保険の中には保障のほかに貯蓄性があることを売りにしているものがあります。そうした貯蓄性の積立保険で貯金するのは「あり」なのでしょうか。それとも「なし」なのでしょうか。積立保険のメリット・デメリットから積立保険で貯金することの是非を考えたいと思います。
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積立保険でお金が貯められるって本当?
積立保険とは、保険料として支払ったお金を積み立てていくことで満期時や解約時にお金が戻ってくる貯蓄性が高い保険のことをいいます。積立保険は保険本来の保障の機能と貯蓄としての機能を持っています。貯蓄機能の分、掛け捨ての保険よりも保険料が高くなりますが、保険会社のもとにお金があるので自分で使ってしまうことなくお金を貯めていくことができます。
ただし、支払った保険料全額が貯蓄に回るわけではないので、契約してからの期間が短いと戻ってくるお金が支払った保険料よりも少なくなります。保険会社が運用で増やすことで将来的に支払った保険料よりも多くの満期保険金や解約返戻金を得られる保険もありますが、貯金と同じようにいつでも貯めたお金が使えるというわけではないので注意が必要です。
積立保険のメリット・デメリット
積立保険を貯金代わりとして使うことのメリット・デメリットを紹介します。メリットだけでなくデメリットも理解して、契約してから後悔しないようにすることが大切です。
積立保険のメリット
保険料として半強制的に貯蓄できる
貯金が苦手な人の場合、毎月の生活費で余った分を貯金しようとする傾向があります。しかし、この方法だとついつい使いすぎてしまってなかなか計画的に貯めていくことができません。積立保険の場合、保険料として毎月決まった額を支払うこととなるので計画的にお金を貯めていけます。
また、積立保険で貯めたお金は解約するか満期を迎えるかしないと手元に入ってきません。口座にお金があるとついつい使ってしまうという人でもお金を貯めていくことができます。
銀行預金の金利よりもお得(な商品がある)
現在のマイナス金利の状況下において、銀行預金の金利は定期預金であっても0.01%などごくわずかです。そして、さらに約20%の税金が引かれます。積立保険は商品によりますが、それよりも大きな利回りを得ることも可能です。長期間保有する必要がある、保障が大きい商品などでは定期預金よりも増えなかったり元本割れしたりするものもあるなど常に銀行預金よりもお得というわけではありませんが、少しでもお金を増やしたいのであれば積立保険も検討してみましょう。
税金面で有利
積立保険で支払った保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得税・住民税の金額が安くなります。所得税・住民税の税率がともに10%、年間の保険料が8万円以上の場合、所得税は4,000円、住民税は2,800円軽減されます。1年だけだと小さい金額だと思うかもしれませんが、保険料を支払う年は毎年控除を受けることができます。
また、受取時の税金も銀行預金と比べて有利です。銀行預金で受け取れる利息は約20%の税金がかかっています。それに対して積立保険で増えた金額は税金がかかりにくいです。契約者と受取人が同一で一時所得となる場合は50万円の特別控除があり、それ以下であれば所得税はかかりません。なお、契約者と受取人が異なり贈与税の対象となる場合は増えた金額ではなく受け取った金額が対象となります。基礎控除額は110万円なので110万円を超える保険金を受け取った場合は贈与税がかかるので注意してください。
積立保険のデメリット
早期解約は貯金よりも不利
何らかの理由でお金が必要になるなどして積立保険を早期解約してしまうと、多くの場合で銀行預金よりも不利となります。というのも、積立保険では基本的に早期解約すると元本割れしてしまいます。解約するまでに受けていた保障をどう評価するかにもよりますが、貯蓄のみを目的とした場合は元本割れしない銀行預金の方がお得といえます。積立保険を貯金の代わりとする場合は早期解約してしまわないように、支払う保険料が高すぎないか、大きなお金が必要となった時に解約せずに済むかなどを事前に確認するようにしましょう。
低利率で固定される
積立保険では一部の商品を除いて契約時の利率で固定されてしまいます。高利率のときに契約するのであればメリットとも言えますが、現在の低い利率で固定されてしまうのはデメリットでしょう。お金を貯めるのではなく増やすことを目的としているのであれば、外貨建ての保険で少しでも利率を上げるかiDeCoやつみたてNISAなどで投資信託を運用するなどした方がよいでしょう。もちろん、高い利率を求めるのであればその分リスクも高くなることは忘れないようにしてください。
保険会社倒産時に100%の保護はない
保険会社も民間の企業であるので倒産の可能性はゼロではありません。1997年から2001年にかけて7つの保険会社が、2008年に1つの保険会社が経営破たんに至っています。銀行預金であれば銀行が倒産しても元本1000万円までと利息については預金保険制度によって保護されますが、生命保険については保険金等の支払いに備えて積み立てている責任準備金の90%までしか保護されません。また、倒産後に契約を引き継いだ保険会社によって予定利率が引き下げられる可能性もあります。
積立保険での貯金はあり?なし?
積立保険のメリット・デメリットを見てきましたが、結局のところ積立保険を貯金の代わりとすることは「あり」なのでしょうか、「なし」なのでしょうか。
積立保険での貯金も「あり」な人
自分だけの力では貯金を増やしていくことができない、大きなリスクは取りたくないけど定期預金よりは増やしたいという場合には、積立保険で貯蓄していくのも「あり」だといえます。積立保険は先取り貯金のように収入-貯金(保険料)=生活費という形で計画的に貯蓄を増やしていくことができます。あまり大きく増やすことはできませんが、貯金が苦手だという場合は早期解約してしまわない金額の範囲であればうまく活用していくことができるでしょう。
積立保険での貯金は「なし」な人
資金を拘束されると生活が厳しいという場合やある程度お金を増やしていきたいという場合は積立保険は「なし」です。積立保険は早期解約すると元本割れしてしまうことが多くあります。銀行預金のように自由に出し入れすることはできませんので、資金拘束されると生活が厳しいという人は積立保険は向いていないでしょう。また、積立保険を契約すると将来にわたって現在の低い利率で固定されてしまうこととなります。お金を単に貯めるだけでなく増やしていきたいのであれば、もう少しリスクを取ってつみたてNISAなどで投資信託を積み立てていった方が期待値は高くなるでしょう。
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著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。