなどに生活費を切り詰めたり学資保険を解約してしまったりすることにつながります。また、全期前納などを除き、学資保険の保険料を支払う期間は10年以上ありますが、その間に病気を患って収入が減った、住宅を購入してローンの返済で支出が増えたというような家計の状況の変化が考えられます。学資保険を生活ギリギリで契約しているとそうした収入の減少、支出の増加があったときに解約せざるを得なくなってしまうでしょう。
児童手当がなくても学資保険の保険料を支払っていけるという家庭の場合はそのまま学資保険の支払いに充てても問題ないでしょうが、児童手当がないと学資保険の保険料は支払えないという家庭の場合は本当に契約して大丈夫なのか一度立ち止まって考えてみる必要があるでしょう。
まとめ
児童手当を学資保険の保険料の支払いに充てることにはメリットもデメリットもあります。ついつい無駄遣いしてしまってなかなかお金が貯まらないという人にはメリットが大きいですが、保険料として支払ったお金は銀行預金のように自由に使えなくなるので生活がギリギリという家庭にはあまり向いていないでしょう。また、子供が大きくなると支給額が減ってしまうので初めの15,000円を前提とした契約にしないようには注意しましょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。